21 / 76
朝焼けに包まれて
しおりを挟む
むくり、と頭を起こす。
結界を確かめるが、特に異変は感じられない。
すぐ目の前にシャルも静かに眠っている。
岩陰から見える空の色は、宵闇色から藍色に変わりつつある。
多分、六時くらいだろう。
「ん、くおぉぉぉぉぉ……くはっ」
欠伸と背伸びを同時に行って眠気を払う。
同時に、ぐぎゅー、と言う間抜けな音が腹下辺りから聞こえた。
腹減ったなー、でも町はすぐそこなので、今は我慢だ。
この時間帯なら、門番に怪しまれずに通れるだろうか。
あ、待てよ、こう言うのって通行料とか取られるのか?
これから旅をするにあたって必要以上の出費は抑えたいところだが、要求されたら払うしか無いだろう。まさか門番を張っ倒して行くわけにもいかんし。
それにしても、シャルの寝顔は可愛いなぁ。
熟睡しているのか、あどけない顔ですぅすぅと寝息を叩いている。
あぁ、スマホがあったら写真を撮りたい。
シャルの寝顔に十分心を癒やされてから、残念だがこの寝顔とはさよならだ。
そろそろ起こしてやらないとな。
「シャル、朝だぞ」
まずは呼び掛けから。
しかしシャルの反応は無い。かなり深く眠っているようだ。
次は、優しく肩を揺する。
「そろそろ起きてくれ、シャル」
「んぅ……」
上体を揺らされて、シャルはその堅く閉ざされた瞼を開く。
「ん、むにゅ……お、おに、いさま……?」
「おはよう、シャル。そろそろ町に行こう」
「んん……?あそっか、わたし……」
目が覚めて、ここが自室で無いことを思い出したらしい。
眠そうな、本当に眠そうな目を擦るシャル。
「おはよぅござぃます、おにぃふぁま……」
おにぃふぁまだってよ、かわいい。
荷物を纏めて結界を閉じて、目視で見える距離にあるキンジョーの町へ向かう俺とシャル。
石造りの壁に囲われてるって、いかにもハイファンタジーな町って感じだなぁ。
この身体に憑依しておよそ二週間、ギャレット家から出たことが無いから他の町のことは何も知らない。
もう少し町に近付くと門が見えてきて、そこにいる二人組の門番も俺とシャルの存在に気付く。
とりあえず自然体で行こう。ちょっと世間知らずな坊ちゃんとその義妹、的なアレで。
「失礼、ここはキンジョーの町ですか?」
一応、門番の片方にそう訊ねてみる。違ったら……まぁ、結果オーライでいいか、とりあえず町に着いたんだし。
「はい。ここはキンジョーの町です。この町は初めてでしょうか?」
……特に警戒している様子は見られないな。
ギャレット家の火事(自作自演)については、訊かれても知らないフリをしておこう。
「義妹と旅をしていましてね。あぁ、通行料はいくらですか?」
一歩後ろにいるシャルの頭を軽く撫でつつ、さり気なく通行料のことを訊くが、門番は「いえいえ、通行料は不要ですよ」と答えてくれた。
そうかそうか、なら慎ましく通らせてもらおう。
「今、門を開けますので」
門番は錠を解いて開門させてくれる。
「ささ、どうぞお入りください。ようこそ、キンジョーの町へ」
「どうも、親切にありがとうございます」
俺が軽く頭を下げて、一歩遅れてシャルも深々と頭を下げると、門番二人は微笑ましげに敬礼を返してくれた。
うん、感じの良い門番なのはいいが、もうちょっと警戒心を持ったほうがいいぞ君達。だって放火魔とその義妹だし。
さてさて、キンジョーの町に到着だ。
結界を確かめるが、特に異変は感じられない。
すぐ目の前にシャルも静かに眠っている。
岩陰から見える空の色は、宵闇色から藍色に変わりつつある。
多分、六時くらいだろう。
「ん、くおぉぉぉぉぉ……くはっ」
欠伸と背伸びを同時に行って眠気を払う。
同時に、ぐぎゅー、と言う間抜けな音が腹下辺りから聞こえた。
腹減ったなー、でも町はすぐそこなので、今は我慢だ。
この時間帯なら、門番に怪しまれずに通れるだろうか。
あ、待てよ、こう言うのって通行料とか取られるのか?
これから旅をするにあたって必要以上の出費は抑えたいところだが、要求されたら払うしか無いだろう。まさか門番を張っ倒して行くわけにもいかんし。
それにしても、シャルの寝顔は可愛いなぁ。
熟睡しているのか、あどけない顔ですぅすぅと寝息を叩いている。
あぁ、スマホがあったら写真を撮りたい。
シャルの寝顔に十分心を癒やされてから、残念だがこの寝顔とはさよならだ。
そろそろ起こしてやらないとな。
「シャル、朝だぞ」
まずは呼び掛けから。
しかしシャルの反応は無い。かなり深く眠っているようだ。
次は、優しく肩を揺する。
「そろそろ起きてくれ、シャル」
「んぅ……」
上体を揺らされて、シャルはその堅く閉ざされた瞼を開く。
「ん、むにゅ……お、おに、いさま……?」
「おはよう、シャル。そろそろ町に行こう」
「んん……?あそっか、わたし……」
目が覚めて、ここが自室で無いことを思い出したらしい。
眠そうな、本当に眠そうな目を擦るシャル。
「おはよぅござぃます、おにぃふぁま……」
おにぃふぁまだってよ、かわいい。
荷物を纏めて結界を閉じて、目視で見える距離にあるキンジョーの町へ向かう俺とシャル。
石造りの壁に囲われてるって、いかにもハイファンタジーな町って感じだなぁ。
この身体に憑依しておよそ二週間、ギャレット家から出たことが無いから他の町のことは何も知らない。
もう少し町に近付くと門が見えてきて、そこにいる二人組の門番も俺とシャルの存在に気付く。
とりあえず自然体で行こう。ちょっと世間知らずな坊ちゃんとその義妹、的なアレで。
「失礼、ここはキンジョーの町ですか?」
一応、門番の片方にそう訊ねてみる。違ったら……まぁ、結果オーライでいいか、とりあえず町に着いたんだし。
「はい。ここはキンジョーの町です。この町は初めてでしょうか?」
……特に警戒している様子は見られないな。
ギャレット家の火事(自作自演)については、訊かれても知らないフリをしておこう。
「義妹と旅をしていましてね。あぁ、通行料はいくらですか?」
一歩後ろにいるシャルの頭を軽く撫でつつ、さり気なく通行料のことを訊くが、門番は「いえいえ、通行料は不要ですよ」と答えてくれた。
そうかそうか、なら慎ましく通らせてもらおう。
「今、門を開けますので」
門番は錠を解いて開門させてくれる。
「ささ、どうぞお入りください。ようこそ、キンジョーの町へ」
「どうも、親切にありがとうございます」
俺が軽く頭を下げて、一歩遅れてシャルも深々と頭を下げると、門番二人は微笑ましげに敬礼を返してくれた。
うん、感じの良い門番なのはいいが、もうちょっと警戒心を持ったほうがいいぞ君達。だって放火魔とその義妹だし。
さてさて、キンジョーの町に到着だ。
10
あなたにおすすめの小説
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立
黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」
「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」
ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。
しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。
「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。
だが、彼らは知らなかった。
ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを!
伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。
これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。
日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。
両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日――
「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」
女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。
目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。
作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。
けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。
――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。
誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。
そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。
ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。
癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
