39 / 74
29.ゼインに会いたい。
しおりを挟む
夫妻が、ゼインと王様達との連絡用魔道具をこの場に持ってきているらしく、それを使って今連絡をしてみなさいと言われた。
出されたのはオルゴールのような機械に、拳大の金色の魔石がついたもの。魔石を触れば連絡できるそうだ。
僕がもっているお兄様との魔道具とそう変わらない。
「じゃあ私達は戻るから、ゆっくりと心ゆくまで話しなさい。終われば外に待機している護衛に言ってくれたら良いよ。きっと君の婚約者は君からの連絡が来るのを待ってるはずだから、早く連絡してね。それから……トイルズ令息…いや、将来きっと家族になってくれるだろうから、ミラくんと呼んでもいいかな。」
「は、はい!」
「ふふ、そんなに固くならないで。君も、今日はごめんね。来週までには必ずヴレーヒと会う席を作るから。」
「ありがとうございます!」
夫妻は微笑んで部屋を出ていき、ここに残されたのは僕たちだけになった。
「じゃ、じゃあかけるよ…!」
「うん…!!き、きんちょーしてきた…!!」
魔石を触ると光を放ち始めて、その光が収まると同時に愛しい人の声が聞こえてきた。
『ルカ…?』
「あっ、ゼイン!聞こえる?ミラもいるよ!」
少し元気がない、どうしたのだろうか。
『ああ…ルカ……ルカ…………会いたいよ…………』
「わぁ…熱烈だね…ルカ…」
ゼインの必死な願いにミラは若干引いているが、どうしたのだろうか。様子がおかしい。
「うん、僕も会いたい。でもまだ1週間以上会えないんだよ?今からそんなこと言ってたら、持たないよ、ふふ。」
『うぅっ……絶対、絶対に仕事終わらせてそっち行く……。一緒に観光する…。』
「え?公務があって行けないって言ってなかった?」
『全部終わらせる……。そっちのゴタゴタも、公務も、全部!終わらせる!』
うむ…なぜかは知らないけれど、やる気が出たみたいでよかった。
「ひっ……この国の王族と会うのでもかなりギリギリだったのに、自国の王族とも会わなきゃいけないの…?うぅ……ルカの婚約者だから、頑張ろう……」
ミラはなんだか意気消沈してるし…。そんなに王族と会うのが嫌かね。あなた貴族でしょう。緊張しいだもんね、ミラ。
「そう、あのね。もうお話は聞いたんだけど…ネローはそっち、どんな感じ?元気そう?」
すると、魔道具越しだというのにゼインの雰囲気が冷たくなるのが分かった。僕は長く一緒にいるから少しは慣れてるけど、ミラは完全に怯えてしまっている。
『ネロー……ネローねぇ…。正直私はもう二度と私の唯一の前に出したくないほど嫌悪しているよ。ルカに懸想した上に、手を出そうとするなんて…!』
ぽそぽそと話していて、こちらとしては音が途切れ途切れだったからほとんど何を言っているか聞き取れなかった。
「えと…ごめん、聞き取れなかった、なんて言ったの?」
そう言うと、パッと雰囲気が和らいで何でもないように話す。
『ああ、ネローくんは元気だよ。そちらの兄君から逃れることができて一安心、といったところかな。
そっちはどうだい?色々あってフースカを楽しめていないんじゃないか?
もうしばらくしたら落ち着くはずだし、そうしたら目一杯満喫しなさい。私もそっちに行くからね。』
「ふふ、うん!待ってるね!」
『ああ。ミラくん、ここ数日はヴレーヒ殿に会えないだろう。少し残念ではあるが少々待っていてくれ。
それから……くれぐれも、くれぐれも!私のルカをよろしく頼むね。』
「は、はいぃ!!了解しました!!」
「もう!ゼイン!ミラが怯えてるでしょ!圧をかけなくていいの!」
『おや…私はかけているつもりはないのだが。まあ善処しよう。』
そして僕達は通話を終わって、待機している護衛にその旨を伝えると、僕達を部屋へ送ってくれた。
さて…どうしようかな。
ちょっと気になってたんだけど、なんで僕とミラ、同じ部屋なのかな、って考えてたんだよね。貴族は普通、生まれたばかりの子供や夫婦じゃなければ同じ部屋は使わないし。
まあたぶん、安全のためなんだろうなとは思う。
他国からの貴族、王族の貴賓、しかも一時とはいえ、狙われていた人間がこの国にやってきた。しかも第三王子の運命だろう人間と一緒に。
僕たちに何かあれば一気にこの国は窮地に陥る。だから守りやすいように一緒の部屋に入れたのだろう。
そう言えば……この国の第一王子、話に出てこなかったな。
ヒオニ様が王様になるために邪魔だと思ってたのはヴレーヒ様だけだったし…。
もしかして、第一王子も催眠をかけられてたとか?
いや、それだったら国王夫妻は言っているはずだろう。
じゃあなんで?うーん、わからぬ。
ま、いっか!
一緒に行けないと思ってたゼイン、来てくれるらしいし!それを楽しみにして待ってよーっと。
早くゴタゴタが終われば良いんだけど。
「ミラー!このお菓子おいしーよ!美味しいもの食べて元気出そう!」
「ふふ、ルカはいつでも元気いっぱいだね。じゃあ僕このケーキ食べる。」
「はい!」
「ありがと」
早くゼインに会いたいなぁ。
出されたのはオルゴールのような機械に、拳大の金色の魔石がついたもの。魔石を触れば連絡できるそうだ。
僕がもっているお兄様との魔道具とそう変わらない。
「じゃあ私達は戻るから、ゆっくりと心ゆくまで話しなさい。終われば外に待機している護衛に言ってくれたら良いよ。きっと君の婚約者は君からの連絡が来るのを待ってるはずだから、早く連絡してね。それから……トイルズ令息…いや、将来きっと家族になってくれるだろうから、ミラくんと呼んでもいいかな。」
「は、はい!」
「ふふ、そんなに固くならないで。君も、今日はごめんね。来週までには必ずヴレーヒと会う席を作るから。」
「ありがとうございます!」
夫妻は微笑んで部屋を出ていき、ここに残されたのは僕たちだけになった。
「じゃ、じゃあかけるよ…!」
「うん…!!き、きんちょーしてきた…!!」
魔石を触ると光を放ち始めて、その光が収まると同時に愛しい人の声が聞こえてきた。
『ルカ…?』
「あっ、ゼイン!聞こえる?ミラもいるよ!」
少し元気がない、どうしたのだろうか。
『ああ…ルカ……ルカ…………会いたいよ…………』
「わぁ…熱烈だね…ルカ…」
ゼインの必死な願いにミラは若干引いているが、どうしたのだろうか。様子がおかしい。
「うん、僕も会いたい。でもまだ1週間以上会えないんだよ?今からそんなこと言ってたら、持たないよ、ふふ。」
『うぅっ……絶対、絶対に仕事終わらせてそっち行く……。一緒に観光する…。』
「え?公務があって行けないって言ってなかった?」
『全部終わらせる……。そっちのゴタゴタも、公務も、全部!終わらせる!』
うむ…なぜかは知らないけれど、やる気が出たみたいでよかった。
「ひっ……この国の王族と会うのでもかなりギリギリだったのに、自国の王族とも会わなきゃいけないの…?うぅ……ルカの婚約者だから、頑張ろう……」
ミラはなんだか意気消沈してるし…。そんなに王族と会うのが嫌かね。あなた貴族でしょう。緊張しいだもんね、ミラ。
「そう、あのね。もうお話は聞いたんだけど…ネローはそっち、どんな感じ?元気そう?」
すると、魔道具越しだというのにゼインの雰囲気が冷たくなるのが分かった。僕は長く一緒にいるから少しは慣れてるけど、ミラは完全に怯えてしまっている。
『ネロー……ネローねぇ…。正直私はもう二度と私の唯一の前に出したくないほど嫌悪しているよ。ルカに懸想した上に、手を出そうとするなんて…!』
ぽそぽそと話していて、こちらとしては音が途切れ途切れだったからほとんど何を言っているか聞き取れなかった。
「えと…ごめん、聞き取れなかった、なんて言ったの?」
そう言うと、パッと雰囲気が和らいで何でもないように話す。
『ああ、ネローくんは元気だよ。そちらの兄君から逃れることができて一安心、といったところかな。
そっちはどうだい?色々あってフースカを楽しめていないんじゃないか?
もうしばらくしたら落ち着くはずだし、そうしたら目一杯満喫しなさい。私もそっちに行くからね。』
「ふふ、うん!待ってるね!」
『ああ。ミラくん、ここ数日はヴレーヒ殿に会えないだろう。少し残念ではあるが少々待っていてくれ。
それから……くれぐれも、くれぐれも!私のルカをよろしく頼むね。』
「は、はいぃ!!了解しました!!」
「もう!ゼイン!ミラが怯えてるでしょ!圧をかけなくていいの!」
『おや…私はかけているつもりはないのだが。まあ善処しよう。』
そして僕達は通話を終わって、待機している護衛にその旨を伝えると、僕達を部屋へ送ってくれた。
さて…どうしようかな。
ちょっと気になってたんだけど、なんで僕とミラ、同じ部屋なのかな、って考えてたんだよね。貴族は普通、生まれたばかりの子供や夫婦じゃなければ同じ部屋は使わないし。
まあたぶん、安全のためなんだろうなとは思う。
他国からの貴族、王族の貴賓、しかも一時とはいえ、狙われていた人間がこの国にやってきた。しかも第三王子の運命だろう人間と一緒に。
僕たちに何かあれば一気にこの国は窮地に陥る。だから守りやすいように一緒の部屋に入れたのだろう。
そう言えば……この国の第一王子、話に出てこなかったな。
ヒオニ様が王様になるために邪魔だと思ってたのはヴレーヒ様だけだったし…。
もしかして、第一王子も催眠をかけられてたとか?
いや、それだったら国王夫妻は言っているはずだろう。
じゃあなんで?うーん、わからぬ。
ま、いっか!
一緒に行けないと思ってたゼイン、来てくれるらしいし!それを楽しみにして待ってよーっと。
早くゴタゴタが終われば良いんだけど。
「ミラー!このお菓子おいしーよ!美味しいもの食べて元気出そう!」
「ふふ、ルカはいつでも元気いっぱいだね。じゃあ僕このケーキ食べる。」
「はい!」
「ありがと」
早くゼインに会いたいなぁ。
242
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
僕の彼氏は僕のことを好きじゃないⅠ/Ⅱ
MITARASI_
BL
I
彼氏に愛されているはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
「好き」と言ってほしくて、でも返ってくるのは沈黙ばかり。
揺れる心を支えてくれたのは、ずっと隣にいた幼なじみだった――。
不器用な彼氏とのすれ違い、そして幼なじみの静かな想い。
すべてを失ったときに初めて気づく、本当に欲しかった温もりとは。
切なくて、やさしくて、最後には救いに包まれる救済BLストーリー。
Ⅱ
高校を卒業し、同じ大学へ進学した陸と颯馬。
別々の学部に進みながらも支え合い、やがて同棲を始めた二人は、通学の疲れや家事の分担といった小さな現実に向き合いながら、少しずつ【これから】を形にしていく。
未来の旅行を計画し、バイトを始め、日常を重ねていく日々。
恋人として選び合った関係は、穏やかに、けれど確かに深まっていく。
そんな中、陸の前に思いがけない再会をする。
過去と現在が交差するその瞬間が、二人の日常に小さな影を落としていく。
不安も、すれ違いも、言葉にできない想いも抱えながら。
それでも陸と颯馬は、互いの手を離さずに進もうとする。
高校編のその先を描く大学生活編。
選び続けることの意味を問いかける、二人の新たな物語。
続編執筆中
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる