あの子の花に祝福を。

ぽんた

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30.ミラと運命。

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 ヒオニ様は、生涯幽閉、という極刑の次に重い刑を受けた。
 本来、王族を傷つけようとする者は同じ王族でも極刑が妥当なのだが、今回は事態が複雑で後ろに誰がついているのか、どういう話で禁忌魔法を入手したのか調べなければならないらしい。

「じゃあ行ってくるね…!うぅっ…緊張してお腹痛くなりそう…!」

「が、がんばるんだよっ、ミラ…!ぼ、僕も緊張してきちゃった…!!」

 そして今日。ミラがとうとう運命かもしれない人と出会う日だ。国王夫妻が奔走してくれて、今日会う日が設けられた。

「も、もう!ルカは緊張しなくていいでしょっ!」

「だって移っちゃったんだもん…!!」

 僕達2人は待ちに待った日、ということで朝からご飯が喉を通らないほどだった。
 僕はその間、ルイスに学園の勉強の教材を持ってきてもらって勉強するつもりだったんだけど…。ミラ達がどうなったか気になっちゃって集中できなそう…。

「じゃ、じゃあね!」

「が、がんばれ!ミラ!」

「うん!」

 強張った顔のミラを送り出すと、ぷはーっと息をついた。
 ヴレーヒ様、ミラと運命だったらいいなと思う。根っからの研究者のヴレーヒ様に、勉強好きなミラ。合わないはずがない。

 もし本当に運命だったら、ふふ、ダブルデートとか、してみたいかも。

 そのとき、丁度ルイスが部屋に入ってきた。

「ルカ様、教材を持ってきましたよ。ふふ、勉強できそうですか?」

「もー全然できそうにないよ~。ミラがあれだけ緊張したたから、僕もドキドキしちゃって。
 ………ネローもこの様子が見られたらいいんだけど。自分のお兄さんが運命に出会える瞬間だもん。」

「仕方ありません、あの魔法を解くには我が国へ行かないと。
 魔法を使った本人はもう魔力を無くす魔道具を付けられたので操ろうにも操れませんが、催眠状態に入るのはこの国にいることがトリガーになってますからね。
 まずそれをどうにかしないといけませんし…。」

 そうなのだ。
 ネローの催眠魔法の発動条件は、『この国にいること』。
 魔法を解くためには、魔法の影響下から抜け出さなくてはいけなかった。
 ただ、命令をする人物の魔力が無くなって命令できなくなると、かけられた人はまるで人形のように動かなくなる。命令待ちの状態のままになるのだ。
 だから今、僕の国で根こそぎ魔法を取り除こうとしてる。

「まぁ、母様と父様に任せたらすぐだよね。」

「ええ、今は待ちましょう。さ、魔法理論Ⅱの教材持ってきましたよ。苦手は早く無くすに限ります!」

 ドサッと机の上に置かれたのは分厚い魔法理論書。
 厚みを見るだけでげんなりしてしまう。

「むぅ……理論なんて分かんないよ、魔法に計算って何さ。想像したものを出せばいいだけでしょ、なんで計算なんかしなきゃいけないの。組み立てって何、もう意味わかんない。」

 魔法は想像してそれに魔力を込めるだけで発動できる。
 母様や父様、お兄様だってそうだし、ゼインもそうだ。
 ていうかみんなそうでしょ?
 なんでできるものをわざわざ分解して頭の中で組み立てなきゃいけないのかさっぱりわからなかった。

 (想像だけで魔法を発動することができるなら、魔法理論なんて無いんですよ、ルカ様…。ルカ様達が天才なだけなんですよ…。そろそろ気づいてっっ…!!)

 なんてルイスの心の声には気づくわけもなく。
 僕は仕方なく教材のページを捲った。
























 ✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿




















 ~ミラSide~



 沢山の美しい花々が咲き誇る中庭のガゼボで、僕は『運命かもしれない人』を待っていた。

 うう…さっきから心臓がバクバクしてて、もう爆発するんじゃないだろうかってくらい…!
 ぎゅっと胸に手を当てて、少しでもいいから収まれ…!と念を送る。
 けれど、そんなこと体が聞いてくれるはずもなく。

「ヴレーヒ様がいらっしゃいました。」

 その声と共に、城方面からここに向かってサクサク、という足音が近づいてくる。

「待たせてしまいました、ミラ殿……っ…!」

 声をかけられて、振り向くと。

 何ていうか、ピースが埋まったような。
 足りない部分が満ち足りたような、そんな心地。

 彼は、王譲りの天使の羽根のような純白の長髪に、銀縁の眼鏡を掛けて琥珀色の瞳が少し強調されている人だった。

「あ……えと…アントス王国から参りました、ミラ・トイルズです。お目にかかれて光栄です、ヴレーヒ様…。」

 一応型通りにものは言えた。
 けれど、何も言わないでも全て通じるような気がして。
 僕達は、最初から1つだったかのようにしっくりと合った。

「とにかく、座りましょうか。」

「あ、そうですね。すみません。」

 ヴレーヒ様の向かいに座ろうとすると、彼は手招きをする。

「こちらへ。」

「は、はい…。」

 側に寄ると、グイッと腰を引き寄せられて、倒れる!と思ったときには、恐れ多くも彼の膝の上に乗っていた。

 運命って、膝に乗せるのが好きだったりするのかな…?

「やはり、くっついている方が落ち着きますね。」

「そそっ、そうですねっっ…!!」

 今の僕はきっと真っ赤だろう。唯一の救いは、彼に背を預けている状態なので顔を見られないということ。

「ふふ、そんなに緊張しないでください。
 はぁ……会いたかった、私の運命…。」

 肩に頭を乗せて、首筋のに鼻を擦り付けられる。
 そのままそこで深呼吸されて、僕は熱さで溶けて消えそうだった。

「ねぇ、私はきっとあなたを逃がしてあげられない。
 だから近い将来のために、呼び捨てと敬語なしを徹底しましょうか。」

 へ…?それってつまり…結婚は決定されてるってことなのかな…?う……嬉しすぎる……!

「え…えと…わかりまし…わかった、ヴレーヒさ、ヴレーヒ…!」

「ふふ、可愛い、首が真っ赤だよ、ミラ。」

 ああ、拝啓お母様、お父様。僕は本日命日となりました。
 愛しい人の腕の中で逝けるなんて、なんて幸せなんでしょうか。

「あれ…?あらら…ミラ、気絶しちゃった…。刺激が強すぎましたね…。次回からはもう少し控えめにしましょうか。
………はぁ…可愛い…。」

旋毛にいくつものキスを落とされたが、僕はそれに気づくはずもなく。




















※※※※※※※※※※



取り敢えず、この作品を終わらせたい。
ハピエンで、皆が満足できる最終回を迎えたい。

そう思って執筆しております。
短編じゃなく長編でね、しっかりと最後まで終わらせたいんですよね。1作品は。

異世界ハーレムも終わらせたいんですけども…展開が思いつかないし…。

他の作品いっぱいあるし…。
終わらせないと…_(┐「ε:)_

とりまガンバリマス。



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