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青い春の嵐
09.持つべきものは頼れる(?)相談相手
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「で、何でここに来るんだ、てめぇは」
羽間が眉間に皺を寄せて俺を見る。
俺こそ、何でお前が居るんだって言いたい。
「まあまあ、こんなに目を赤くして可哀想じゃないですか。何やら拗れた面白…失礼。お話があるんでしょう?」
今、面白いって言おうとしたな!? したよな!? てか、目が赤いって何だよ? 俺泣いてねーし!!
「…飯、食い終わるまで待つよ。俺も食べ掛けだし」
俺はそう言いながら、ベッドに腰掛けた。
だって、椅子二つしかないし。その二つは羽間と松重先生のケツの下だし。
叫んで走りながら、俺は保健室に飛び込んだ。
そしたら、松重先生だけじゃなく、羽間も居た。
窓際にある大きな机に弁当並べてあって、こいつらいつも二人で昼食べてんのか? って思った。
で。まさか、こいつらヤってたんじゃねーよな? だって、弁当の中身そんな減ってねーし。
飯前にまず一服のノリでヤってねーよな?
思わず、くんかくんかと鼻を動かして匂いを嗅ぐ。
「…おい…」
「今日は、まだしてませんよ」
そんな俺の姿に、羽間が思い切りドスの効いた声を出したと思ったら、松重先生がにこやかに否定してくれた。
「まだって言うな!」
「やっぱ、ヤるのか!?」
まだって事はそうだよな!?
ぜってぇ、放課後は近付かねーからな!!
◇
「…いっちょ前に嫉妬か」
食べ終わって、ああでこうでと話したら、ぷっはーと煙草の煙を吐きながら羽間が言った。
ここ、保健室なんだけど…煙草吸っていいのかよ?
フ〇ブれば良いと思ってんじゃねーだろうな?
「そんなんじゃねーよ」
ふいっと羽間から顔をそらして、嫉妬なのか? って思う。
…嫉妬なんて、そんなのみっともねーだろ。
「ああ? どう考えたってヤキモチだろが。ヤ・キ・モ・チ。俺を見ろって、まだ告ってすらいねぇのに何寝言言ってんだか」
「俺を見ろとか、先生には言ってねーし」
距離あるのに、ご丁寧に上半身下げて顔だけを上げて煙草の煙を吐く羽間は、間違いなく元ヤンだろ、お前って感じだ。いや、ヤの付く職業の人かも知れない。
「言わなくても、頭で思った、態度にも出てたんなら同じだ馬鹿。ったく、これだからガキは」
「どーせ俺はバカでガキだよ」
バカって言う方がバカなんだからな、なんて言い返せなくて、俺は唇を尖らせた。
あんな風に怒鳴って逃げ出すとか、本当にガキだしバカだし。
「…先生、呆れたかな…」
もう、笑ってくれないかも。
もう、頭撫でてくれないかも。
もう、一緒に飯食ってくれないかも。
「落ち込んでいる子を苛めて楽しいですか? どちらがガキなんでしょうね?」
お。
松重先生いいぞ。もっと言ってくれ。
「…てめぇが言うな」
苦虫を噛み潰したような顔をして、携帯灰皿を取り出して羽間は煙草の火を消した。
…この二人、本当にどんな関係なんだろ?
二人で昼食べるって事は、仲悪いって訳じゃないんだろうけど。
「はい。温かいお茶どうぞ。的場先生なら心配無いと思いますけどね? 矢田君が知っている的場先生は、それで怒ったり呆れたりしますか?」
松重先生が、ポットからお湯を出してティーパックのお茶が入ったマグカップを出してくれた。
何で、こんなのが保健室にあるんだ。
そのポットもカップも自前か?
「…しない…」
それを受け取って、俺はぽつりと呟いた。
先生は、多分、怒ったり呆れたりしない。
「…けど、嫌な思いさせた…」
バカって言われて喜ぶヤツなんていないし、その前に、グイグイ…イライラムカムカして、八つ当たりで詰め寄ったし…。
「…俺、最低だ」
「それが解っているのなら、大丈夫ですよ」
ベッド傍から、窓際の机に移動して、椅子に座った松重先生がふわりと笑う。
「…うん…」
ヤってる時はアレだけど、今は、普通に保健の先生って感じだ。
ズドンと沈む俺の耳に、優しい松重先生の声が染みる。
パンパンヤッてるの見てなきゃ、泣いていたかも知れない。
「まあ、気になるなら、とっとと謝るんだな。まあ、先に頭を下げた方が負けって言葉もあるけどな」
お前は何も言うな!
羽間が眉間に皺を寄せて俺を見る。
俺こそ、何でお前が居るんだって言いたい。
「まあまあ、こんなに目を赤くして可哀想じゃないですか。何やら拗れた面白…失礼。お話があるんでしょう?」
今、面白いって言おうとしたな!? したよな!? てか、目が赤いって何だよ? 俺泣いてねーし!!
「…飯、食い終わるまで待つよ。俺も食べ掛けだし」
俺はそう言いながら、ベッドに腰掛けた。
だって、椅子二つしかないし。その二つは羽間と松重先生のケツの下だし。
叫んで走りながら、俺は保健室に飛び込んだ。
そしたら、松重先生だけじゃなく、羽間も居た。
窓際にある大きな机に弁当並べてあって、こいつらいつも二人で昼食べてんのか? って思った。
で。まさか、こいつらヤってたんじゃねーよな? だって、弁当の中身そんな減ってねーし。
飯前にまず一服のノリでヤってねーよな?
思わず、くんかくんかと鼻を動かして匂いを嗅ぐ。
「…おい…」
「今日は、まだしてませんよ」
そんな俺の姿に、羽間が思い切りドスの効いた声を出したと思ったら、松重先生がにこやかに否定してくれた。
「まだって言うな!」
「やっぱ、ヤるのか!?」
まだって事はそうだよな!?
ぜってぇ、放課後は近付かねーからな!!
◇
「…いっちょ前に嫉妬か」
食べ終わって、ああでこうでと話したら、ぷっはーと煙草の煙を吐きながら羽間が言った。
ここ、保健室なんだけど…煙草吸っていいのかよ?
フ〇ブれば良いと思ってんじゃねーだろうな?
「そんなんじゃねーよ」
ふいっと羽間から顔をそらして、嫉妬なのか? って思う。
…嫉妬なんて、そんなのみっともねーだろ。
「ああ? どう考えたってヤキモチだろが。ヤ・キ・モ・チ。俺を見ろって、まだ告ってすらいねぇのに何寝言言ってんだか」
「俺を見ろとか、先生には言ってねーし」
距離あるのに、ご丁寧に上半身下げて顔だけを上げて煙草の煙を吐く羽間は、間違いなく元ヤンだろ、お前って感じだ。いや、ヤの付く職業の人かも知れない。
「言わなくても、頭で思った、態度にも出てたんなら同じだ馬鹿。ったく、これだからガキは」
「どーせ俺はバカでガキだよ」
バカって言う方がバカなんだからな、なんて言い返せなくて、俺は唇を尖らせた。
あんな風に怒鳴って逃げ出すとか、本当にガキだしバカだし。
「…先生、呆れたかな…」
もう、笑ってくれないかも。
もう、頭撫でてくれないかも。
もう、一緒に飯食ってくれないかも。
「落ち込んでいる子を苛めて楽しいですか? どちらがガキなんでしょうね?」
お。
松重先生いいぞ。もっと言ってくれ。
「…てめぇが言うな」
苦虫を噛み潰したような顔をして、携帯灰皿を取り出して羽間は煙草の火を消した。
…この二人、本当にどんな関係なんだろ?
二人で昼食べるって事は、仲悪いって訳じゃないんだろうけど。
「はい。温かいお茶どうぞ。的場先生なら心配無いと思いますけどね? 矢田君が知っている的場先生は、それで怒ったり呆れたりしますか?」
松重先生が、ポットからお湯を出してティーパックのお茶が入ったマグカップを出してくれた。
何で、こんなのが保健室にあるんだ。
そのポットもカップも自前か?
「…しない…」
それを受け取って、俺はぽつりと呟いた。
先生は、多分、怒ったり呆れたりしない。
「…けど、嫌な思いさせた…」
バカって言われて喜ぶヤツなんていないし、その前に、グイグイ…イライラムカムカして、八つ当たりで詰め寄ったし…。
「…俺、最低だ」
「それが解っているのなら、大丈夫ですよ」
ベッド傍から、窓際の机に移動して、椅子に座った松重先生がふわりと笑う。
「…うん…」
ヤってる時はアレだけど、今は、普通に保健の先生って感じだ。
ズドンと沈む俺の耳に、優しい松重先生の声が染みる。
パンパンヤッてるの見てなきゃ、泣いていたかも知れない。
「まあ、気になるなら、とっとと謝るんだな。まあ、先に頭を下げた方が負けって言葉もあるけどな」
お前は何も言うな!
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