[完結]想ってもいいでしょうか?

仲 奈華 (nakanaka)

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青々とした葉が伸び茂り、灼熱の太陽が迷路庭園を照らす。
垣根の葉だけでなく、雑草も生え、迷路庭園を覆いかぶさるように伸び続ける。
永遠と続く長い道の中、景色が変わってもルミアは迷路庭園のコテージに通い続けた。
誰に聞いても、ロンについて知っている者はいなかった。
あの時何日も共に過ごしたロンについて知っているのはルミアだけだ。
でも確かに彼はいた。約束もした。

守る事は出来なかったけれど。

傷が癒え夏になるとルミアには家庭教師がつけられた。
幼い頃、世界を旅する踊り子だった母から数か国の言語を学び、塔にあるたくさんの書物を読んできたルミアにとって、家庭教師の授業はとても簡単なものだった。

王族・貴族を集めた涼夏会が城で開催された。
透き通る氷細工がガラスに盛り付けられ、透き通る薄い絹の衣装をまとった踊り子たちがステージで、舞い踊る。

ルミアは、王族席の末端に座り、美しいが儚い氷菓を口にしていた。

ルミアの教師の一人であるグロッサー子爵が王へ近づき言った。
「王様。もしかしたらルミア姫様は天才かもしれません。帝国語を含め5か国の言葉を理解し、数学や政治の知識もあります。」

王は言った。
「それは本当か。ならば帝国へは」


「僭越ながらルミア王女が適任かと思われます。ルーナ姫様、リーナ姫様は前回の視察の時にはっきりと断られておりますので」

王は少し残念そうに言う。
「そうか。だがな。リリアンナ妃がルーナ姫とリーナ姫を皇子の婚約者に強く推しておるのだ。ルミアはまだ若い。それにやっと塔から出てきたばかりではないか」

王の隣に座っている王妃が言った。
「王様。3人の姫を帝国へ送ってはどうでしょうか?帝国には皇子が3人いますわ。一人でも気に入られれば、インダルア王国はより栄える事でしょう」

深紅のドレスを身にまとうルーナ姫が言った。
「私は帝国へ行きますわ。視察の時は、皇子様とあまりお会いできませんでしたもの。交流が深まればきっと私の事を気に入ってくださるはずですわ」
深青のドレスを身にまとうリーナ姫が言った。
「私も帝国へ行きますわ。ルミアが帝国語を話せると言ってもどうせ挨拶程度でしょ。お父様。リーナは皇妃になりたいですわ」

少し困った表情の王は、ルミアを見て尋ねてきた。
「ルミア。其方はどうしたい?」







(帝国皇子の婚約者なんてなりたくない。皇子にも興味がないし、姉姫達と一緒に帝国へいくなんて考えただけでもうんざりする。でもロンは?だれも知らないけどロンは帝国使者団の一員だったはずだ。帝国へいけばロンを探せるかもしれない。でも、、、)

ルミアは言った。
「お父様。私はここに残りたいと思います。美しいお姉様達こそ帝国皇子の婚約者にふさわしいですわ。」

(待ってみよう。せめて来年の来春祭まで。もしかしたらロンが迎えにきてくれるかもしれない。今度こそ連れて行ってくれるかもしれない)

王は満足そうに言った。
「そうか。そうするがよい」

ルミアは、誰かに強く睨まれた気がして、ブルリと背中を震わせ顔を上げ見渡した。

氷菓を食べながら談笑する王族と貴族。軽快な音楽で舞い踊る踊り子たち。ルミアを見ている者は誰もいなかった。
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