[完結]想ってもいいでしょうか?

仲 奈華 (nakanaka)

文字の大きさ
16 / 45

15

しおりを挟む
ルミアが王女の部屋を与えられてから2週間が過ぎた。
毎晩ルミアは、城を抜け出し迷路庭園のコテージに行く。何度行っても、そこは静まり返っている。誰も訪れた気配がない。もしかしたらロンがいるかも。もしかしたら迎えにきてくれたかも。ルミアは毎晩期待する事をやめる事ができなかった。

ルミアの背中の傷は塞がり瘡蓋になった。まだ時々ひきつるように痛むが生活には支障がない。熱も下がり声が出るようになった。

「ルミア様おはようございます。」
ルミアの侍女達が部屋へ入ってきた。ルミアの身支度を手伝い、髪をとかす。
「おはよう。アンナ、ミリナ」

「本当に綺麗な黒髪ですね。城の生活には慣れましたか?」

「ええ、おかげさまで」

「帝国使者団の皆様が来られていた時は、私達がお世話していました。使者様が帰られてから、すぐにルミア様の侍女に任命され、とても光栄ですわ。」

「使者様、、、、ねえ、帝国使者団の中にロンという名の若い男性がいなかった?」

「ロン?ですか。いいえ、使者様のお名前は全員把握していますが、そのような方はおられなかったと思います。どうかなさいましたか?」

「いいえ、なんでもないの。」

(使者団の中にロンがいない?どうゆうことなの?)

窓の外は、満開の桜が風に吹かれ揺れている。舞い上がった桜の花びらが窓から入り込み、目の前のコップの水に浮かんだ。

桜の花びらは水の中をゆらゆら揺れながら沈んでいき、光の中で消えたり、浮かび上がったりする。

存在しているのに、見えない。確かにいたはずなのに幻のようにも感じる。

目の前の鏡を見ると、絹のレースドレスを身にまとい、艶のある黒髪を結い上げられ真珠の髪飾り、ネックレスをつけた肌の白い女性がいる。鏡に映っているのはルミア王女だ。ずっと幽霊姫と呼ばれ、塔に閉じ込められ、存在する事すら許されなかった私がいる。

「本当にお綺麗ですわ。ルミア様」

「ありがとう」
ルミアは、少しだけ微笑んだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

すれ違う思い、私と貴方の恋の行方…

アズやっこ
恋愛
私には婚約者がいる。 婚約者には役目がある。 例え、私との時間が取れなくても、 例え、一人で夜会に行く事になっても、 例え、貴方が彼女を愛していても、 私は貴方を愛してる。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 女性視点、男性視点があります。  ❈ ふんわりとした設定なので温かい目でお願いします。

【完結】お世話になりました

⚪︎
恋愛
わたしがいなくなっても、きっとあなたは気付きもしないでしょう。 ✴︎書き上げ済み。 お話が合わない場合は静かに閉じてください。

お飾りな妻は何を思う

湖月もか
恋愛
リーリアには二歳歳上の婚約者がいる。 彼は突然父が連れてきた少年で、幼い頃から美しい人だったが歳を重ねるにつれてより美しさが際立つ顔つきに。 次第に婚約者へ惹かれていくリーリア。しかし彼にとっては世間体のための結婚だった。 そんなお飾り妻リーリアとその夫の話。

それは報われない恋のはずだった

ララ
恋愛
異母妹に全てを奪われた。‥‥ついには命までもーー。どうせ死ぬのなら最期くらい好きにしたっていいでしょう? 私には大好きな人がいる。幼いころの初恋。決して叶うことのない無謀な恋。 それはわかっていたから恐れ多くもこの気持ちを誰にも話すことはなかった。けれど‥‥死ぬと分かった今ならばもう何も怖いものなんてないわ。 忘れてくれたってかまわない。身勝手でしょう。でも許してね。これが最初で最後だから。あなたにこれ以上迷惑をかけることはないわ。 「幼き頃からあなたのことが好きでした。私の初恋です。本当に‥‥本当に大好きでした。ありがとう。そして‥‥さよなら。」 主人公 カミラ・フォーテール 異母妹 リリア・フォーテール

【完結】お荷物王女は婚約解消を願う

miniko
恋愛
王家の瞳と呼ばれる色を持たずに生まれて来た王女アンジェリーナは、一部の貴族から『お荷物王女』と蔑まれる存在だった。 それがエスカレートするのを危惧した国王は、アンジェリーナの後ろ楯を強くする為、彼女の従兄弟でもある筆頭公爵家次男との婚約を整える。 アンジェリーナは八歳年上の優しい婚約者が大好きだった。 今は妹扱いでも、自分が大人になれば年の差も気にならなくなり、少しづつ愛情が育つ事もあるだろうと思っていた。 だが、彼女はある日聞いてしまう。 「お役御免になる迄は、しっかりアンジーを守る」と言う彼の宣言を。 ───そうか、彼は私を守る為に、一時的に婚約者になってくれただけなのね。 それなら出来るだけ早く、彼を解放してあげなくちゃ・・・・・・。 そして二人は盛大にすれ違って行くのだった。 ※設定ユルユルですが、笑って許してくださると嬉しいです。 ※感想欄、ネタバレ配慮しておりません。ご了承ください。

25年の後悔の結末

専業プウタ
恋愛
結婚直前の婚約破棄。親の介護に友人と恋人の裏切り。過労で倒れていた私が見た夢は25年前に諦めた好きだった人の記憶。もう一度出会えたら私はきっと迷わない。

婚約解消の理由はあなた

彩柚月
恋愛
王女のレセプタントのオリヴィア。結婚の約束をしていた相手から解消の申し出を受けた理由は、王弟の息子に気に入られているから。 私の人生を壊したのはあなた。 許されると思わないでください。 全18話です。 最後まで書き終わって投稿予約済みです。

【完結】少年の懺悔、少女の願い

干野ワニ
恋愛
伯爵家の嫡男に生まれたフェルナンには、ロズリーヌという幼い頃からの『親友』がいた。「気取ったご令嬢なんかと結婚するくらいならロズがいい」というフェルナンの希望で、二人は一年後に婚約することになったのだが……伯爵夫人となるべく王都での行儀見習いを終えた『親友』は、すっかり別人の『ご令嬢』となっていた。 そんな彼女に置いて行かれたと感じたフェルナンは、思わず「奔放な義妹の方が良い」などと言ってしまい―― なぜあの時、本当の気持ちを伝えておかなかったのか。 後悔しても、もう遅いのだ。 ※本編が全7話で悲恋、後日談が全2話でハッピーエンド予定です。 ※長編のスピンオフですが、単体で読めます。

処理中です...