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ルミアが王女の部屋を与えられてから2週間が過ぎた。
毎晩ルミアは、城を抜け出し迷路庭園のコテージに行く。何度行っても、そこは静まり返っている。誰も訪れた気配がない。もしかしたらロンがいるかも。もしかしたら迎えにきてくれたかも。ルミアは毎晩期待する事をやめる事ができなかった。
ルミアの背中の傷は塞がり瘡蓋になった。まだ時々ひきつるように痛むが生活には支障がない。熱も下がり声が出るようになった。
「ルミア様おはようございます。」
ルミアの侍女達が部屋へ入ってきた。ルミアの身支度を手伝い、髪をとかす。
「おはよう。アンナ、ミリナ」
「本当に綺麗な黒髪ですね。城の生活には慣れましたか?」
「ええ、おかげさまで」
「帝国使者団の皆様が来られていた時は、私達がお世話していました。使者様が帰られてから、すぐにルミア様の侍女に任命され、とても光栄ですわ。」
「使者様、、、、ねえ、帝国使者団の中にロンという名の若い男性がいなかった?」
「ロン?ですか。いいえ、使者様のお名前は全員把握していますが、そのような方はおられなかったと思います。どうかなさいましたか?」
「いいえ、なんでもないの。」
(使者団の中にロンがいない?どうゆうことなの?)
窓の外は、満開の桜が風に吹かれ揺れている。舞い上がった桜の花びらが窓から入り込み、目の前のコップの水に浮かんだ。
桜の花びらは水の中をゆらゆら揺れながら沈んでいき、光の中で消えたり、浮かび上がったりする。
存在しているのに、見えない。確かにいたはずなのに幻のようにも感じる。
目の前の鏡を見ると、絹のレースドレスを身にまとい、艶のある黒髪を結い上げられ真珠の髪飾り、ネックレスをつけた肌の白い女性がいる。鏡に映っているのはルミア王女だ。ずっと幽霊姫と呼ばれ、塔に閉じ込められ、存在する事すら許されなかった私がいる。
「本当にお綺麗ですわ。ルミア様」
「ありがとう」
ルミアは、少しだけ微笑んだ。
毎晩ルミアは、城を抜け出し迷路庭園のコテージに行く。何度行っても、そこは静まり返っている。誰も訪れた気配がない。もしかしたらロンがいるかも。もしかしたら迎えにきてくれたかも。ルミアは毎晩期待する事をやめる事ができなかった。
ルミアの背中の傷は塞がり瘡蓋になった。まだ時々ひきつるように痛むが生活には支障がない。熱も下がり声が出るようになった。
「ルミア様おはようございます。」
ルミアの侍女達が部屋へ入ってきた。ルミアの身支度を手伝い、髪をとかす。
「おはよう。アンナ、ミリナ」
「本当に綺麗な黒髪ですね。城の生活には慣れましたか?」
「ええ、おかげさまで」
「帝国使者団の皆様が来られていた時は、私達がお世話していました。使者様が帰られてから、すぐにルミア様の侍女に任命され、とても光栄ですわ。」
「使者様、、、、ねえ、帝国使者団の中にロンという名の若い男性がいなかった?」
「ロン?ですか。いいえ、使者様のお名前は全員把握していますが、そのような方はおられなかったと思います。どうかなさいましたか?」
「いいえ、なんでもないの。」
(使者団の中にロンがいない?どうゆうことなの?)
窓の外は、満開の桜が風に吹かれ揺れている。舞い上がった桜の花びらが窓から入り込み、目の前のコップの水に浮かんだ。
桜の花びらは水の中をゆらゆら揺れながら沈んでいき、光の中で消えたり、浮かび上がったりする。
存在しているのに、見えない。確かにいたはずなのに幻のようにも感じる。
目の前の鏡を見ると、絹のレースドレスを身にまとい、艶のある黒髪を結い上げられ真珠の髪飾り、ネックレスをつけた肌の白い女性がいる。鏡に映っているのはルミア王女だ。ずっと幽霊姫と呼ばれ、塔に閉じ込められ、存在する事すら許されなかった私がいる。
「本当にお綺麗ですわ。ルミア様」
「ありがとう」
ルミアは、少しだけ微笑んだ。
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