流星痕

サヤ

文字の大きさ
89 / 114
結の星痕

常夏の一時

しおりを挟む
 夏も終わりを迎えようとしているとは言え、この時期の雨は、まだまだ沢山の湿気を含んでいる。
 なんとか一雨来る前に協会に戻って来られたグラフィアスは、念の為武器つ付いた湿気や汚れを拭おうと、準備を始める。
 普段から抜き身の状態なので少しでも手入れを怠ると、すぐに不調を来す。
 各自割り当てられた部屋に戻り、大剣を背から降ろして寝台に腰掛ける。
 柄の部分を持って片手で持ち上げ、光の加減を変えながら全体を満遍なくチェックする。
 どうやら、どこにも不備は見当たらないようだ。
 よし。これなら軽い手入れだけで済むな。
 軽く安堵し、グラフィアスは手持ちの研石で軽く研磨し、錆止めとしてオリーブ油を全体にムラ無く丁寧に塗り付ける。
 そして仕上げに柔らかな羊毛で吹き上げれば終了、というところで、外から騒々しい音が響き、勢い良く部屋の扉が開かれた。
 そこに立っていたのは、ルクバットだった。
 雨に降られたようで全身ずぶ濡れで、髪の毛からは大粒の雫がぼたぼたと滴っている。
「降られたのか。災難だったな」
 グラフィアスは一旦大剣を横に置き、机に置いてあった大きめのタオルを手に取り、ルクバットの頭上へ乱雑に落とす。
「グラン兄……」
 ぽつりと、ルクバットは絞り出すように呟き、涙を湛えた瞳を上げた。
「俺、もっと強くなりたい。だから、俺に剣を教えて欲しいんだ!」
「……」
 それは、以前にも聞いた台詞だ。
 だが今回は、前に聞いたそれとは明らかに重みがあった。
 何かを決心したような、心の底から強くなりたいと願う、そんな強い意志が伝わってくる。
 彼がこう言う時は、間違いなくアウラが絡んでいる。
「それと、これ……」
 かちゃりと音を立てて差し出してきたのは、アウラがスレイヤー承認の際に受け取った節刀だった。
「アウラに返そうとしたら、そのまま持ってろって言われて……。でも俺、刀なんか使った事ないからさ。グラン兄が持ってた方が良いと思うんだ」
「……お前は、武器を他人に預ける意味を知らないのか?」
「え?」
 この様子だと、分かっていないようだ。
 それもそのはずだ。
 そんな行為に意味を見出しているのは、武を重んじるポエニーキスの武人くらいだ。
 武器は、武人の魂そのもの。
 それを他人に預けるというのは、命を差し出すのに等しい。
 あの女アウラも、この意味を知らずなに預けたのか……?
「グラン兄?」
 なかなか返事をしないグラフィアスに声を掛けるルクバット。
「……分かった。だが預かるだけだ。これを使えるのは、お前かあいつだけだからな。いいな?」
「……?うん。ありがとう」
 今一状況を理解していないルクバットから節刀を受け取る。
 グラフィアスはそれを肩に掛けるようにして背中を向ける。
「それとな。前にも言ったが、俺は稽古はつけないからな」
「そんな!俺もっと強くなりたいんだよ。もう頼れるのはグラン兄しかいないんだ。だからお願いなんだ、何でもするからさ!」
 必死に訴えるルクバットだが、グラフィアスは顔を合わせず、節刀を寝台脇に置いて大剣の手入れに戻る。
「お前が言ったんだぞ。剣は使えないって。俺とお前じゃ、戦闘スタイルが違いすぎる。ズブの素人ならともかく、今の俺に教えてやれる事なんて何も無い」
「そこをなんとか……」
「甘えるな!誰かに強くしてもらおうとしている内は、絶対に強くなんてなれないやしない!」
「……っ」
 ぐぅ、と押し黙るルクバット。
 グラフィアスは、磨き終えた大剣の最終チェックをし、手入れ道具を片付け始める。
「強くたきゃ盗め。貪欲にな」
「グラン兄……」
 グラフィアスはそれ以上何も言わない。
「分かった。ありがとう、グラン兄」
 ルクバットは深々とお礼をし、そしてようやく部屋から出て行った。
 それを見届けてから、グラフィアスは軽いため息をつく。
「つくづく甘いな。俺も」
 そう呟いた瞬間、


 ぼぅ、


 唐突に火が炊き上がる音が聞こえ、暖炉にくべられていた薪が爆ぜる音が部屋に響いた。
「何だ?」
 不思議に思い近付いてみると、暖炉の中で青い炎が揺らめいていた。
 その炎は、意志を持っているかのようにゆらゆらと揺らめいている。
「……ち。そういう事か」
 その炎を見つめながら、グラフィアスは苦々しげにそう舌打ちした。


     †


「……これって」
 雨に降られ、すっかり冷え切った身体を湯殿屋で温めたアウラとシェアトは、宿舎のアウラの部屋で雑談をしていた。
 その際に、アウラが飲み物を作ってくれ、たった今、それが目の前に置かれた。
 見た目はカプチーノやカフェラテのようだが、それらよりも泡の量が少なく、おそらくシェアトはよく知った飲み物。
 それを肯定するように、アウラはにこりと微笑み、その名を口にする。
「はい。フラットホワイト」
「なんだ。アウラも知ってたんだ」
「うん。昔、ベナトに教えてもらってたんだ。ヴェガさんが、あいつに教えてたんだろうね。ホットで良かった?」
「大丈夫、ありがとう」
 アウラが席を挟んで向かい側、自分の正面に座るのを確認してから、目の前に置かれたフラットホワイトを眺め、一口飲む。
 父が淹れてくれていた物より、エスプレッソの苦みが深い。
「少しアレンジしてるから、前にシェアトが淹れてくれたやつより、ちょっと苦いかもしれない」
「そうだね。でも、これもすごく美味しいよ。……昔はお父さんが淹れてくれたやつも苦くて飲めなかったのに、こんなに美味しかったんだね」
 ちょっとした変化だが、シェアトにはそれが嬉しく感じられた。
 そして、自分の知らないところで父との繋がりを見つけられた事も。
「……ねえ。アウラってもしかして、ベナトシュさんのこと好きだったの?」
 暖かいコップを弄りながら投げかけた、唐突な質問。
 今に至るまでのアウラの様子を見ていて、何となくそんな感じがして聞いてみた。
 アウラはその質問の意味を正確に読み取ってくれたようで、飲もうと口元まで運んでいたコップの動きがぴた、と泊まり、暫くして机の上に置いた。
「んー……。どうだろう?別に嫌いじゃなかったけど、そういうのとは、多分違うと思う」
「あ、否定はしないんだ」
 あまりにも素直な反応が返ってきた為そう言うと、アウラは可笑しそうに笑った。
「一応ね。でも、質問しておいてその反応はあんまりだな」
「ああ、ごめんごめん。じゃあ違うって言うんなら、どういうのなの?」
「そうだな……。どちらかというと、父親みたいな存在、かな?とは言っても、父様とはかけ離れた性格だったけどね。年齢が近いくらいかな」
「そっか。お父様とは、仲が良かったの?」
「とても厳しいけど、優しい方だったよ。国王だから忙しくて、あまり構ってはもらえなかったけど、エルと一緒にイタズラとかして、一緒に怒られてた」
 エル……。エラルドさん。近衛師団の団長で、ルク君のお母さん。
 アウラとしての顔を見せるようになってからは、よく出てくる名前だ。
「アウラはエラルドさんとは、いつから一緒にいるの?」
「生まれた時からずっとだよ。エルは父様の盾だから、重要な任務がある時はいないけど、誰よりも私の側にいてくれた、とても大切な、私の翼だ」
 口調も表情も、とても柔らかい。
 心の底から大切に思っている証拠だ。
「そっか……。幸せ者だね、アウラは」
「うん、そう思うよ。……ところで、さ。シェアトの方こそどうなの?」
「え、私?何が?」
 質問ばかりしていたので、アウラが何を聞いているのか分からない。
 するとアウラは、悪戯っぽくにやりと笑う。
「またぁ、とぼけちゃって。シェアトは好きな人とかいないの?私だけに質問して、自分は逃げるとかないよね?」
「えー?いないよ。村はお年寄りばかりだし、学校ではエニフ様に教わるか、子供に教えてるくらいだから、あまり男性に会わないし」
「そのエニフ様は?」
「ないない!確かに憧れではあるけど、好きとかそんなんじゃないよ!」
 そもそも、天子様の元夫だなんて知った今じゃ、普通に会話するのですら気が引けるよ……。
 両手で大きく否定すると、アウラは尚も面白そうに笑う。
「ふーん?ならあいつらの中から選ぶか……。何気にグラフィアスと仲良いよね?」
「たまたま話したい事がいっぱいあっただけだよ、普通だから」
「そう?まあ、属性的な相性は良くないよね。じゃあフォーさんは?大人しいし優しいし、ピッタリじゃない?」
「なんでそうなるの?そりゃ、フォーさんは優しいと思うけど……」
「意外と拘るんだね。ルクバットはちょっと許可を出せないし……あ、もしかしてベイド狂を狙ってる?あまり良い趣味とは思えないけど」
「ちーがーいーまーす~。はい、もうこの話終わり!話題変えよ」
 顔を真っ赤にして抗議すると、アウラはさも楽しそうに笑う。
「あはは!ごめん、冗談。はぁ~。なら、最後の目的地の話でもする?あそこは冬場でも気温が三十度を超える事もあるから、行くのは年末まで待とうと思ってるんだ。だから……」
 女同士の他愛ない会話。
 そんな穏やかな時間が流れるこの瞬間を、幸せだと感じながらシェアトはアウラの言葉に耳を傾ける。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

慈愛と復讐の間

レクフル
ファンタジー
 とある国に二人の赤子が生まれた。  一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。  慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。  これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。  だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。 大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。  そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。  そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。  慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。  想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...