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生一話 ちょっと待って、ここ何処⁉︎
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「…………えっ? ここ何処?」
目が覚めたら森ではなく、真っ白な壁や床、大きな柱がある神殿のような所にいた。
「目が覚めたようだな」
「誰⁉︎」
謎の渋い声が聞こえて振り向いた。
まるで神様が座るような大きな玉座にかき上げた白髪に短めのお洒落な白髭、神父が着るような白い修道服の超イケメンオジ様が座っていた。蔵様には悪いけど、全盛期のリチャード・ギア様には誰も勝てない!
「私は百合神。埼玉県加須市(かぞし)北下新井を担当している百合神だ」
(私、群馬県なんだけど‼︎)
超ドキドキの超イケメンオジ様なのに、私との接点がまったく見当たらない。
パパかママの親戚を探したら、いるかもしれないぐらいの心当たりしかない。
「その通りだ。だが、お前達二人の許されざる百合を見て、県を超えて手助けしたくなった。だが、それも許されざる事だ。群馬の百合神に見つかってしまった。もう生き返らせる事は出来ない」
「そ、そんなぁー……」
ギア様が私の心の声を勝手に読んだ事は、とりあえず置いておいて。
ちょっと待ってほしい。もう生き返れないって事はペトラを助ける事が出来なくなる。
それは本当に困る。
「分かっている。それが若さというものだ。二人の少女のどちらを選ぶべきか……苦渋の決断だろう。だが、二股は許されざる事だ。そこでお前には二つの道を用意した。天国への道と苦難への道だ」
また勝手に心の中を読まれてしまった。しかも、百合二股女と思われている。
大きな誤解だけど、今は二つの道のどっちを選ぶか考えるのが優先だ。
天国がどんな所か分かんないけど、絶対に幸せになれそうな予感しかない。
逆に苦難の道は絶対に不幸しか落ちてない。
またボロボロになって、死にかける私の姿が想像できる。
しかも、今度死んだら正真正銘の終わり。バッドエンド(最悪の終わり方)になる。
「その通りだ。理解力があって助かる。お前の考えている通りだ。天国には幸福という感情しか存在しない。怒りや悲しみといった感情は存在しない。悪い言い方をするなら、ある種の洗脳や中毒状態になるようなものだ」
洗脳って……何だか急に行くのが怖くなる単語が出てきた。
空気中に変なガスを充満させて、皆んなヘラヘラ笑っている感じだろうか?
「そこまで酷くはない。永遠に続く花畑と青空、白い砂浜の追いかけっこ。おそらくそれに近いだろうな」
「なるほど。それなら悪くないかも」
白い砂浜の追いかけっこは相手次第だけど、ギア様となら悪くない。
きっと捕まったら砂浜でイケナイ事をされてしまう。
ぐぅへへへへへ……
『きゃあっ! 捕まちゃった♡』
『もう逃げられない。覚悟しろ、本当の天国に連れて行ってやる』
『きゃああああ♡』
あーダメダメ! 砂山に埋められたら身動き取れないよぉー!
ガタンゴトン、ガタンゴトン。きゃあっ、快速列車が来ちゃった!
「ぐぅっ! その妄想をすぐにやめろ‼︎ 気分が悪くなる‼︎」
「す、すみません‼︎ すぐにやめます‼︎」
ヤバイヤバイ! ギア様が心の中を読めるのを忘れていた。
砂山に書いた『ルカトンネル開通式』は今すぐ頭の中から消します。
本当にすみません!
「ふぅー、信じられない変態だな。私は百合神、男と女の交わりは想像するだけでも気分が悪くなる。二度とするな」
「はい、すみませんでした。……それで苦難の道はどんな道なんでしょうか?」
男なのに百合神になれるのが不思議だけど、きっと女子がBL好きなように、きっと男子はGLが好きなんだと思う。
とにかく真面目な話に戻さないと。このままだと百合二股変態女になってしまう。
「お前が知っている道だ。もう一度時間を戻して、森の中から始めてもらう。少女と母親を助ける最後のチャンスだ」
「最後のチャンス……」
訊いてみたけど、予想していた通りの答えだった。
これが本当に最後のチャンス、失敗すれば本当に終わりだ。
誰かが死んでしまったら、もう助けるチャンスはない。
「時間だ。お前の答えを聞かせてもらおう。天国か救済か、お前はどちらの道を選ぶ?」
時間切れらしい。ギア様が訊いてきた。
私が選ぶ道は……目を閉じると気持ちを落ち着かせた。
考えなくても答えはもう決まっている。きっと私は後悔する。
この胸のモヤモヤしたものが消えてくれないと気分が悪いんだ。
「それがお前の答えか……では、私からの贈り物だ。お前の武器に『聖なる力』を授ける。その力があれば母親を助けられるかもしれない」
苦難の道を選ぶと左胸が熱く光った。包丁に聖なる神様の力が宿ったみたいだ。
「えっ、ラナさんを助けられるんですか⁉︎」
「それはお前の頑張り次第だ。では、健闘を祈る。百合親娘二股変態女のルカよ」
ちょっ、ちょっと待って‼︎ 色々と訊きたい事も言いたい事もある。
それなのに白い神殿の床や壁が、森の中にいるみたいに風景が変わり始めた。
ギア様は透明になっていく。神様助けてくれるなら、ラナさん直接助けてよ!
目が覚めたら森ではなく、真っ白な壁や床、大きな柱がある神殿のような所にいた。
「目が覚めたようだな」
「誰⁉︎」
謎の渋い声が聞こえて振り向いた。
まるで神様が座るような大きな玉座にかき上げた白髪に短めのお洒落な白髭、神父が着るような白い修道服の超イケメンオジ様が座っていた。蔵様には悪いけど、全盛期のリチャード・ギア様には誰も勝てない!
「私は百合神。埼玉県加須市(かぞし)北下新井を担当している百合神だ」
(私、群馬県なんだけど‼︎)
超ドキドキの超イケメンオジ様なのに、私との接点がまったく見当たらない。
パパかママの親戚を探したら、いるかもしれないぐらいの心当たりしかない。
「その通りだ。だが、お前達二人の許されざる百合を見て、県を超えて手助けしたくなった。だが、それも許されざる事だ。群馬の百合神に見つかってしまった。もう生き返らせる事は出来ない」
「そ、そんなぁー……」
ギア様が私の心の声を勝手に読んだ事は、とりあえず置いておいて。
ちょっと待ってほしい。もう生き返れないって事はペトラを助ける事が出来なくなる。
それは本当に困る。
「分かっている。それが若さというものだ。二人の少女のどちらを選ぶべきか……苦渋の決断だろう。だが、二股は許されざる事だ。そこでお前には二つの道を用意した。天国への道と苦難への道だ」
また勝手に心の中を読まれてしまった。しかも、百合二股女と思われている。
大きな誤解だけど、今は二つの道のどっちを選ぶか考えるのが優先だ。
天国がどんな所か分かんないけど、絶対に幸せになれそうな予感しかない。
逆に苦難の道は絶対に不幸しか落ちてない。
またボロボロになって、死にかける私の姿が想像できる。
しかも、今度死んだら正真正銘の終わり。バッドエンド(最悪の終わり方)になる。
「その通りだ。理解力があって助かる。お前の考えている通りだ。天国には幸福という感情しか存在しない。怒りや悲しみといった感情は存在しない。悪い言い方をするなら、ある種の洗脳や中毒状態になるようなものだ」
洗脳って……何だか急に行くのが怖くなる単語が出てきた。
空気中に変なガスを充満させて、皆んなヘラヘラ笑っている感じだろうか?
「そこまで酷くはない。永遠に続く花畑と青空、白い砂浜の追いかけっこ。おそらくそれに近いだろうな」
「なるほど。それなら悪くないかも」
白い砂浜の追いかけっこは相手次第だけど、ギア様となら悪くない。
きっと捕まったら砂浜でイケナイ事をされてしまう。
ぐぅへへへへへ……
『きゃあっ! 捕まちゃった♡』
『もう逃げられない。覚悟しろ、本当の天国に連れて行ってやる』
『きゃああああ♡』
あーダメダメ! 砂山に埋められたら身動き取れないよぉー!
ガタンゴトン、ガタンゴトン。きゃあっ、快速列車が来ちゃった!
「ぐぅっ! その妄想をすぐにやめろ‼︎ 気分が悪くなる‼︎」
「す、すみません‼︎ すぐにやめます‼︎」
ヤバイヤバイ! ギア様が心の中を読めるのを忘れていた。
砂山に書いた『ルカトンネル開通式』は今すぐ頭の中から消します。
本当にすみません!
「ふぅー、信じられない変態だな。私は百合神、男と女の交わりは想像するだけでも気分が悪くなる。二度とするな」
「はい、すみませんでした。……それで苦難の道はどんな道なんでしょうか?」
男なのに百合神になれるのが不思議だけど、きっと女子がBL好きなように、きっと男子はGLが好きなんだと思う。
とにかく真面目な話に戻さないと。このままだと百合二股変態女になってしまう。
「お前が知っている道だ。もう一度時間を戻して、森の中から始めてもらう。少女と母親を助ける最後のチャンスだ」
「最後のチャンス……」
訊いてみたけど、予想していた通りの答えだった。
これが本当に最後のチャンス、失敗すれば本当に終わりだ。
誰かが死んでしまったら、もう助けるチャンスはない。
「時間だ。お前の答えを聞かせてもらおう。天国か救済か、お前はどちらの道を選ぶ?」
時間切れらしい。ギア様が訊いてきた。
私が選ぶ道は……目を閉じると気持ちを落ち着かせた。
考えなくても答えはもう決まっている。きっと私は後悔する。
この胸のモヤモヤしたものが消えてくれないと気分が悪いんだ。
「それがお前の答えか……では、私からの贈り物だ。お前の武器に『聖なる力』を授ける。その力があれば母親を助けられるかもしれない」
苦難の道を選ぶと左胸が熱く光った。包丁に聖なる神様の力が宿ったみたいだ。
「えっ、ラナさんを助けられるんですか⁉︎」
「それはお前の頑張り次第だ。では、健闘を祈る。百合親娘二股変態女のルカよ」
ちょっ、ちょっと待って‼︎ 色々と訊きたい事も言いたい事もある。
それなのに白い神殿の床や壁が、森の中にいるみたいに風景が変わり始めた。
ギア様は透明になっていく。神様助けてくれるなら、ラナさん直接助けてよ!
応援ありがとうございます!
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