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第九話 子竜山に行ってみた
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コツコツ、コツコツ。
寝ていると窓を突く音が聞こえてきた。
ピーちゃんが帰ってきたみたいだ。
こんなに長く寝るなんて思わなかった。
ベッドから起きると窓の外を飛ぶ青い鳥を見た。
首から茶色の袋をぶら下げて、両脚に綺麗なエメラルドの小さな脚輪をつけている。
買い物の仕方は教えなくていいみたいだ。だけど、節約は教えないと駄目みたいだ。
あれだと稼いだお金も次の日にはなくなってしまう。
「ピーちゃん、お帰り」
『ただいま。お腹減った』
窓を上に押し開けて、ピーちゃんを部屋の中に迎えてあげた。
お腹減っているみたいだけど、今度からは高い装飾品買わずにご飯買うんだよ。
「はい、木の実でいい?」
『何でもいい』
砕いた木の実とプロテイン入りの牛乳を窓枠に置いた。
『そうだ、お土産ある。今度は間違えなかった』
「今度はって、またどこかに行ってきたの?」
『うん、ニセドラの所に行ってきた。赤い石いっぱい拾ってきた』
「?」
ピーちゃんが何を言っているのかよく分かんないけど、脚輪以外にも色々と聞かないといけない。
ご飯を食べ終わるのを待つと、ピーちゃんに何をしてきたのか聞いたみた。
♢♢♢
家を旅立ったピーちゃんは子竜山に再挑戦したそうだ。
それも冒険者ギルドでクエスト受けずに、勝手に行ったそうだ。
この時点で問題ありそうだけど、今は黙って聞くことにしよう。
『飛ばないドラゴンがいる山、どっち?』
ピーちゃん、山の名前覚えてないでしょ。
子竜山だよ。街の北側にある山だよ。
『ああ、あの偽ドラゴンならあっちにいるよ』
『分かった。行ってみる』
『アイツらの卵は食べるなよ。毒あるからな』
空を飛んでいた鳥の群れに聞いたら教えてくれたそうだ。
ピーちゃん、お土産ってそれじゃないよね? ウンチの次は毒卵なの?
それって友達へのお土産じゃなくて、嫌いな人へのお土産だよ。
別の意味でハラハラ、ドキドキしながらピーちゃんの話を聞き続けた。
目的の子竜山にはすぐにたどり着けたそうだ。
そりゃー街から近い方の山だからね。
さて、無事に子竜山に到着したピーちゃんは空から穴を探したそうだ。
でも、山に開いている穴は見つからなかったらしい。
でも、地面に開いている穴は何個も見つけたそうだ。
ピーちゃん、もう気づいていると思うけど、地面に開いている穴も穴だよ。
子竜山の穴は横じゃなくて、下にあるんだと思うよ。
『あっ、ニセドラ見つけた』
全然気づいてない。別のに気がついた。
地面の穴に茶色い大トカゲを見つけた。
ベッドよりもちょっとだけ小さかったそうだ。
僕の中ではそれは十分大きいって言うよ。
『あっ、丸い石見つけた。持って帰らないと』
巣穴に丸い石を見つけた後は楽勝だったらしい。
ニセドラのいない巣穴から赤い丸石と灰色の楕円石を拾って、ニセドラがやってきたら逃げたそうだ。
それを繰り返して、たくさん石を集めたそうだ。
ピーちゃん、ウンチはいいけど、卵は後で返しに行くんだよ。
もちろん僕に言われる前に冒険者ギルドのお姉さんに言われたそうだ。
「ごめんね、鳥さん。【赤影石】は買い取れるんだけど、卵は無理なの。子供ドラゴンがいなくなると赤影石が取れなくなるでしょ? 魔物を保護するのも冒険者ギルドの仕事なのよ。まあ、討伐対象の魔物には容赦しないんだけどね」
『ふぅ~ん、そうなんだ』
ピーちゃん、また聞いてないでしょ。今、警告されているんだよ。
このままだと討伐対象の魔物になるんだからね。
後で卵は絶対返しに行くんだよ。
「赤影石は買い取らせてもらうわね。それと鳥さんの装備が完成してるわよ。小さいから簡単に作れて助かったそうよ」
お姉さんが収納袋から赤影石を全部取り出すと、一個だけ袋に戻した。
そして、受付の上にエメラルドの指輪を二つ置いた。
「これは魔竜石から取り出した風属性の結晶から作られた【風の指輪】よ。これを脚につければ、今よりも速く飛べるようになるわ」
『えっ、本当? わぁーい、もっと速く飛べるんだ!』
お姉さんが色々説明してくれているけど、ピーちゃん全然聞いてない。
魔竜石、つまりウンチの中には『火・水・風・地』の四種類の属性が残っていて。
灰色ドラゴンが吸収できなかった強い属性が、ウンチと一緒に外に出るそうだ。
ウンチの材料は灰色ドラゴンが食べた魔物の肉や骨だ。
ドラゴンと呼ばれる魔物の胃の中には火炎袋があって、ドロドロに溶かされることで綺麗な丸い石が作られる。
子供ドラゴンにも退化しているけど火炎袋がある。
だから、綺麗な石が作れて、ドラゴンの仲間にされている。
とここまでがお姉さんの説明になる。
もちろんピーちゃんが『こんなこと言ってた気がする』と言っているだけで本当に言ったかは分からない。
もちろん僕もピーちゃんが鳥なので、記憶力がそんなに良いとは思っていない。
あとで自分で調べて確認するのが僕の冒険だ。
「ヒヒヒヒ。採取しか出来ねえとは、とんだチキン野朗だな。おっと正真正銘のチキンだったな」
お金と風の指輪を貰って帰ろうとしたら、意地悪そうな男が扉を塞いで言ってきたそうだ。
『帰るから退いて』
勇気と行動力のあるピーちゃんは、ハッキリと言ってやったそうだ。
「ああ、退いてやりますよ。一人じゃ扉も開けられねえ、飛んで逃げるだけしか出来ねえ腰抜けチキンが。今度から俺が扉を開けてやるよ。一回小金貨一枚だ。鳥のくせに楽して稼ぎやがって。俺にも楽に稼がせてくれよな」
『ぐぅぅぅ!』
意地悪な男が扉から退いたので、ピーちゃんは扉を全力で押したそうだ。
男が話している間も全力で押し続けたそうだ。
……ピーちゃん。お金払ってないよね?
寝ていると窓を突く音が聞こえてきた。
ピーちゃんが帰ってきたみたいだ。
こんなに長く寝るなんて思わなかった。
ベッドから起きると窓の外を飛ぶ青い鳥を見た。
首から茶色の袋をぶら下げて、両脚に綺麗なエメラルドの小さな脚輪をつけている。
買い物の仕方は教えなくていいみたいだ。だけど、節約は教えないと駄目みたいだ。
あれだと稼いだお金も次の日にはなくなってしまう。
「ピーちゃん、お帰り」
『ただいま。お腹減った』
窓を上に押し開けて、ピーちゃんを部屋の中に迎えてあげた。
お腹減っているみたいだけど、今度からは高い装飾品買わずにご飯買うんだよ。
「はい、木の実でいい?」
『何でもいい』
砕いた木の実とプロテイン入りの牛乳を窓枠に置いた。
『そうだ、お土産ある。今度は間違えなかった』
「今度はって、またどこかに行ってきたの?」
『うん、ニセドラの所に行ってきた。赤い石いっぱい拾ってきた』
「?」
ピーちゃんが何を言っているのかよく分かんないけど、脚輪以外にも色々と聞かないといけない。
ご飯を食べ終わるのを待つと、ピーちゃんに何をしてきたのか聞いたみた。
♢♢♢
家を旅立ったピーちゃんは子竜山に再挑戦したそうだ。
それも冒険者ギルドでクエスト受けずに、勝手に行ったそうだ。
この時点で問題ありそうだけど、今は黙って聞くことにしよう。
『飛ばないドラゴンがいる山、どっち?』
ピーちゃん、山の名前覚えてないでしょ。
子竜山だよ。街の北側にある山だよ。
『ああ、あの偽ドラゴンならあっちにいるよ』
『分かった。行ってみる』
『アイツらの卵は食べるなよ。毒あるからな』
空を飛んでいた鳥の群れに聞いたら教えてくれたそうだ。
ピーちゃん、お土産ってそれじゃないよね? ウンチの次は毒卵なの?
それって友達へのお土産じゃなくて、嫌いな人へのお土産だよ。
別の意味でハラハラ、ドキドキしながらピーちゃんの話を聞き続けた。
目的の子竜山にはすぐにたどり着けたそうだ。
そりゃー街から近い方の山だからね。
さて、無事に子竜山に到着したピーちゃんは空から穴を探したそうだ。
でも、山に開いている穴は見つからなかったらしい。
でも、地面に開いている穴は何個も見つけたそうだ。
ピーちゃん、もう気づいていると思うけど、地面に開いている穴も穴だよ。
子竜山の穴は横じゃなくて、下にあるんだと思うよ。
『あっ、ニセドラ見つけた』
全然気づいてない。別のに気がついた。
地面の穴に茶色い大トカゲを見つけた。
ベッドよりもちょっとだけ小さかったそうだ。
僕の中ではそれは十分大きいって言うよ。
『あっ、丸い石見つけた。持って帰らないと』
巣穴に丸い石を見つけた後は楽勝だったらしい。
ニセドラのいない巣穴から赤い丸石と灰色の楕円石を拾って、ニセドラがやってきたら逃げたそうだ。
それを繰り返して、たくさん石を集めたそうだ。
ピーちゃん、ウンチはいいけど、卵は後で返しに行くんだよ。
もちろん僕に言われる前に冒険者ギルドのお姉さんに言われたそうだ。
「ごめんね、鳥さん。【赤影石】は買い取れるんだけど、卵は無理なの。子供ドラゴンがいなくなると赤影石が取れなくなるでしょ? 魔物を保護するのも冒険者ギルドの仕事なのよ。まあ、討伐対象の魔物には容赦しないんだけどね」
『ふぅ~ん、そうなんだ』
ピーちゃん、また聞いてないでしょ。今、警告されているんだよ。
このままだと討伐対象の魔物になるんだからね。
後で卵は絶対返しに行くんだよ。
「赤影石は買い取らせてもらうわね。それと鳥さんの装備が完成してるわよ。小さいから簡単に作れて助かったそうよ」
お姉さんが収納袋から赤影石を全部取り出すと、一個だけ袋に戻した。
そして、受付の上にエメラルドの指輪を二つ置いた。
「これは魔竜石から取り出した風属性の結晶から作られた【風の指輪】よ。これを脚につければ、今よりも速く飛べるようになるわ」
『えっ、本当? わぁーい、もっと速く飛べるんだ!』
お姉さんが色々説明してくれているけど、ピーちゃん全然聞いてない。
魔竜石、つまりウンチの中には『火・水・風・地』の四種類の属性が残っていて。
灰色ドラゴンが吸収できなかった強い属性が、ウンチと一緒に外に出るそうだ。
ウンチの材料は灰色ドラゴンが食べた魔物の肉や骨だ。
ドラゴンと呼ばれる魔物の胃の中には火炎袋があって、ドロドロに溶かされることで綺麗な丸い石が作られる。
子供ドラゴンにも退化しているけど火炎袋がある。
だから、綺麗な石が作れて、ドラゴンの仲間にされている。
とここまでがお姉さんの説明になる。
もちろんピーちゃんが『こんなこと言ってた気がする』と言っているだけで本当に言ったかは分からない。
もちろん僕もピーちゃんが鳥なので、記憶力がそんなに良いとは思っていない。
あとで自分で調べて確認するのが僕の冒険だ。
「ヒヒヒヒ。採取しか出来ねえとは、とんだチキン野朗だな。おっと正真正銘のチキンだったな」
お金と風の指輪を貰って帰ろうとしたら、意地悪そうな男が扉を塞いで言ってきたそうだ。
『帰るから退いて』
勇気と行動力のあるピーちゃんは、ハッキリと言ってやったそうだ。
「ああ、退いてやりますよ。一人じゃ扉も開けられねえ、飛んで逃げるだけしか出来ねえ腰抜けチキンが。今度から俺が扉を開けてやるよ。一回小金貨一枚だ。鳥のくせに楽して稼ぎやがって。俺にも楽に稼がせてくれよな」
『ぐぅぅぅ!』
意地悪な男が扉から退いたので、ピーちゃんは扉を全力で押したそうだ。
男が話している間も全力で押し続けたそうだ。
……ピーちゃん。お金払ってないよね?
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