虐げられた皇女は父の愛人とその娘に復讐する

ましゅぺちーの

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皇女シャーロット編

冷遇されている皇女

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「殿下、食事です。」


目の前に出されたのは固いパンと冷えたスープだ。


こんなのにはもう慣れた。


キャサリンの息のかかった侍女が出て行ったのを確認して私は目の前の食事に手をつける。


今頃他の家族は皆で一緒に食事をとっている頃だろう。


私はお呼びではないのだ。


親切にしてくれた侍女は皆キャサリンによって辞めさせられてしまった。


与えられた部屋も皇女が使うものではない。


お母様が亡くなった時私はお父様に顔も見たくないからと王宮の隅の部屋に追いやられてしまった。


まぁこちらとしてもお父様やキャサリンたちの顔を見なくて済むのは気が楽だが。





食事が終わり、皿を持って部屋を出る。


侍女たちは食事を持ってきてくれるが、片付けてはくれないので自分で厨房に持っていかなければいけない。


お母様が亡くなってからずっと続いていることだ。



厨房に入ると中にはシェフと数人の使用人が談笑していた。


職務をほったらかして世間話しているのか。


普通皇族と会った時は身分が下の者から挨拶をしなければいけない。


だが彼らはそれすらしない。


私を一瞥してまた談笑する。


私の仕事は皿を厨房に持ってくるだけではない。


厨房に持って行った皿を洗わなければいけないのだ。


いくらなんでもこれはおかしいと昔洗わずに置いておいたことがあった。


そしたら次の日の食事を抜きにされたのだ。


私をいない者扱いする使用人をよそに皿を洗い始める。


腹が立つがこうでもしなければ私は生きていけないのだ。


洗い終わった皿を片付け、私は厨房をあとにした。


再び廊下を歩く。


何人もの使用人たちにすれ違うがみんな私を無視する。


それどころか陰口を叩く使用人もいる。


「見て、シャーロット第一皇女よ。」


「いつまでここに居座るつもりなのかしら。」


「第一皇女はキャサリン様やプリシラ様だけでなく皇帝陛下や皇太子殿下にも嫌われているでしょう?」


「いくらなんでも可哀そうよね~。」


使用人たちは他の皇族に嫌われている私なら何を言ってもいいと思っているのだ。


正妻の子である第一皇女にとる態度ではない。


いつまでこの地獄が続くのだろうか。


お母様に会いたい。


だけど私はまだ死ぬわけにはいかない。


私にはやるべきことがある。


それは、愛妾キャサリンとその娘のプリシラに対する復讐。


母を苦しめ、私から家族を奪った。


許すわけにはいかない。


私は今までそれだけを糧に生きてきた。




お母様、もう少しです。


私があなたの仇を必ず取ってみせます。


だから見守っていてください。


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