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皇女シャーロット編
愛妾と第二皇女
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ある日、私が廊下を歩いていると最悪な人物と出くわしてしまった。
「あら、シャーロットじゃない。」
前から鮮やかな赤髪を揺らして歩いてきたのはお父様の愛妾であるキャサリンだ。
最悪だ。
この時間はいつもキャサリンたちはお茶会をしているから出会うことはないと思っていたのに。
本当は無視してさっさと行きたいがお父様に告げ口されたら面倒だ。
「ごきげんよう。キャサリン様。」
そう言うとキャサリンは私に対して侮蔑の目を向ける。
「随分とみずぼらしい服を着ているのね。皇女だとは思えないわ。」
私が今着ているのは質素な茶色のワンピースだ。
ドレスや宝石は買ってもらえないので仕方ない。
ふとキャサリンの服を見ると宝石が大量にあしらわれた華美なドレスを着ていた。
あの一着だけでいくらするのだろうか。
お父様はあんな高そうなものを与えたのか。
心の底でキャサリンを軽蔑しながら向き合う。
「民の血税をそんなことに使うわけにはいきませんから。私はこれで十分ですわ。」
私はにっこりと微笑んでみせる。
「だけど帝国の皇女がそんな姿だなんて・・・。ウィルやアルの名に傷が付くとは思わないの?」
アル、というのはアルフレッドお兄様の愛称である。
いくら親しい仲とは言え赤の他人の前では愛称は使わないのが普通だ。
皇宮に来て何年もたっているのにそんなことすら知らないのか。
お父様も何も言わなかったわけ?
「お気遣いいただきありがとうございます。これからは皇帝陛下や皇太子殿下の名に傷がつかないようにいたしますので。」
そう言うとキャサリンは顔をゆがめた。
「その態度、ホンットに気にくわない!あの女もそうだった!どれだけ挑発しても一切動じなくて・・・」
あの女とはお母様のことだろう。
お母様にもこんな態度をとっていたとは。
さすがに許容できない。
私が言い返そうと口を開きかけたその時―
「お母様~っ!」
向こうからプリシラが走ってきたのだ。
キャサリンはプリシラを見て顔を綻ばせる。
「あら、プリシラ。」
皇族が廊下を走るだなんてはしたない。
「お母様~何してたの?」
「シャーロットがあまりにもみずぼらしく平民のようだったから注意してたのよ。そんな格好で出歩くなんてウィルとアルの顔に泥を塗る気なのかと。」
「まあ!お母様は本当に優しいのね!たしかにお姉様はいつもみずぼらしいわ。」
プリシラもキャサリンと同じく私を蔑んだ目で見る。
「お姉様、お姉様は仮にも皇族なのだからちゃんとしたドレスを着るべきよ。」
「プリシラ、シャーロットはあなたのようにドレスを買ってもらえないのよ。」
「あら!そうだったの!まぁお姉様はお父様やお兄様にも嫌われてるものね~。」
プリシラが勝ち誇ったような顔で私を見る。
「プリシラ、もう行きましょう。こんなのに構ってる暇はないわ。」
「は~い、お母様!」
私が答える前にキャサリンとプリシラは背を向けて歩き出した。
はぁ、本当に面倒くさい。
あの親子の相手をするのは疲れる。
だけどこれもお母様のためだ。
貴方達は、いつかは地獄に落ちるんだから。
「あら、シャーロットじゃない。」
前から鮮やかな赤髪を揺らして歩いてきたのはお父様の愛妾であるキャサリンだ。
最悪だ。
この時間はいつもキャサリンたちはお茶会をしているから出会うことはないと思っていたのに。
本当は無視してさっさと行きたいがお父様に告げ口されたら面倒だ。
「ごきげんよう。キャサリン様。」
そう言うとキャサリンは私に対して侮蔑の目を向ける。
「随分とみずぼらしい服を着ているのね。皇女だとは思えないわ。」
私が今着ているのは質素な茶色のワンピースだ。
ドレスや宝石は買ってもらえないので仕方ない。
ふとキャサリンの服を見ると宝石が大量にあしらわれた華美なドレスを着ていた。
あの一着だけでいくらするのだろうか。
お父様はあんな高そうなものを与えたのか。
心の底でキャサリンを軽蔑しながら向き合う。
「民の血税をそんなことに使うわけにはいきませんから。私はこれで十分ですわ。」
私はにっこりと微笑んでみせる。
「だけど帝国の皇女がそんな姿だなんて・・・。ウィルやアルの名に傷が付くとは思わないの?」
アル、というのはアルフレッドお兄様の愛称である。
いくら親しい仲とは言え赤の他人の前では愛称は使わないのが普通だ。
皇宮に来て何年もたっているのにそんなことすら知らないのか。
お父様も何も言わなかったわけ?
「お気遣いいただきありがとうございます。これからは皇帝陛下や皇太子殿下の名に傷がつかないようにいたしますので。」
そう言うとキャサリンは顔をゆがめた。
「その態度、ホンットに気にくわない!あの女もそうだった!どれだけ挑発しても一切動じなくて・・・」
あの女とはお母様のことだろう。
お母様にもこんな態度をとっていたとは。
さすがに許容できない。
私が言い返そうと口を開きかけたその時―
「お母様~っ!」
向こうからプリシラが走ってきたのだ。
キャサリンはプリシラを見て顔を綻ばせる。
「あら、プリシラ。」
皇族が廊下を走るだなんてはしたない。
「お母様~何してたの?」
「シャーロットがあまりにもみずぼらしく平民のようだったから注意してたのよ。そんな格好で出歩くなんてウィルとアルの顔に泥を塗る気なのかと。」
「まあ!お母様は本当に優しいのね!たしかにお姉様はいつもみずぼらしいわ。」
プリシラもキャサリンと同じく私を蔑んだ目で見る。
「お姉様、お姉様は仮にも皇族なのだからちゃんとしたドレスを着るべきよ。」
「プリシラ、シャーロットはあなたのようにドレスを買ってもらえないのよ。」
「あら!そうだったの!まぁお姉様はお父様やお兄様にも嫌われてるものね~。」
プリシラが勝ち誇ったような顔で私を見る。
「プリシラ、もう行きましょう。こんなのに構ってる暇はないわ。」
「は~い、お母様!」
私が答える前にキャサリンとプリシラは背を向けて歩き出した。
はぁ、本当に面倒くさい。
あの親子の相手をするのは疲れる。
だけどこれもお母様のためだ。
貴方達は、いつかは地獄に落ちるんだから。
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