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番外編
1 大切なもの アレックス視点
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「ソフィア……」
俺はこの日、全てを失った。
勇者としての輝かしい地位も、憧れだった都会での生活も…………ソフィアも。
――何故、ずっと気付けなかったんだろうか。
馬車に揺られながらずっと考えていた。
俺は今日、王都を追放される。
そして二度と足を踏み入れることは叶わない。
つまり、二度とソフィアにも会えないということだ。
「ソフィア……最後に一度だけで良いから会わせてくれよ……」
「ダメだ、あの方は既に国王陛下の婚約者であらせられるのだぞ!勇者の地位も失ったお前が会えるわけないだろう」
「そんな……」
何故こうなってしまったのか。
俺は一体どこで間違えてしまったのか。
(俺があのときソフィアを裏切ったからか?だからこんなことに……)
今さら後悔したところでもう遅かった。
彼女が戻ってくることは永遠に無い。
(俺はソフィアさえいれば……勇者の地位なんてどうでもいいんだよ……)
もし勇者の地位や贅沢な暮らしと引き換えにソフィアが戻って来るのであれば俺は間違いなく彼女を選んでいるだろう。
それほどに、俺の人生において必要な人だった。
考え込んでいるうちに馬車が停まった。
どうやら王都の外に着いたようだ。
「ここからは一人で行け。これは聖女様の最後の温情だ」
「金……?」
監視としてついていた騎士から金貨の入った小袋を手渡された。
これがあればおそらく一ヶ月は暮らせていけるだろう。
ソフィアの優しさを改めて痛感した。
裏切って傷付けた俺にこんなことまでしてくれるだなんて。
(それにしても……どこへ行けばいいか……)
行く当てなんて無い。
本音を言えば王都に戻りたかったが、それをすれば今度こそ一生牢屋から出られなくなってしまうだろう。
「ハァ……」
悩みに悩んだ末、私は故郷へ帰ることにした。
両親ならきっと温かく迎えてくれるだろうと思ってのことだった。
が、しかし――
「この恥さらし!!!」
顔を見せてすぐ、母親からは罵倒された。
「ソフィアちゃんを裏切るだなんて、お前はもうウチの息子じゃない!すぐに出て行け!」
父親も同じように俺を罵った。
結局俺は、数日間かけてようやくたどり着いた家を追い出されてしまった。
(そんな……嘘だろう……?)
俺の両親は二人とも穏やかで優しい人だった。
あんな風に怒鳴られたのは初めてだったからか、ショックを隠しきれない。
(俺、これからどこに行けばいいんだよ……)
お金はまだ残っている。
しかしこんな生活を続けていれば尽きてしまうのは時間の問題だ。
(プライドを捨てるしか無い……か)
覚悟を決めた俺は近くにあった建物の扉をトントンとノックした。
「はい、どなた?」
「あの……突然すみません……俺をここで働かせてもらえませんか……」
これが俺にとって人生初めての労働だった。
俺はこの日、全てを失った。
勇者としての輝かしい地位も、憧れだった都会での生活も…………ソフィアも。
――何故、ずっと気付けなかったんだろうか。
馬車に揺られながらずっと考えていた。
俺は今日、王都を追放される。
そして二度と足を踏み入れることは叶わない。
つまり、二度とソフィアにも会えないということだ。
「ソフィア……最後に一度だけで良いから会わせてくれよ……」
「ダメだ、あの方は既に国王陛下の婚約者であらせられるのだぞ!勇者の地位も失ったお前が会えるわけないだろう」
「そんな……」
何故こうなってしまったのか。
俺は一体どこで間違えてしまったのか。
(俺があのときソフィアを裏切ったからか?だからこんなことに……)
今さら後悔したところでもう遅かった。
彼女が戻ってくることは永遠に無い。
(俺はソフィアさえいれば……勇者の地位なんてどうでもいいんだよ……)
もし勇者の地位や贅沢な暮らしと引き換えにソフィアが戻って来るのであれば俺は間違いなく彼女を選んでいるだろう。
それほどに、俺の人生において必要な人だった。
考え込んでいるうちに馬車が停まった。
どうやら王都の外に着いたようだ。
「ここからは一人で行け。これは聖女様の最後の温情だ」
「金……?」
監視としてついていた騎士から金貨の入った小袋を手渡された。
これがあればおそらく一ヶ月は暮らせていけるだろう。
ソフィアの優しさを改めて痛感した。
裏切って傷付けた俺にこんなことまでしてくれるだなんて。
(それにしても……どこへ行けばいいか……)
行く当てなんて無い。
本音を言えば王都に戻りたかったが、それをすれば今度こそ一生牢屋から出られなくなってしまうだろう。
「ハァ……」
悩みに悩んだ末、私は故郷へ帰ることにした。
両親ならきっと温かく迎えてくれるだろうと思ってのことだった。
が、しかし――
「この恥さらし!!!」
顔を見せてすぐ、母親からは罵倒された。
「ソフィアちゃんを裏切るだなんて、お前はもうウチの息子じゃない!すぐに出て行け!」
父親も同じように俺を罵った。
結局俺は、数日間かけてようやくたどり着いた家を追い出されてしまった。
(そんな……嘘だろう……?)
俺の両親は二人とも穏やかで優しい人だった。
あんな風に怒鳴られたのは初めてだったからか、ショックを隠しきれない。
(俺、これからどこに行けばいいんだよ……)
お金はまだ残っている。
しかしこんな生活を続けていれば尽きてしまうのは時間の問題だ。
(プライドを捨てるしか無い……か)
覚悟を決めた俺は近くにあった建物の扉をトントンとノックした。
「はい、どなた?」
「あの……突然すみません……俺をここで働かせてもらえませんか……」
これが俺にとって人生初めての労働だった。
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