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18 側妃との対決②
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(ヘンリー公爵……どうして……)
彼を見たとき面倒な人が現れた、と思った。
側妃クロエに思いを寄せているヘンリー公爵がわざわざここに来るだなんて、用件は一つしかない。
きっと追い込まれている彼女を救いに来たのだろう。
クロエと違って頭が良いからこそ、敵に回すと厄介なのだ。
「ギルバート様ぁ!」
「側妃様」
クロエは甘ったるい声を出してギルバートへ駆け寄った。
国王の側室でありながら、しかも公共の場で他の男を名前で呼ぶなど何を考えているのか。
本当に、彼女は初めて会ったときから何一つ変わっていない。
「どうかしましたか?」
「王妃様が、私のことが気に入らないようで……!」
「……」
クロエは目に涙を溜めてギルバートを見上げた。
見た目だけは良いからか、その姿は本当に被害者のように見える。
(予想はしていたことだけれど、やっぱり私が悪者になるのね)
クロエの一連の行動を見て、後ろにいたご婦人たちが声を上げた。
「待ってください、王妃様はただ側妃様にアドバイスをしただけですわ……!」
「そうです、王妃様と似たドレスを着ている側妃様の方が無礼です!」
「王妃様は何も間違ったことを言っておりませんでした!」
「……」
こうやって堂々と声を上げてくれる人たちがいるだなんて、今世の私は本当に恵まれているなと思う。
しかし、クロエは心優しい彼女たちですらも私と同じように悪役に仕立て上げた。
「ああやって取り巻きを使って意地悪を言ってくるんです……ギルバート様……助けてください」
「……」
ギルバートはクロエと私の姿を交互に見た。
どう反論しようかと思考を巡らせていると、彼が口を開いた。
「――たしかに、側妃様の行動は非常識ですね」
「やっぱり、ギルバート様もそう思い……………え?」
クロエの顔が石のように固まった。
そんな彼女を冷たい目で見つめた彼がハッキリと告げた。
「王妃陛下はこの国で最も身分の高い女性です。貴方の一連の行動は大変失礼です」
「だ、だけど……私の方が王様に愛されていて……」
「王の寵愛は関係ありません。貴方が側妃で王妃陛下が正妃という立場である以上、貴方の方が身分を弁えるべきなのです」
「どうして……」
クロエの顔が絶望で染まっていった。
彼がこの場に現れたとき、彼女にとっては自分を窮地から救い出してくれるヒーローが来たように見えたのだろう。
(驚いたわ……ヘンリー公爵が私の肩を持つような発言をするなんて……)
私もギルバートがクロエを擁護すると思っていたため、驚きを隠せない。
「――これは一体何の騒ぎだ」
「国王陛下……!」
突如現れたエルフレッドに、ギルバートが事の顛末を説明した。
「――というわけです。側妃様の行動は常識から外れていると、陛下もそう思いませんか?」
「……」
そこでエルフレッドは私とクロエを見て、ハァとため息をついた。
「……たしかにその通りだな。側妃、今すぐドレスを変えるように」
「なッ……ど、どうしてエルフレッド様まで……!」
納得いかない様子のクロエが声を上げた。
(当然のことを言っているのに何だか信じられないわね)
前世なら間違いなく彼は私ではなくクロエの味方をしていたはずだ。
一体何故彼が変わったのかは分からないが、私にとってはその方がありがたい。
(陛下が私の方についたのは好都合だわ)
私は陛下の腕にそっと触れた。
「陛下、私は構いませんわ。側妃様も悪意があってあのドレスを選んだわけではないでしょうし……」
「リーシャ……」
「自分の好きなドレスを着せてあげればいいではありませんか」
「…………理解出来ないが……君がそう言うのなら」
周囲から驚きの声が上がる。
「まぁ、王妃様は何て慈悲深いお方なのかしら……!」
「側妃様があれほどの無礼を働いたにもかかわらず……」
「ッ……」
クロエは悔しそうに爪を噛んだ。
その姿を見れて何だか気分が良い。
(ふふふ、三度目は私の勝ちみたいね)
彼を見たとき面倒な人が現れた、と思った。
側妃クロエに思いを寄せているヘンリー公爵がわざわざここに来るだなんて、用件は一つしかない。
きっと追い込まれている彼女を救いに来たのだろう。
クロエと違って頭が良いからこそ、敵に回すと厄介なのだ。
「ギルバート様ぁ!」
「側妃様」
クロエは甘ったるい声を出してギルバートへ駆け寄った。
国王の側室でありながら、しかも公共の場で他の男を名前で呼ぶなど何を考えているのか。
本当に、彼女は初めて会ったときから何一つ変わっていない。
「どうかしましたか?」
「王妃様が、私のことが気に入らないようで……!」
「……」
クロエは目に涙を溜めてギルバートを見上げた。
見た目だけは良いからか、その姿は本当に被害者のように見える。
(予想はしていたことだけれど、やっぱり私が悪者になるのね)
クロエの一連の行動を見て、後ろにいたご婦人たちが声を上げた。
「待ってください、王妃様はただ側妃様にアドバイスをしただけですわ……!」
「そうです、王妃様と似たドレスを着ている側妃様の方が無礼です!」
「王妃様は何も間違ったことを言っておりませんでした!」
「……」
こうやって堂々と声を上げてくれる人たちがいるだなんて、今世の私は本当に恵まれているなと思う。
しかし、クロエは心優しい彼女たちですらも私と同じように悪役に仕立て上げた。
「ああやって取り巻きを使って意地悪を言ってくるんです……ギルバート様……助けてください」
「……」
ギルバートはクロエと私の姿を交互に見た。
どう反論しようかと思考を巡らせていると、彼が口を開いた。
「――たしかに、側妃様の行動は非常識ですね」
「やっぱり、ギルバート様もそう思い……………え?」
クロエの顔が石のように固まった。
そんな彼女を冷たい目で見つめた彼がハッキリと告げた。
「王妃陛下はこの国で最も身分の高い女性です。貴方の一連の行動は大変失礼です」
「だ、だけど……私の方が王様に愛されていて……」
「王の寵愛は関係ありません。貴方が側妃で王妃陛下が正妃という立場である以上、貴方の方が身分を弁えるべきなのです」
「どうして……」
クロエの顔が絶望で染まっていった。
彼がこの場に現れたとき、彼女にとっては自分を窮地から救い出してくれるヒーローが来たように見えたのだろう。
(驚いたわ……ヘンリー公爵が私の肩を持つような発言をするなんて……)
私もギルバートがクロエを擁護すると思っていたため、驚きを隠せない。
「――これは一体何の騒ぎだ」
「国王陛下……!」
突如現れたエルフレッドに、ギルバートが事の顛末を説明した。
「――というわけです。側妃様の行動は常識から外れていると、陛下もそう思いませんか?」
「……」
そこでエルフレッドは私とクロエを見て、ハァとため息をついた。
「……たしかにその通りだな。側妃、今すぐドレスを変えるように」
「なッ……ど、どうしてエルフレッド様まで……!」
納得いかない様子のクロエが声を上げた。
(当然のことを言っているのに何だか信じられないわね)
前世なら間違いなく彼は私ではなくクロエの味方をしていたはずだ。
一体何故彼が変わったのかは分からないが、私にとってはその方がありがたい。
(陛下が私の方についたのは好都合だわ)
私は陛下の腕にそっと触れた。
「陛下、私は構いませんわ。側妃様も悪意があってあのドレスを選んだわけではないでしょうし……」
「リーシャ……」
「自分の好きなドレスを着せてあげればいいではありませんか」
「…………理解出来ないが……君がそう言うのなら」
周囲から驚きの声が上がる。
「まぁ、王妃様は何て慈悲深いお方なのかしら……!」
「側妃様があれほどの無礼を働いたにもかかわらず……」
「ッ……」
クロエは悔しそうに爪を噛んだ。
その姿を見れて何だか気分が良い。
(ふふふ、三度目は私の勝ちみたいね)
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