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06ハンターギルド

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「お姉ちゃん、ハンターの登録を頼むよ。こいつだ」
「どうもよろしくお願いします」
「はっ、はい。ではアーツをお見せください」

「オウガ、何か小さ目の武器を出してみな」
「そうなの、それじゃナイフです」
「アーツの武器化が早い、それに予備のアーツもお持ちなんですね。それじゃ、登録を致します」

「ついでにハンターの説明をしてくれ、お姉ちゃん」
「よろしくお願いします」
「はっ、はい。ハンターも十段階に分けることができます。これらは一つ星、二つ星などと言われます。全部で十段階あって等級が高いほど、難しくて高額な依頼を受けることができます。なおハンター同士のアーツを使用しての本気の私闘は禁止されています、必要なら訓練場で決闘をしてください。あの掲示板に貼りだしてあるのが依頼で、等級に合わせてご自由に受けることができます」

 俺は昔ハンターとして登録しただけだから一つ星だった、オウガも同じだ今登録したばかりだから一つ星だ。これでは良い依頼が受けられない、だから俺とオウガは受付のお姉ちゃんに等級の審査を頼んだ。受付のお姉ちゃんは分かりましたといって、等級の審査を受けさせてくれたのは良かったが、俺たちは二人でその審査方法に驚いた。

「この十個の的をできるだけ早く打ち落としてください、方法は問いません」
「………………」
「………………」

「この人形を短時間で破壊してください、大分固いですから全力でやって大丈夫です」
「………………」
「………………」

 ハンターの等級審査は思ったより簡単なものだった、俺もオウガも十数秒で十個の的を全て打ち落としたし、人形の方は数秒で粉々に破壊してしまった。受付のお姉さんがそれを見て、俺たちを見て汗をだらだらかいていた。そうして俺たちは四つ星のハンターになれた、あとは実績で黒石の数によって変わりますと言われたので、俺たちは持って来た黒石を売りに出した。

「こっ、これが認識票となります、お財布でもありますので失くさないようにしてください」

 そうしたら俺たちは十つ星のハンターになれた、そして首にかける認識票をオウガは貰っていた。俺の認識票も十つ星のハンターとして登録と、売り飛ばした黒石分の金を入れて貰った。俺はハンターとして自分がどのくらい強いのかいまいち分からなかった、オウガも試験の難易度の低さに首を傾げていたくらいだ。だから受付のお姉ちゃんに聞いてみた、一つ星から十の星までのハンターと強さをだ。

「うーん、そうですね。一つ星か三つ星までは見習い、四つ星から七つ星でアビスが倒せる新人から熟練者、八つ星から十つ星が複数のアビスが倒せるハンターですね」

 俺たちは受付のお姉ちゃんの説明に納得した、そうして次はハンターギルドを出て、街の入り口にいるガイドを雇った。良い昼食屋を紹介してもらって飯を食べて役場にも行った、そしてどう見ても俺たちは田舎者だったから、服や靴を良い店で買いなおした。それに風呂付きで良い宿も紹介してもらった、そうして夜になったが街を守るハンターがいるので俺たちはいつも通りに風呂に入って、いつもの癖で交代で仮眠をとり見張りをした。

「なぁ、オウガ。しかし、ギルドの審査ってがばがばなんじゃないか?」
「八つ星から十つ星が、複数のアビスが倒せるハンターだもんね」

「それじゃ八つ星から十つ星のハンターだらけじゃないのか?」
「僕たちの常識が違うのかもしれない」

「あのカリニの村が異常にハンターに厳しかったのか?」
「それか、ロンが受け持っていた地区だけ、異常にアビスが多かったのかも」

 俺とオウガは仮眠をとって翌日は朝からハンターギルドに行ってみた、そうすると朝の依頼の張替え目当ての人が溢れかえっていた。俺たちは掲示板に近づくのを諦めてしばらくハンターの様子を見ていた、アーツ以外は碌な服を着ていないハンターもいた。逆に上等な服を着ているハンターもいた、そうしてしばらく経つと人がいなくなったので掲示板を見てみた。

「オウガ、大猪の退治ってアビスハンターの仕事なのか?」
「アビスの討伐って依頼はほとんど無いね、ロン」

「おっ、これにしようぜ。アビスの討伐七体、ゾニヒ村」
「これなら仕事になりそうだね」

「油断しなきゃ、大丈夫だろ」
「了解、受付のお姉さんに言ってくるよ」

 そうして俺たちはゾニヒ村のアビス退治を受けた、街から一日かかるということで携帯食と水それに依頼証明書を持って、ゾニヒ村を通る乗合馬車に乗った。それから丸一日かけてゾニヒ村に着いた、そうして村長は誰かと村民に聞いた。村長は俺たちを見てまだ若すぎるから、すぐに帰りなさいと言った。

「いやこれでも俺とオウガは、十つ星のハンターだぞ」
「アビスが七体なら大丈夫」
「そっ、そうですか!? それでは海から奴らは来ます。もう犠牲者が十数人でています、場所はこっちです」

「そうか、それじゃ光石をこの辺に後で置くか」
「それと食事ができるところはありますか?」
「それなら食堂があります」

「また魚料理なのか……」
「僕はお魚大好きだよ」
「はい、食堂はこちらです」

 そこで俺たちは夕食を済ませた、思ったとおり海が近いから魚料理ばかりだった。俺はまたかと思いながら黙々と食べた、逆にオウガは魚料理に全く飽きない奴で美味そうに食べていた。飯が終わったら海岸に行って作戦会議だった、今回はアビスは七体だったが黒石が勿体ないので撃ち殺すのはやめた。一旦岸まで上げてから迎え撃つことにした。俺は光石を五個くらい置いておいた、これで暗闇の中でアビスと戦わなくて済んだ。

「来たよ、ロン」
「おう、確かに七体だな」

「海からあがったらだね」
「おうよ、村に行かせないようにな」

「一瞬で片付けよう」
「まぁ、できるならな」

 そうしてアビスが七体海から上がってきた、最初の三体をオウガが槍で次々と貫いていった。俺は鎌で一気に三体の首を斬って片付けた、残り一体は俺が剣で首を飛ばすのと、オウガが槍で胸を貫くのは一緒だった。さすがに俺の弟子だけある、オウガの戦い方に全く不安はなかった。そうして黒石を拾ったが、一つ完全な球体の十の黒石があった。他は大体四から八でまあまぁの稼ぎだった、そうして他にアビスが出ないか一晩様子を見た。

「ほら倒した証拠の黒石だ、七つある。依頼達成の証明印をくれ」
「うん、余裕だった」
「本当に黒石が七つある、はい。こちらが依頼達成印です」

「よっし、これでルックの街に帰れるぞ」
「良かったね」
「あの~、お二人とも女は要りませんか? 良ければ村の女に相手をさせますが?」

「はぁ?」
「要りません、でもいつもこんなことを?」
「ハンターが生まれて欲しいですからね、いつもハンターが来たら女達に相手をさせます」

 ええっ、それじゃちょっと俺だけお世話にと言う前に、オウガに手で口を塞がれて俺は村長の家を引きずり出された。まぁ確かに女を抱いてみたいがそれで子どもができて、それっきり子どもは女任せというのも気が引けた。だからオウガの手にも素直に俺は引かれていった、あとは村の入り口で乗合馬車を待つだけだった。

「ごめん、ロン。僕はロンが女を抱くのを邪魔した」
「あっ、いいぜ。別に、だってどうせ女を抱くなら子どもが欲しいし、子どもができたら自分で育てたいしな」

「それじゃ、これからもこういうことがあったら断っていい!?」
「べっ、別に俺は構わん。それより、お前こそ女に興味が全くないのか?」

「無い、女島の女たちは酷いことばかり僕にした、カリニ村の男は僕を馬鹿にした。僕はどんな女も男も大嫌いだ、だからロンだけが好き」
「そうやって、俺をさらっと口説くなつーの」

 しばらく待っていたら乗合馬車が来て、俺たちはルックの街までまた丸一日かけて帰ってきた。そうして組合で黒石を七個を売り払った、俺とオウガの認識票にまた金が入った。それから次の依頼を見たがアビスに関する物はなかった、まぁ今回の依頼だけで金貨にして百枚以上稼いでいた。それはあの球体の黒石が出たからだった、だからしばらく金の心配は要らなかった。だから風呂付の宿屋に入り、交代で風呂を使ったら俺たちは眠りについた。

「あー、アビスが来ないのは良い事だけど、体がなまりそうだな」
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