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05旅立ち
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「オウガ、もっと広い世界にも目を向けろよ」
「このカリニの村にいる以上、他の世界なんて見ることないよ」
「そうなんだよなぁ、俺も街には一回しか行ってないしな」
「だから僕はロンが好きで、ここが守れればいいんだ」
「…………ロンが好きで、ってところから性欲は無くしてくれない?」
「無理、性欲もこみでロンのことが好きだ」
俺はがっくりと項垂れた、もうオウガが十五歳になったら、こいつから口説かれるのも時間の問題だった。それから一年でオウガは立派なアビスハンターになった、俺とも互角に戦えるくらいの成長をみせた。師匠としては合格と言わざるを得なかった、そうしたら当然だがオウガがこう言ってきた。
「ロンが好き、僕と付き合って」
「断る、俺は女の方が好きだ」
「試してみるだけしない?」
「しない!!」
「いいや、ロンが大好きだから僕は気長に口説くよ」
「その前に次に来る女船で、俺が女を見つけるのが先かもな」
オウガは十五歳に俺は二十二歳になっていた、もう俺も二十歳はこえたし子どもを持っても大丈夫だった。ちなみにティールにはもうかなり前に振られた、他に良い男を彼女は見つけていた。俺も女船が来たら女を探してみる予定だった、でもそう言うとオウガがしゅんとしてしまった、こいつは綺麗な顔をしているからそんな表情は俺の胸にこたえた。
「ロンを口説きたいのに、僕は何も持ってない」
「まぁな、まずお前は女じゃねぇし、金は俺たち同じくらい稼いでるからな」
「ロン、大好き。だから女船なんて行かないで」
「次来た時に絶対に行く!! 俺は女が大好きだ!!」
「嘘ばっかり、一番好きなのはアーツでしょ」
「はははっ、バレてたか確かに俺が一番好きなのはアーツだ!!」
そうして俺はアーツで良い物を作った、完全な球体の黒石を光にさらしておいてアーツに変えたのだ。俺が手に持ってみたら思い通りの変形するアーツ、これは物凄い貴重品だったから俺はそれを身に着けた。そしてオウガに今まで着けていた予備のアーツをやった、オウガは驚いてそのアーツを大切そうに握り締めた。
「予備のアーツだ、オウガ。俺のお下がりだから大事にしろよ」
「ロンはこうやって、すぐ僕にロンを好きにさせる」
「あのな、予備のアーツをやるのは俺がお前の師匠だからだ!!」
「だとしても嬉しい、大切に使うよ」
「いいか、予備のアーツが使えるからって力が二倍になるわけじゃない。でも両手で武器が使えたり、アビスを感知するためのレーダーに出来る、俺はこっちの使い方の方が多いな」
「なるほど、本当にありがとう。ロン」
俺はしばらく予備のアーツの使い方を教えてやった、アビスを感知するレーダーとしての使い方や、滅多にやらないが武器としての使い方、それに怪我をした時の治療器具としての使い方などだった。アーツは失くした腕くらいなら再生させる力があった、だからアーツの価値は高いのだ。アビス退治以外にも病院などで治療器具などとして使われている、そういうハンターにならないアーツの使い方もあった。
「ロン、そろそろハンターの集会だよ」
「おう、そうだったな」
「今日の議題は何だろうね」
「またどこそこにアビスが出てだろ、そしてな~んも変わりはしねぇ」
「僕はロンと一緒にいられればそれでいいや」
「欲の無いやつだな、いや性欲はあるのか」
そうしてハンターの集会が始まった、アコールが最近どこどこのアビスが増えてと真面目に話していた。俺のところはオウガが一人前になったから、とりあえず人手は足りていた。だが随分と長い話の最後にアコールはとんでもないことを言いだした、俺のオウガが成人したから他の場所にまわすと言いだしたのだ。
「ちょっと待った、組合長。俺のところはオウガがいて、やっと守れている。オウガを他のところにやられちゃ困る」
「いや、こちらも人手不足でな」
「以前から誰かハンターをまわしてくれと言ってただろ、俺のところは多い時は一度にアビスが七体も出るんだぜ、オウガを他にやるなら俺一人で守り切るのは無理だ」
「はははっ、そんなにアビスが出るわけないだろう」
「現に出ているんだよ、オウガを他の場所へは譲れない!!」
「だがこれは組合長としての決定だ」
俺はアコールが絶対に俺のところに出てくるアビスの数を信じてないと思った、だが一度に七体もアビスが実際に出るのだ。絶対にオウガを他の場所に渡すわけにはいかなかった、だがアコールは組合長としての決定だと言って譲らなかった。そうだったら俺に出来ることは一つだった、俺はアビスに食われて死ぬのはごめんだった。
「それなら俺は村を出る、オウガ。お前はどうする?」
「僕はロンについていくよ!!」
こうして俺とオウガはこのカリニの村を出ることにした、組合長には散々引き止められたが俺はアビスに食われて死にたくはなかった。だからさっさと集会から帰ると荷物をまとめはじめた、今日の夜まではここで過ごすが明日には街に出て行くつもりだった。集会の帰りに買い取りババアのところにもよって換金しておいた、とりあえず金貨五十枚をオウガと二人で分けて懐の鎖付きの財布に入れておいた。
「アビスが出ない、静かな夜で良かったな、オウガ」
「ここの生活も最後かと思うと寂しいね、ロン」
「俺は出て行くが、お前は残っても良かったんだそ」
「僕はロンにべた惚れなんだ、だから絶対についていくよ」
「はいはい、オウガ少し仮眠をとっとけ。明日は朝から街まで歩くぞ」
「うん、ロン。あとで交代だよ」
アビスも出ない本当に静かな良い夜だった、オウガはすぐに眠ってしまった。こうやっていつでもどこでも眠れるのも、良いアビスハンターの特徴だった。数時間経つと俺はオウガを起こして交代で寝た、オウガはもう頼れるハンターだったし俺も数時間だがぐっすりと眠った。そうして朝になって出発することになった、それで困ったのが今まで倒したアビスの黒石の山だった。
「とりあえず、オウガと一緒にアビスを倒した一年間分の黒石だけ持っていこう」
「それでも随分あるね、ロンは本当に腕が良いハンターだ」
「ありがとよ、お前もな。なのに俺の言うことを全く聞かない、あんな組合の見る目がないだろ?」
「全くだよ、ロン。それじゃ黒石の鞄をロンが持って、僕が着替えとかを持っていく」
「よし!! 行くか、広い世界って奴を見に行こうぜ」
「僕はロンの隣にいられればどこでも良いよ」
そうして俺たちは朝食を済ませて、役場に寄ってカリニの村を出発した。村境でアコールが最後までここに残るように煩かったが、見送りは他には誰もいなかった。俺も生まれた村を出ることになるとは思わなかった、でもあんなに無理難題を言われちゃ仕方がない。オウガは楽しそうにしていた、こいつは村では馬鹿にされてたからな、最後までオウガは優秀なハンターだと言っても信じて貰えなかった。
「ロンは街に行ったことがあるんだよね」
「ああ、まだ十五歳になったばっかりの頃に、ハンターとして登録するためにな」
「街っていったいどんなとこ?」
「そうだな丸い城壁に囲まれている、家がカリニの村とじゃ段違いに丈夫だな」
「ハンターとして気をつけることはある?」
「そうだな、ハンター同士の争いごとでアーツは使ったら駄目だ。決闘する時は別だけどな、すぐに思いつくのはそれくらいかな」
俺とオウガは途中でそんなお喋りをしながら街まで歩いた、普通に歩いても昼までには街につけるはずだった。その推測どおりにお昼になる頃にはルックの街に着けた、街に入る列に並んで村の役場の書類を見せたら街に入れた。オウガは城壁の大きさと、街の人の多さに驚いているようだった。そんなオウガを俺はハンターギルドへ連れていった、街でハンターとして活動するならここに来る必要があった。
「お姉ちゃん、ハンターの登録を頼むよ。こいつだ」
「このカリニの村にいる以上、他の世界なんて見ることないよ」
「そうなんだよなぁ、俺も街には一回しか行ってないしな」
「だから僕はロンが好きで、ここが守れればいいんだ」
「…………ロンが好きで、ってところから性欲は無くしてくれない?」
「無理、性欲もこみでロンのことが好きだ」
俺はがっくりと項垂れた、もうオウガが十五歳になったら、こいつから口説かれるのも時間の問題だった。それから一年でオウガは立派なアビスハンターになった、俺とも互角に戦えるくらいの成長をみせた。師匠としては合格と言わざるを得なかった、そうしたら当然だがオウガがこう言ってきた。
「ロンが好き、僕と付き合って」
「断る、俺は女の方が好きだ」
「試してみるだけしない?」
「しない!!」
「いいや、ロンが大好きだから僕は気長に口説くよ」
「その前に次に来る女船で、俺が女を見つけるのが先かもな」
オウガは十五歳に俺は二十二歳になっていた、もう俺も二十歳はこえたし子どもを持っても大丈夫だった。ちなみにティールにはもうかなり前に振られた、他に良い男を彼女は見つけていた。俺も女船が来たら女を探してみる予定だった、でもそう言うとオウガがしゅんとしてしまった、こいつは綺麗な顔をしているからそんな表情は俺の胸にこたえた。
「ロンを口説きたいのに、僕は何も持ってない」
「まぁな、まずお前は女じゃねぇし、金は俺たち同じくらい稼いでるからな」
「ロン、大好き。だから女船なんて行かないで」
「次来た時に絶対に行く!! 俺は女が大好きだ!!」
「嘘ばっかり、一番好きなのはアーツでしょ」
「はははっ、バレてたか確かに俺が一番好きなのはアーツだ!!」
そうして俺はアーツで良い物を作った、完全な球体の黒石を光にさらしておいてアーツに変えたのだ。俺が手に持ってみたら思い通りの変形するアーツ、これは物凄い貴重品だったから俺はそれを身に着けた。そしてオウガに今まで着けていた予備のアーツをやった、オウガは驚いてそのアーツを大切そうに握り締めた。
「予備のアーツだ、オウガ。俺のお下がりだから大事にしろよ」
「ロンはこうやって、すぐ僕にロンを好きにさせる」
「あのな、予備のアーツをやるのは俺がお前の師匠だからだ!!」
「だとしても嬉しい、大切に使うよ」
「いいか、予備のアーツが使えるからって力が二倍になるわけじゃない。でも両手で武器が使えたり、アビスを感知するためのレーダーに出来る、俺はこっちの使い方の方が多いな」
「なるほど、本当にありがとう。ロン」
俺はしばらく予備のアーツの使い方を教えてやった、アビスを感知するレーダーとしての使い方や、滅多にやらないが武器としての使い方、それに怪我をした時の治療器具としての使い方などだった。アーツは失くした腕くらいなら再生させる力があった、だからアーツの価値は高いのだ。アビス退治以外にも病院などで治療器具などとして使われている、そういうハンターにならないアーツの使い方もあった。
「ロン、そろそろハンターの集会だよ」
「おう、そうだったな」
「今日の議題は何だろうね」
「またどこそこにアビスが出てだろ、そしてな~んも変わりはしねぇ」
「僕はロンと一緒にいられればそれでいいや」
「欲の無いやつだな、いや性欲はあるのか」
そうしてハンターの集会が始まった、アコールが最近どこどこのアビスが増えてと真面目に話していた。俺のところはオウガが一人前になったから、とりあえず人手は足りていた。だが随分と長い話の最後にアコールはとんでもないことを言いだした、俺のオウガが成人したから他の場所にまわすと言いだしたのだ。
「ちょっと待った、組合長。俺のところはオウガがいて、やっと守れている。オウガを他のところにやられちゃ困る」
「いや、こちらも人手不足でな」
「以前から誰かハンターをまわしてくれと言ってただろ、俺のところは多い時は一度にアビスが七体も出るんだぜ、オウガを他にやるなら俺一人で守り切るのは無理だ」
「はははっ、そんなにアビスが出るわけないだろう」
「現に出ているんだよ、オウガを他の場所へは譲れない!!」
「だがこれは組合長としての決定だ」
俺はアコールが絶対に俺のところに出てくるアビスの数を信じてないと思った、だが一度に七体もアビスが実際に出るのだ。絶対にオウガを他の場所に渡すわけにはいかなかった、だがアコールは組合長としての決定だと言って譲らなかった。そうだったら俺に出来ることは一つだった、俺はアビスに食われて死ぬのはごめんだった。
「それなら俺は村を出る、オウガ。お前はどうする?」
「僕はロンについていくよ!!」
こうして俺とオウガはこのカリニの村を出ることにした、組合長には散々引き止められたが俺はアビスに食われて死にたくはなかった。だからさっさと集会から帰ると荷物をまとめはじめた、今日の夜まではここで過ごすが明日には街に出て行くつもりだった。集会の帰りに買い取りババアのところにもよって換金しておいた、とりあえず金貨五十枚をオウガと二人で分けて懐の鎖付きの財布に入れておいた。
「アビスが出ない、静かな夜で良かったな、オウガ」
「ここの生活も最後かと思うと寂しいね、ロン」
「俺は出て行くが、お前は残っても良かったんだそ」
「僕はロンにべた惚れなんだ、だから絶対についていくよ」
「はいはい、オウガ少し仮眠をとっとけ。明日は朝から街まで歩くぞ」
「うん、ロン。あとで交代だよ」
アビスも出ない本当に静かな良い夜だった、オウガはすぐに眠ってしまった。こうやっていつでもどこでも眠れるのも、良いアビスハンターの特徴だった。数時間経つと俺はオウガを起こして交代で寝た、オウガはもう頼れるハンターだったし俺も数時間だがぐっすりと眠った。そうして朝になって出発することになった、それで困ったのが今まで倒したアビスの黒石の山だった。
「とりあえず、オウガと一緒にアビスを倒した一年間分の黒石だけ持っていこう」
「それでも随分あるね、ロンは本当に腕が良いハンターだ」
「ありがとよ、お前もな。なのに俺の言うことを全く聞かない、あんな組合の見る目がないだろ?」
「全くだよ、ロン。それじゃ黒石の鞄をロンが持って、僕が着替えとかを持っていく」
「よし!! 行くか、広い世界って奴を見に行こうぜ」
「僕はロンの隣にいられればどこでも良いよ」
そうして俺たちは朝食を済ませて、役場に寄ってカリニの村を出発した。村境でアコールが最後までここに残るように煩かったが、見送りは他には誰もいなかった。俺も生まれた村を出ることになるとは思わなかった、でもあんなに無理難題を言われちゃ仕方がない。オウガは楽しそうにしていた、こいつは村では馬鹿にされてたからな、最後までオウガは優秀なハンターだと言っても信じて貰えなかった。
「ロンは街に行ったことがあるんだよね」
「ああ、まだ十五歳になったばっかりの頃に、ハンターとして登録するためにな」
「街っていったいどんなとこ?」
「そうだな丸い城壁に囲まれている、家がカリニの村とじゃ段違いに丈夫だな」
「ハンターとして気をつけることはある?」
「そうだな、ハンター同士の争いごとでアーツは使ったら駄目だ。決闘する時は別だけどな、すぐに思いつくのはそれくらいかな」
俺とオウガは途中でそんなお喋りをしながら街まで歩いた、普通に歩いても昼までには街につけるはずだった。その推測どおりにお昼になる頃にはルックの街に着けた、街に入る列に並んで村の役場の書類を見せたら街に入れた。オウガは城壁の大きさと、街の人の多さに驚いているようだった。そんなオウガを俺はハンターギルドへ連れていった、街でハンターとして活動するならここに来る必要があった。
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