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事の発端は…3
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そーやって沈んでた僕を、キミは容赦なくすくい上げる。
無邪気に、金魚すくいのポイであしらうように。
いっそ救ってくれたら有難いんだけど……
その夜、元カノから掛かって来た電話は、昼間の車トラブルの件だった。
「ガス欠っ!?」
「そう!バカでしょ~っ?
もう自分でもウケるんだけど!」
いや、メーターをチェックし忘れてたとかはキミなら大いにあり得るけど。
「てゆうかっ、そんなギリギリの状態で走ってたら、なんか兆候があったよねぇ!?」
「ん~なんかねぇっ、加速が効かないなぁとかは思ってたんだけどさぁっ。
遥さんとイヤホンマイクで電話してたからそれどころじゃなかったってゆーか」
キミって人わ!
ほんと適当で自由奔放で……
だからトラブルばっか起きるんだよ!
「あのさ!
一応言っとくけど、イヤホンマイクでも違反だからねっ」
そーゆう僕も、営業の仕事柄つかってるけど。
「え、そーなのぉ!?
誰が言ってたぁ~?」
「いや、誰が言ってたとかじゃなくて法律だから!」
あぁ~、めんどくさい。
ふと、昔のめんどくさいエピソードが頭をよぎる。
*
*
*
その日、街中に用があった僕たちは……
1時間ほどでそれを済ませて、駐車場に向かった。
そこで駐車料金を払うべく。
「司沙、払っててくれる?」
自分の財布を彼女に渡して。
僕は彼女が乗りやすいよう、出庫のスタンバイ。
ところが、精算した様子は伺えるのに、ロック板が下がらない。
「司沙、払った?
ロック下がってないんだけど」
こっちに向かって来てるその人に声掛ける。
「はぁ?払ったってば!
ちゃんと確認してよ、もうっ……」
とそこを覗き込んで。
「えウソ、払ったのにっ!
え、なんでっ!?」
「26番だよ?間違ってない?」
「え、26……
ああっ!28番払っちゃった!
だってほらっ、同じブルーだしっ!」
いや、色しか合ってないと思うけどね……
「うっわ、どーしよっ……
ごめん、蓮斗。
3000円も払っちゃった」
その時点で気付こうよ!!
どう考えても1時間の料金じゃないよねえ!?
なんでそう適当なんだよ……
キミこそちゃんと確認して?
*
*
*
今となっては、胸をくすぐるエピソード。
「ちょっと!聞いてる!?蓮斗」
ヤバい!トリップしてて聞いてなかった。
「ごめん、なんか電波がおかしくて」
とりあえず電波のせいにする。
「え、そーなの?直ったぁ?
ま、とにかくさっ、フォワードってなんかカッコいいよねっ」
えーと、それはサッカーの話?
つまりは社会人サッカーチームに入ってるってゆう遥さんの話?
もう違う話に変わってたんだ……
「蓮斗はどこのポジションだっけ?」
「え、僕はボランチだったよ」
「なにそれ、そんなだっけ?
よくわかんないからもーいいや」
だったら聞かないでほしい……
まったくもってめんどくさい。
だけど、そのめんどくささに振り回されて……
沈んだ心も、バシャバシャと掻き回されてくんだ。
それから、半月ほど経ったある日。
「またフラれたのっ!?」
この前の別れを、話の流れでカミングアウトした僕に。
「もぉ~、何人目ぇ?
なにやってんの蓮斗」
小バカにしたようにそう続けて、呆れる元カノ。
いや、誰のせいだと思ってるんだよ!
「ええっ?なんか言ったぁ?」
「ええっ!?
言ってないよっ、何もっ……」
びっくりした。
とうとう心の声まで聞こえるようになったのかと思ったよ……
「てか理由はっ?なにが原因っ?」
「えっ、いや……
いつものごとく、よくわかんないけど……
まぁ、ケンカしちゃってさ」
キミのせいには出来ない。
だってほんとはキミのせいじゃない。
キミを優先したのは、僕だから。
「ふーん……
まっ、女の子は難しいからね~」
キミを筆頭にね……
「てゆうか、喜んでない?」
心なしか、その声が弾んでる。
「んん~、若干っ?
だって蓮斗がフリーだと心置きなく相談出来るんだもん」
いや、フリーじゃなくても心置きなく相談してたよねえ!?
まぁいいけど……
って、よくないか!
思えば、付き合い始めの頃はまだ可愛げもあったのに……
気が付けばこんな調子で。
僕の立ち位置は途中からすでに、恋愛対象から相談対象へと、いつしかごく自然に降格されてた。
自分でゆうのもなんだけど……
それなりにモテて来たし、他の子は僕を立ててくれてた。
なのにキミはいつも自分の事ばかりで……
僕への興味なんて、もうないのかなって。
浮気のきっかけは、ちょっとヤキモチを妬かせたくて。
でもほんとは、寂しさを紛らわしたかったのかもしれない。
それに2年も付き合ってれば、多少のマンネリもあったはずだし?
なんて免罪符を並べても、キミを傷付けた事には変わりなくて。
だけど一体、いつまでこーやって振り回され続けるんだろう……
「寒っ」
想像しただけで、思わず身震いしてしまった。
「寒い?
クーラー効きすぎなんじゃない?
あっ、まさかっ!
風邪でもひいちゃった!?
ヤダちょっと、うつさないでよね!
……あ、電話だからだいじょぶかっ」
キミって人は……
なのにその後。
わざわざ栄養ドリンクやら、僕の大好きなプリンなんかを持って来てくれたりするんだから……
なんて飴と鞭の使いよう!
ああ、ほんっと……
めんどくさくて嫌んなる。
いや、風邪じゃないんだけどね。
無邪気に、金魚すくいのポイであしらうように。
いっそ救ってくれたら有難いんだけど……
その夜、元カノから掛かって来た電話は、昼間の車トラブルの件だった。
「ガス欠っ!?」
「そう!バカでしょ~っ?
もう自分でもウケるんだけど!」
いや、メーターをチェックし忘れてたとかはキミなら大いにあり得るけど。
「てゆうかっ、そんなギリギリの状態で走ってたら、なんか兆候があったよねぇ!?」
「ん~なんかねぇっ、加速が効かないなぁとかは思ってたんだけどさぁっ。
遥さんとイヤホンマイクで電話してたからそれどころじゃなかったってゆーか」
キミって人わ!
ほんと適当で自由奔放で……
だからトラブルばっか起きるんだよ!
「あのさ!
一応言っとくけど、イヤホンマイクでも違反だからねっ」
そーゆう僕も、営業の仕事柄つかってるけど。
「え、そーなのぉ!?
誰が言ってたぁ~?」
「いや、誰が言ってたとかじゃなくて法律だから!」
あぁ~、めんどくさい。
ふと、昔のめんどくさいエピソードが頭をよぎる。
*
*
*
その日、街中に用があった僕たちは……
1時間ほどでそれを済ませて、駐車場に向かった。
そこで駐車料金を払うべく。
「司沙、払っててくれる?」
自分の財布を彼女に渡して。
僕は彼女が乗りやすいよう、出庫のスタンバイ。
ところが、精算した様子は伺えるのに、ロック板が下がらない。
「司沙、払った?
ロック下がってないんだけど」
こっちに向かって来てるその人に声掛ける。
「はぁ?払ったってば!
ちゃんと確認してよ、もうっ……」
とそこを覗き込んで。
「えウソ、払ったのにっ!
え、なんでっ!?」
「26番だよ?間違ってない?」
「え、26……
ああっ!28番払っちゃった!
だってほらっ、同じブルーだしっ!」
いや、色しか合ってないと思うけどね……
「うっわ、どーしよっ……
ごめん、蓮斗。
3000円も払っちゃった」
その時点で気付こうよ!!
どう考えても1時間の料金じゃないよねえ!?
なんでそう適当なんだよ……
キミこそちゃんと確認して?
*
*
*
今となっては、胸をくすぐるエピソード。
「ちょっと!聞いてる!?蓮斗」
ヤバい!トリップしてて聞いてなかった。
「ごめん、なんか電波がおかしくて」
とりあえず電波のせいにする。
「え、そーなの?直ったぁ?
ま、とにかくさっ、フォワードってなんかカッコいいよねっ」
えーと、それはサッカーの話?
つまりは社会人サッカーチームに入ってるってゆう遥さんの話?
もう違う話に変わってたんだ……
「蓮斗はどこのポジションだっけ?」
「え、僕はボランチだったよ」
「なにそれ、そんなだっけ?
よくわかんないからもーいいや」
だったら聞かないでほしい……
まったくもってめんどくさい。
だけど、そのめんどくささに振り回されて……
沈んだ心も、バシャバシャと掻き回されてくんだ。
それから、半月ほど経ったある日。
「またフラれたのっ!?」
この前の別れを、話の流れでカミングアウトした僕に。
「もぉ~、何人目ぇ?
なにやってんの蓮斗」
小バカにしたようにそう続けて、呆れる元カノ。
いや、誰のせいだと思ってるんだよ!
「ええっ?なんか言ったぁ?」
「ええっ!?
言ってないよっ、何もっ……」
びっくりした。
とうとう心の声まで聞こえるようになったのかと思ったよ……
「てか理由はっ?なにが原因っ?」
「えっ、いや……
いつものごとく、よくわかんないけど……
まぁ、ケンカしちゃってさ」
キミのせいには出来ない。
だってほんとはキミのせいじゃない。
キミを優先したのは、僕だから。
「ふーん……
まっ、女の子は難しいからね~」
キミを筆頭にね……
「てゆうか、喜んでない?」
心なしか、その声が弾んでる。
「んん~、若干っ?
だって蓮斗がフリーだと心置きなく相談出来るんだもん」
いや、フリーじゃなくても心置きなく相談してたよねえ!?
まぁいいけど……
って、よくないか!
思えば、付き合い始めの頃はまだ可愛げもあったのに……
気が付けばこんな調子で。
僕の立ち位置は途中からすでに、恋愛対象から相談対象へと、いつしかごく自然に降格されてた。
自分でゆうのもなんだけど……
それなりにモテて来たし、他の子は僕を立ててくれてた。
なのにキミはいつも自分の事ばかりで……
僕への興味なんて、もうないのかなって。
浮気のきっかけは、ちょっとヤキモチを妬かせたくて。
でもほんとは、寂しさを紛らわしたかったのかもしれない。
それに2年も付き合ってれば、多少のマンネリもあったはずだし?
なんて免罪符を並べても、キミを傷付けた事には変わりなくて。
だけど一体、いつまでこーやって振り回され続けるんだろう……
「寒っ」
想像しただけで、思わず身震いしてしまった。
「寒い?
クーラー効きすぎなんじゃない?
あっ、まさかっ!
風邪でもひいちゃった!?
ヤダちょっと、うつさないでよね!
……あ、電話だからだいじょぶかっ」
キミって人は……
なのにその後。
わざわざ栄養ドリンクやら、僕の大好きなプリンなんかを持って来てくれたりするんだから……
なんて飴と鞭の使いよう!
ああ、ほんっと……
めんどくさくて嫌んなる。
いや、風邪じゃないんだけどね。
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