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145. アナスタシア
しおりを挟む「私が、『鷹の爪』アムルー支部の創設者で副団長のアナスタシアよ。よろしくね!」
アナスタシアは、迷わず『犬の肉球』の団長であるムネオの前に行き、手を差し出す。
「おい! シャンティー! あの女、只者じゃないぞ! 迷いなく、『犬の肉球』の本物の団長のムネオさんに握手を求めて行きやがった!」
塩太郎は、握手を透かされて、恥ずかしそうな顔をしてるシャンティーに話し掛ける。
「あら?そんなの直ぐ分かる事じゃないかしら?
この子が一番、初代『犬の肉球』団長の身内の者って見た目で直ぐに分かるもの!」
「アンタ、うちの初代団長に会った事があるの?」
シャンティーは恥ずかしかったのを誤魔化す為か、何事もなかったように質問する。
「ええ。団長以外にも、殴り僧侶だった双子の妹の方も、副団長だったドワーフのドラクエルも知ってるわよ!
なんてたって、私が、勇者に聖剣エクスカリバーを貸した本人ですから!」
アナスタシアは、ボヨヨンと、たわわな胸を張る。
「なるほどね。今の子達には、忘れ去られている殴り僧侶だったムネオの祖先の事まで知ってるのね……」
「そして、エリスちゃんや、シャンティーちゃんの事も知ってるわよ!
昔、勇者とアリエッタが、アムルー城塞都市に駆け落ちして来た時に、『犬の肉球』の新メンバーである、エリスちゃんとシャンティーちゃんの事、楽しそうに話してたから!」
「チッ! やっぱり、あの糞勇者……このダンジョンに隠れてやがったのか……」
どうやらシャンティーは、勇者に思う所があったらしく、舌打ちしてイラついている。
「あの、質問なんですが、その……アナスタシア殿は、南の大陸で『鷹の爪』の副団長をしてた時期があったと聞いたのですが、本当ですか?」
元、『鷹の爪』のOBでもあるムネオが、緊張気味にアナスタシアに質問する
「ええ! 本当よ! 少し武者修行をしようと思って、アマイモンに頼んで南の大陸に行った事があるのよ!
それにしても、やはり、南の大陸はレベルが高いわよね!
異界の悪魔だっけ、下っ端だったのに、その当時の私の力でギリギリ一匹倒すのがやっとだったんたから!」
「やっぱり、この女が、聖剣エクスカリバーを使って、ガブリエルやブリトニー以外に、異界の悪魔の下っ端を殺した事がある人物で間違い無いわね……」
シャンティーは値踏みするように、アナスタシアを見やる。
「この女って……一応、この世界でも、『犬の肉球』と、『鷹の爪』は提携冒険者パーティーだと思ってるので、アナスタシアと呼んで頂戴ね!
多分、私の方が、シャンティーちゃんよりお姉さんなんだから!」
「アンタ、どう見ても人間なのに……まさか不老不死スキルか何か持ってるの?」
「私は、吸血鬼の原種の始祖だから、全く歳は取らなのよ!」
「始祖?吸血鬼って、サキュバスの亜種の?」
「サキュバスが、吸血鬼の亜種ね!
南の大陸には、確か、吸血鬼は居ない筈だけど。
因みに、ここの主のセドリックの種族も、私と同じく始祖よ!
まあ、色々あって、セドリックは一応、私の兄という設定になってるんだけど!」
「なんか、よく分かんないけど、アナタと『犬の肉球』とは、古くから関係があって、兎に角、大物という事は分かったわ!」
「分かって頂きありがとうね! そして、アナタが、聖剣エクスカリバーを借りたいというお嬢ちゃんね!」
アナスタシアは、メリルを見ながら聞く。
「メリルと言います。アマイモン様に予約を取って頂いてるとおもうのですが……」
アナスタシアが、メリルを、ジックリと見やる。そして、ジックリと見終わった後、
「あの、一応、言っとくけど、聖属性持ち以外は、聖剣エクスカリバーを持てないけど、大丈夫?
そもそも、聖剣は、悪魔を斬る武器なのだけど?」
「その辺は、大丈夫です。私は、ガブリエル姫様と、異世界人だったサイト様に作られた人造悪魔ですから、完全には闇属性じゃないんです。
しかも、私は、魔王で勇者だったサイト様の遺伝子も引き継いでいますから、勇者因子も一応、持ってるんです」
「なるほど、確かに、アナタも問題無さそうね」
アナスタシアの目が真っ赤になり、なにやら先程より、しっかりと、メリルを調べたようである。
「じゃあ、今日は、じっくりと湖畔のログハウスの宴会場で親睦を深め、明日の朝一番から、聖剣エクスカリバーを取りに行くわよ!」
どうやら、アナスタシアが今、聖剣エクスカリバーを持ってる訳ではなく、何処かに聖剣エクスカリバーを取りに行く流れのようだった。
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