職種がら目立つの自重してた幕末の人斬りが、異世界行ったらとんでもない事となりました

飼猫タマ

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146. アムルー城塞都市

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 次の日、アナスタシアに相当飲まされて二日酔いの中、聖剣エクスカリバーを取りに出掛ける。

「このアムルーダンジョン22階層からは、どんどん魔物が弱くなるから、そんなに行程は辛くないと思うわ」

 アナスタシアが、先頭を歩きながら説明する。

「ん? 22階層って、どういう事だ?俺の認識だと250階層以上だと思ってたんだけど?」

 塩太郎が疑問に思い質問する。

「アムルー城塞都市がある世界の人々にとって、この階層は22階層なのよ。
 誰も、自分達がアマイモンが作ったダンジョンの最下層で生活してるとは思っていないから。
 このダンジョンの住民にとっては、最下層が普通の世界で、次の階層の295階層目が、アムルーダンジョンの1階層だと思ってるの。
 アマイモンも調整して、295階層の魔物も初級冒険者でも倒せる弱い魔物を配置しているわ!」

「ダンジョンの中に、普通の世界が広がってるのかよ!」

 塩太郎が、興奮気味に質問する。

「広がってるわよ。まあ、南の大陸の4分の1くらいの小さな世界だけどね」

 そんな話をしつつ、22階層より下?の階層は、塩太郎達の実力的には、弱い敵しか出て来ないので、その日の夕方のうちに、最下層にあるアムルー城塞都市に到着したのだった。

 ーーー

「本当に、街が有りやがる!」

 塩太郎は、興奮気味に絶叫する。
 そう、そこは完全に街の中。普通に人が生活してるし、殆ど、南の大陸のどこにでもある城塞都市と変わらなかった。

「塩太郎君。あまり大きな声は出さないで、ここの住民は、まさか、自分達がダンジョンの中に住んでるとは思ってないんだから!」

 絶叫する塩太郎にすぐさま、アナスタシアが注意する。

「街の作りは、殆ど、南の大陸の城塞都市と同じね。
 ただ、違う所と言えば、『漆黒の森』の王都モフウフみたいに、ダンジョンを中心に城塞都市が有るという事ぐらいね」

 シャンティーは、キョロキョロ観察しながら、アムルー城塞都市を分析する。

「それじゃあ、取り敢えず、アムルー冒険者ギルドに行くわよ!」

「ん? ダンジョンの中にも、冒険者ギルドが有るのかよ!」

「普通に有るわよ。このアマイモンが作っ
 たダンジョンは、小さいけど外の世界をトレースして出来てるから。アムルー城塞都市以外にも、普通に街が点在してるし、アムルー城塞都市が所属するハルマン王国以外にも、6つの国まで有るわよ」

「嘘だろ?」

「本当よ!」

「確か、このダンジョンって、アマイモンが作ったんだよな……」

「ええ。アマイモンは、こんな凄いダンジョンを作ってしまえる程の超大物って事ね!」

 どうやら、アマイモンは、塩太郎の想像を越える凄い奴だったようだ。普段は、モフウフ王宮でトイレ掃除をしてるんだけど。

 暫く歩くと、見慣れた3階建ての冒険者ギルドが見えてくる。

「本当に、南の大陸の冒険者ギルドと変わんねーんだな……」

「そうよ。南の大陸をそのままトレースしてるからね。というか、このアムルーダンジョンも、南の大陸にあるダンジョンの1つなんだけどね」

 確かに、言われてみれば、このアムルーダンジョンも、南の大陸のダンジョンの1つだった。

「それじゃあ、入るわよ!」

「ああ」

 アナスタシアを先頭に、冒険者ギルドの中に入ると、一斉に注目を浴びる。

「おい。『鷹の爪』が、誰か知らねー奴らを連れてきているぞ?」

「というか、侍?珍しいな……」

「ガタイのいい小麦色の肌のハゲ、眉毛が金髪だぜ」

「ん? 超絶美人のエルフまで居るぜ!」

「と、それから、アレは蚊トンボ?」

「誰が蚊トンボじゃい! 私は光の妖精シャンティー様じゃい!」

 自分も何か噂されると思って、おすましして飛んで居たシャンティーが、無礼な言葉を吐いた冒険者を、風魔法でぶっ飛ばす。

「アノ、蚊トンボやりやがったぜ!」

「だから、私は、蚊トンボじゃないって言ってんの!」

 シャンティーは、怒り狂い、その場に居た冒険者を全員、風魔法でぶっ飛ばす。

「テメーら、騒がしいぞ!」

 そんな騒ぎを聞き付けて、受付カウンターの奥にある職員用の階段から、髭面で妙にガタイが良い貫禄がある中年のハゲが下りてきた。

「騒がして、ゴメンなさいね」

 アナスタシアが、ハゲのオッサンに謝る。

「ん? アナスタシアか。久しぶりだな。というか、この物騒な奴らはお前らの仲間か?
 仲間なら、壊れた椅子や机を弁償させろよ!」

 ハゲのオッサンは、塩太郎達にそれ程、興味は無さそうだ。

「私が弁償させるから大丈夫よ!それより、面白い物をもった侍を連れて来たわよ!」

 アナスタシアが、塩太郎をハゲのオッサンの所まで呼び寄せる。

「ちょっと、刀の鞘を見せて頂戴」

「鞘だけでいいのか?」

 塩太郎は、訳が分からないまま、刀を鞘ごと渡す。

「ほら、ここの模様」

 アナスタシアは、塩太郎の鞘にある蜘蛛の模様を指差す。

「これは、もしかして、シロちゃんの新作か?」

「これだけじゃないわよ! ほら、この塩太郎君の着物をよく見て!」

「ん?ただの生地の色だと思ってたのが、よく見ると全部、細かな蜘蛛の柄だと!
 オーダーメイドでも、シロちゃん、こんな面倒臭い仕事しないだろ!
 というか、この着物、シロちゃんにオーダーメイドしたは、一体、幾らになるんだよ!」

 ハゲのオッサンは、塩太郎の着物を見て心底驚いている。

「で? このオッサンが白蜘蛛の知り合いだという事は分かったけど、このオッサンを早く紹介してくれよ!」

 塩太郎は、気になりアナスタシアを急かす。

「そうだったわね。この人は、このアムルー冒険者ギルドのギルド長で、セドリックのお兄さんのブルース・モレノよ!」

「に……似てねー!」

 塩太郎は、ブルースの頭頂を見て、思わず叫んでしまったのだった。
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