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第2話
073. 剣と魔法ってこんな感じなんだ22
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「今、帰ったよ」
そういった女性は肩に旅人特有のバックパックを背負い、裏庭の入り口からこちらを見ていた。
身長こそボクより高く、アニーと同じくらいだがその人的な厚みはアニーのそれとはくらべものにはならない。
片手に携えた短めの槍も、こちらに歩いてくる際に空気が陽炎のようにゆらめくような錯覚も含めて人としても戦士としても、この中で一番の厚みを持っているようだった。
「ちゃんとやってるね」
「ちゃんと」と「やっている」
この二つの言葉の重みが、ボクが普段使っている言葉のそれとはまったく違う言の葉にも思える。
切れ長の目の奥に見える琥珀色の瞳が、光にかざした宝石のように中で太陽光を屈折させて、違う色の輝きをしている。
「ララベス、おかえりなのだ」
「何事もなかった?」
「もちろん、と言いたいところなのだが……」
元気印のアニーにしてはなんだか言葉に言いよどみを感じた。
同じように思ったのか、ララベスと呼ばれた女性は、周囲を見回す。
「ふむ。
そうか。
そして、君は?」
ボクへと視線が向く。
まごうことなき美人に、いやこの黒熊には美人ぞろいなのだけれども、この女性は何かが違う。
まるで緑の濃い森の中に、一本だけ立っている白樺の木のような異物感すら感じる。
「ララ!
やっと帰ってきやがったな!」
「フゥか。
その後どうだい」
「おぅ、あれからも修行は続けたぜ。
さぁ、一本手合わせと行こう」
ララと短く名前を呼ばれると、女性は肩に乗せていたバッグパックをすとんと地面に落とした。
そして、風がなでる木々の葉のように自然に中央に向かった。
そして明らかな対格差のある巨漢の前で立ち止まると、ポツリポツリと声を発した。
「じゃあ、ちょっと、やってみよう――」
「か」、と言う最後の音よりも先に手にしていた槍がフゥへと突き込まれていた。
全くの自然体から、一瞬の槍での刺突は、その態勢を変えず、持っていた右の腕が肩から先だけ稼働し、連動して槍が動いたに過ぎない。
それ以外の足から頭の先に至るまでの身体は一寸たりとも動いていない。
「ハッッハハ!
相変わらずえげつないぜ」
フゥも大したもので、その虚を突いた一撃さえも首だけを動かして避けて見せた。
そして笑いながらやっと手合わせが始まったのだ。
ギィンッ。
硬いもの同士がぶつかり合う音。
フゥの両刃の剣が槍を跳ね上げた。
肉厚で、それでいて切れ味の良いフゥの剣が下方からララベスの槍を跳ね上げると、その勢いを殺すことなく、槍の持ち主の頭へ刀身を振り下ろした。
ズガッ。
重い剣が地面に突き刺さる音だ。
フゥが全身を使って繰り出した、渾身の一撃に見えたソレがララベスの肉を切らなかったことに安堵しつつ、あんな一撃を億面無く仲間に向けたフゥ自身に身の毛が逆立った。
ガッ。
次の音は意外な攻撃法を教えてくれた。
「危ねぇ。
こんな膝蹴り、冗談でも食らいたくねぇや」
「避けるほうが楽だと思ったけど、君くらいなら受けてくれるか」
ララベスは手にした槍ではなく、自身の膝でフゥの顔を蹴り抜こうとした。
そしてその薄緑色の金属鎧でおおわれた膝の一撃はフゥの掌で止められていた。
「どうして、そんなっ!
槍じゃないの!?」
「槍のリーチは剣よりも長いのよ。
その分、近い間合いでは小回りが利かないわ。
それだったら、自分の肉体や格闘術で立ち回れるようにするのも武器を持つ人には必須能力だわ」
そういってボクの隣で事の顛末を見ていたハクが腕を組んでいた。
腕の中にはいつもの杖が見える。
「相手からの攻撃を受けない場所から攻撃が出来たら、さぞかし戦いやすいでしょうね。
攻撃も、防御も、どちらも同時に完璧にするのは難しいわ。
相手の間合いの外から、相手の懐に入って、自分に有利な距離で、相手の苦手な距離で……
色々考えてやるのよ」
そういった女性は肩に旅人特有のバックパックを背負い、裏庭の入り口からこちらを見ていた。
身長こそボクより高く、アニーと同じくらいだがその人的な厚みはアニーのそれとはくらべものにはならない。
片手に携えた短めの槍も、こちらに歩いてくる際に空気が陽炎のようにゆらめくような錯覚も含めて人としても戦士としても、この中で一番の厚みを持っているようだった。
「ちゃんとやってるね」
「ちゃんと」と「やっている」
この二つの言葉の重みが、ボクが普段使っている言葉のそれとはまったく違う言の葉にも思える。
切れ長の目の奥に見える琥珀色の瞳が、光にかざした宝石のように中で太陽光を屈折させて、違う色の輝きをしている。
「ララベス、おかえりなのだ」
「何事もなかった?」
「もちろん、と言いたいところなのだが……」
元気印のアニーにしてはなんだか言葉に言いよどみを感じた。
同じように思ったのか、ララベスと呼ばれた女性は、周囲を見回す。
「ふむ。
そうか。
そして、君は?」
ボクへと視線が向く。
まごうことなき美人に、いやこの黒熊には美人ぞろいなのだけれども、この女性は何かが違う。
まるで緑の濃い森の中に、一本だけ立っている白樺の木のような異物感すら感じる。
「ララ!
やっと帰ってきやがったな!」
「フゥか。
その後どうだい」
「おぅ、あれからも修行は続けたぜ。
さぁ、一本手合わせと行こう」
ララと短く名前を呼ばれると、女性は肩に乗せていたバッグパックをすとんと地面に落とした。
そして、風がなでる木々の葉のように自然に中央に向かった。
そして明らかな対格差のある巨漢の前で立ち止まると、ポツリポツリと声を発した。
「じゃあ、ちょっと、やってみよう――」
「か」、と言う最後の音よりも先に手にしていた槍がフゥへと突き込まれていた。
全くの自然体から、一瞬の槍での刺突は、その態勢を変えず、持っていた右の腕が肩から先だけ稼働し、連動して槍が動いたに過ぎない。
それ以外の足から頭の先に至るまでの身体は一寸たりとも動いていない。
「ハッッハハ!
相変わらずえげつないぜ」
フゥも大したもので、その虚を突いた一撃さえも首だけを動かして避けて見せた。
そして笑いながらやっと手合わせが始まったのだ。
ギィンッ。
硬いもの同士がぶつかり合う音。
フゥの両刃の剣が槍を跳ね上げた。
肉厚で、それでいて切れ味の良いフゥの剣が下方からララベスの槍を跳ね上げると、その勢いを殺すことなく、槍の持ち主の頭へ刀身を振り下ろした。
ズガッ。
重い剣が地面に突き刺さる音だ。
フゥが全身を使って繰り出した、渾身の一撃に見えたソレがララベスの肉を切らなかったことに安堵しつつ、あんな一撃を億面無く仲間に向けたフゥ自身に身の毛が逆立った。
ガッ。
次の音は意外な攻撃法を教えてくれた。
「危ねぇ。
こんな膝蹴り、冗談でも食らいたくねぇや」
「避けるほうが楽だと思ったけど、君くらいなら受けてくれるか」
ララベスは手にした槍ではなく、自身の膝でフゥの顔を蹴り抜こうとした。
そしてその薄緑色の金属鎧でおおわれた膝の一撃はフゥの掌で止められていた。
「どうして、そんなっ!
槍じゃないの!?」
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色々考えてやるのよ」
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