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第2章 エルフの隠れ里〜
森の中での特訓! 2
しおりを挟む俺達はワイルドボアの縄張りから、グリードベアの縄張りへと移動している。
着くまでの間にまたアースさんが倒し方のレクチャーをしてくれることになった。
「グリードベアの武器はその鋭い爪と素早い動きだ。だが2人の、さきほどのワイルドボアとの戦いを見ていたが、十分にグリードベアの素早さには対応できると思う。だから落ち着いて戦えばまず間違いなく無傷で勝てると思うぞ。」
「あと、グリードベアの毛皮は剣を弾きやすいから、戦うなら魔法のほうがおすすめかな!」
2人からのアドバイスに、俺もユーリもやる気が出てきた。
そっか、剣を弾きやすいのか。
ならば……火魔法で丸焼きか?
水魔法で包んでも良いが、あれは時間かかるしなぁ。
ウインドカッターだと剣と同じで弾くのかな?
あ、土魔法で大きな球を作ってぶつけるのもありか?
「火魔法で丸焼きにするならアクアが火消しをするし、水魔法でのその戦法は確かに時間がかかる。土魔法で巨大な球を作るのは良いが、重いと速さがないぞ?」
そんな事をアースさんが言った。
どうやら俺がいろいろ考えていたのもまた呟いていたらしく、皆には聞こえていたらしい。
この呟きグセ、直らないものだろうか?
そうこうしているうちにグリードベアのテリトリーへと踏み込んだらしく、どこからか草をかき分けて全身真っ黒な熊が現れた。
その熊は現れるとすぐに立ち上がって俺たちを威嚇してきた。
背の高さは多分俺の1.5倍ほどなので、この世界の大人から見れば多少でかいと思うくらいだろう。
俺は威嚇してきている間に素早く移動して、試しに刀で首を切ってみることにした。
もちろん、切れないと悪いので全力だ!
すると、思ったよりも簡単に切り落とす事が出来て驚いたよ。
「……シエルさんはもしや相当力が強かったり?」
「……あははっ!」
アクアさんがそんな事を言ったので、俺は笑って誤魔化しておいた。えへへ!
「まあ……切れたのは良いんだが、その武器、刃こぼれとか起こしてないか?」
アースさんに言われて刀を見る。
血はついているが、刃こぼれはないようだ。
それにどうやらまだ魔力コーティングしたままだったらしい。
「どうやら魔力コーティングしたままだったせいなのか、刃こぼれはないようです。」
「なるほど、魔力コーティングには武器の強化の性能もあるんだな。」
アースさんの言葉に頷く。思ってもみなかった性能だ。
これなら刀でも戦えるね!
その後、ワイルドボアほどではないが、結構な数のグリードベアを倒しては収納していく。
日がだいぶ傾きだした頃にはかなりの数のワイルドボアとグリードベアをゲットできた。
解体は無理なので家に帰ったらスコットさん達に頼むか、それともローランの街に行って解体を頼むかしなきゃね!
とりあえず広場に戻ってくると、2人の姿がなかった。
……もしやレッカさんは火口へ、グリーさんはどこかへ行っちゃったのかな?
「おーい、レッカ、グリー!」
とても大きな声でアースさんが2人を呼ぶ。
するとしばらくしてレッカさんは火口の方から飛来し、グリーさんは風を巻き上げて出現した。
「やっと帰ってきたようね。成果はあったかしら?」
「ああ、大量に狩ってきたぞ?シェル、みんな出してくれ。」
俺はアースさんに言われて今日の成果をみんな出してみた。相当な数だね!
「凄いわね……ほぼみんな一撃じゃない。」
「そうなんだ。思ったよりシエルさんは強かった、ってことだね。」
……ん?
俺、もしかして弱いと思われていた?
「それにしても相当、数を減らしてきたんやね。これならしばらくは増えすぎることもないやろな。」
「ああ、そうだな。特にグリードベアはこの森の上位の魔物だったから、今度は下位の魔物が増えすぎないように気をつけないとな。」
「せやで、下位はエルフの村付近に居るが、繁殖しすぎるとさらに下の方にまで行ってまうからな。」
えっ、大丈夫、それ?
森の近くの街ってスノービークじゃなかったっけ?
俺はちょっと不安になったけど、これから繁殖するにしてもそんな急に増えることはないだろうから、その間に対処できるかな?
その後、俺たちは狩ってきた獲物をみんなで分配した。
みんなは今夜の食事の分だけを取ったようだ。
どうやら4人は竜になってそのまま食べるらしい。
ユーリは俺の食事を所望していたが、皆から「ここにいる間は一緒の食事だ。」と言われ、しょんぼりしてしまった。
ごめん、また一緒に過ごすようになったら美味しい料理を食べさせてあげるから!
俺はかなりある自分の取り分を鞄に収納し、皆にお別れの挨拶をする。
ユーリには特にしっかりとスキンシップをとっておかないとな!
それから俺はラーシェさんの家に転移する。
まだ時間的には暗くないので、みんなは裏庭の方にいるだろうと向かってみる。
裏庭に着くと、やはりみんなはまだ魔法の特訓をしているところだった。
俺は少し離れたところから監督していたラーシェさんの隣に立った。
「どうですか、みんなは?」
「そうじゃなぁ……みんな頑張っとるぞ。じゃがまだまだかのぉ。」
「なるほど……。あ、ところで今日、あっちで狩ってきた獲物があるんですが、解体ってみんな出来ます?俺はちょっと無理なもので。」
俺が苦笑いしてラーシェさんに聞くと、どうやらライトさんやマッシさんのいる里の自衛団では森に狩りに出かけて獲物を獲ってきたりする事もあるから解体はお手の物らしい。
ラーシェさんは何やら唱えると周囲に一陣の風が吹いた。
「今、ライト達に連絡したよ。里の自衛団がここまで来るから、あっちで解体をしておくれ。」
ラーシェさんは指を差しながらそう言った。
指を刺された場所は家のすぐ近くにある、広い洗い場?のような場所だ。
もしかしてあそこは解体用の場所なのかな?
俺がそこに向かっている時に、建物のそばに転移してきた一団がいた。
どうやらライトさんやマッシさんかいるから、さっき言っていた自衛団だろう。
「おう、シエル!なんか魔物を狩ってきたってラーシェさんから連絡貰ったから来たんだけど……どこにある?」
こちらへ歩いてきながらライトさんが俺に声をかけてきた。
「今、鞄から出しますね!」
そう言って鞄から次々とワイルドボアとグリードベアを取り出す。
するとそれを見た皆が驚きの声を上げる。
どうやらグリードベアは相当強い魔物だったらしく、エルフたち数人でないと1頭倒せないそうだ。
「すげぇな、シエル!これ、お前1人で狩ったのか?」
「そうですねぇ……確かに、ここにある殆どは俺とユーリで狩った物です。」
すると周囲にどよめきが起こった。
俺が倒したっていうのに驚いたんだろう。
「とりあえず早く取り掛からないと夕方までには終わらないぞ!さあ、始めるぞ!」
「「「「「おうっ!!」」」」」
どうやらライトさんがこの集団の隊長?らしい。
それからの自衛団は解体にとりかかったが、相当手慣れているようであっという間に数が減っていく。
人数が多いのもあるが、解体の手際の良さもあり、暗くなる前に全部の解体が終わったようだ。
「皆さん、半分ほど持っていってください。解体料の代わりですので。」
「良いのか?もっと少なくても良いんだぞ?」
「いえ、こんなにあるんですからどうぞ!できればグリードベアの方を多めに持っていってもらえると助かります。」
俺が苦笑いをするとライトさんが驚いていた。
「良いのか!?あれはかなり美味いんだぞ?」
「はい、どうぞ。俺にはどう調理すれば良いのかわからないので。」
「普通に切って焼くだけでも美味いんだぞ?」
ライトさんは唸っていたが、なんとか納得してくれたようだ。
みんな収納魔法を使えるらしく、それぞれ1頭ずつ持っていってくれた。
残ったのは熊1頭と猪10頭だ。
結構あるから、しばらくはお肉に困らないだろう。
ライトさん達自衛団の人達もホクホク顔で帰っていった。
その晩はもちろん、とれたてのお肉で焼肉をしたのは言うまでもなかったよ!
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