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しおりを挟むあまり騒ぎになっても困る、わたしは鋼の剣を小石に戻し、そそくさとその場を立ち去った。
「妹の評判がまた悪くなったかしら」
どうでもいいか、実際は評判よりひどいのだから。
それからお店へ行き、無事欲しい物が見つかって買い物を済ませた。 とても持って帰れる大きさではないので、後日運んでもらう事になっている。
「喜んでくれるといいけれど……ふふ」
用も済んだし、馬車に戻ろうと歩いていた時―――
「――っ」
妹が加護の力を使った、その対価を支払えと借金取りが魔力の戸を叩く。
「午前中はお父様達と招待客リストを作ってと言ったのに……」
……仕方ない、まだ今は支払ってあげるわよ。
「うっ」
対価が身体から吸い取られていく。 慣れてはいるけど、気だるくなって精神もやられるのはやはり辛い。
その後も錬金は続き、さすがに身体が悲鳴を上げ、わたしはその場にうずくまってしまった。 妹を通しての錬金は負荷が大きい、その上質が悪いんだから……。
◆
「もう飽きた~」
「こっ、これで最後だステラリア! ほら終わったら大好きなタルトタタンがあるぞぉ?」
「ちょっとあなた、あんまり無理させると嫁いでから……」
「もうっ、家に帰ってくるとこればっかり! あ~あ、ダラビット家に行ったら錬金するのやめよっかな~」
「ほら言ったじゃない!」
「うっ……うるさいッ! アインツマンの奴になんぞ一欠片の金もくれてやんぞッ!!」
◆
「ぐぅ……」
ど、どれだけ錬金するつもり!? あの強欲夫婦めっ……!
「た、タダだと思ってられるのも、今のうちよ……」
加護にばかり頼ってないでちゃんと働いてよねッ! そんなだから誰も協力してくれなくて事業に失敗するんだわ! 少しはアインツマン様を見習っ……
「――っ?」
突然、うずくまっていた身体が浮いた。
それはもちろん加護の力なんかじゃない、大体そんな力持ってないし。
「あ……」
ふと顔を上げると、わたしを抱き上げた人は、少し影のある笑みを浮かべていた。
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