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しおりを挟む「まったく、こんな事ならとっととダリアをダラビットの息子にくれてやるんだった……」
「今更なによ、そんな事より今は、ステラリアが嫁いでも加護はこっちに使ってもらうようにする事を考えるのよ」
……またやってる。 最近あの二人はずっとこの調子。 まだダラビット家から返事は無いけど、それも時間の問題だろう、何しろ相手は加護持ちだ。
隣の部屋は放っておいて、わたしはドレスを選ぶとしよう。 ―――妹の。
「姉さん、わたしリオネルの趣味とか知らないんだよね~、彼どんなのが好みなのかな?」
「そうね、あまり派手なのは……」
「でもわたしピンクが似合うから、それでいっか!」
「……そうね、きっと喜ぶわ」
わたしはというと、まだ本当の事を家族の誰にも言っていない。
二人の婚約なんか納得いかない、そのわたしが何故妹の手伝いをしているのか、それは―――
◆
「本当に恥知らずね! 妹から声が掛かったらわたしなんてどうでもいいの!?」
「そんな事はないが、君とではいつまで経っても先に進まないじゃないか……!」
「簡単に進むなら誰でもいいって事? そんな男だと思わなかったわ!」
「……そこまで言うなら、言いたくはないが、同じ加護を持っていると言っても、君とステラリアじゃ――」
全てを言い終える前に、わたしの掌がリオネルの頬を弾き、言葉を遮る。
「ちょ、ちょっと姉さんやめなよっ!」
怒りに震えるわたしと、顔を歪めるリオネルの間にステラリアが割って入った。 人目につかない場所で話していたのに、きっと家からつけて来たんだ。
「……私はもう帰る、ステラリア、婚約の返事は近いうちに」
「あっ、待ってリオネル!」
立ち去るリオネルを妹は追いかけた。 わたしはその場から動かず、遠くなっていく二人を見送るだけ。
――――笑いながら。
◆
「辛いだろうけど、姉さんも来てよねっ。 婚約発表の夜会」
「わかってる。 でも、またリオネルを引っぱたくかもしれないわよ?」
まだ返事も来てないのに、もう婚約したつもりでいる。 加護の力なんか手に入れたからかな、妹はわがままな子供のまま16になった気がする。
「あははっ、ダメだよ~」
「ふふふ」
本当に、笑いが止まらない。
だって、あの時もわたしは知っていたから。 あの子が、わたしの後ろをついて来てる事を……。
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