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しおりを挟むリオネルがステラリアと婚約!? 何がどうなっているのかわからないけど、とにかくわたしはアインツマン様からいただいた木箱から瓶を取り出し、それを一気に飲み干した。
そして、
「――どういう事ッ!! あの子は王子と婚約してる筈でしょ!?」
乱暴にドアを開け、小競り合う両親に大声で横槍を突き刺した。
「ダリアか、お前には関係ない」
この父親は、本当にバカなんだろうか。
「関係ない!? わたしとリオネルは想い合ってるのよ!? 大体ステラリアは婚約中でしょ、シャルルはどうなったのよッ!!」
ごめんなさい、今は『王子』を付ける余裕がありません。
「そうよあなた! 王家との婚約を破棄するなんて許されないわ! 爵位も剥奪されるのよ!?」
「王宮からは王族から王妃の資質が認められないという体にすると通達があった! そもそも加護持ちに罰など与えた前例はないんだッ!」
加護持ちは罰せられない? そんなの……まあ、資質は無いでしょうけど……。 だからって!
「わたしがいくら言っても婚約を許してくれなかったのに、どうして――」
「ステラリアが言ってるんだッ! 家に何も貢献しないお前と一緒にするなッ!!」
「なっ……」
それなら、事業に失敗してノームホルン家を傾かせた無能な当主はどうなのよ。 お父様なんてアインツマン様から気にもされてない、そう言葉が喉を通ろうとした時、
「あなたはだから駄目なのよ、いい? 双子の加護持ちは世界中で注目されてるの、それが妹の出がらしでも、バレる前に有力貴族に押し付けてしまえばいいのよ! ふふっ、だって加護持ちの返却なんて出来ないでしょう?」
父が父なら、母もこれ……。
もう、この家には居たくない。
「うるさいなぁ、帰ってきたばかりで疲れてるんだから……」
救いようのない両親に絶望していると、寝巻き姿で眠そうに目を擦る、資質の無い妹が部屋に入ってきた。
「ああ、すまないなステラリア」
「いいけど、どうしたの?」
どうしたって、あなたのせいでこうなってるのよ! と言ってやりたかったが、なんとかその気持ちを鎮めて、どうしてこうなったのかを本人に尋ねてみた。
「ステラリア、あんなに王子妃になりたがってたのに、どうして戻ってきたの?」
「だって、姉さんは知らないだろうけど、王子妃教育ってひどいのよ?」
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「王族なんて息苦しい~、あんなの、足枷を付けられた罪人みたいだわっ」
……こ、こっちはあなたの為に身を削って、両親に何を言われても、好きな人にキレイな自分も見せられずに我慢してたのに……!
「せっかく加護持ちになれたのに、わざわざ苦労する必要なんてないでしょ? 姉さんは身体が弱くなっちゃったから仕方ないけど」
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「ッ……!」
頭が真っ白になった。
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「……姉さん、自分の力が弱いからってそれはみっともないわよ?」
怒りは限界を越え、身体が痙攣して何も言葉が出てこない。 意識が遠ざかり、わたしはその場で倒れてしまった。
でも、その真っ白な頭の中に、段々と浮かび上がってきたのだ。
この勘違いをしたバカな妹を叩きのめす、真っ黒な計画が――――
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