上 下
45 / 47
おまけ/南の王END

伴侶のしるし

しおりを挟む
そのまま、王の寝室へ連れて行かれて。


「うわ、」
黒い石段に耐火布でできた寝床に押し倒された。

ジュセルのにおいが染み付いている、黒い寝具。
汗臭いとは思わない。

何だか、ドキドキする。


「もう、逃がしてやれないからな?」
ジュセルは真顔だった。

……角を握るのは、ガチな求愛行為だから?


「まだ子供だと思ってたから、一度は引いた。だが、もう成人済みってことなら、遠慮はいらねえだろ。……抱くぞ」
口調が荒くなってる。

……興奮してるんだ。

それは、角を握ったから?
相手が俺だから?


†††


ジュセルは、黒い重そうな鎧を脱ぎ捨てて、床に放り投げた。

上着も脱いだ。
鋼のような逞しい、赤銅色の身体があらわになる。ジュセルはよく上半身裸になってたけど。こういう状況で見るのは、恥ずかしくてドキドキしてしまう。


俺の服は、意外と丁寧な手つきで脱がされていく。
すごく興奮してるのに。

これから抱くって言った。
えっちなことされるのはわかってるのに。

どうしてか、抵抗しようなんて思わなかった。


器用に学生服を脱がされていって。スラックスのファスナーを下ろされる。
ジュセルは、俺の凹凸のないぺったんこな身体を見て。

「……ほう?」
唇と首を少し傾け、片眉を上げた。

頼むから比べないで欲しい。
この貧弱なボディと、そんなラオコーンみたいな御立派な筋肉を。勝負になりませんから!


の毛も黒いんだな? ちと薄いが」

「!?」
どこ見てるんだよ!?

うわああん、そんなところのフラグを回収すんなよ!! ジュセルのエロ親父!!!
薄くて悪かったな!!


ぺろり、と。額を舐められた。

「もう、おれだけのモンだ。誰にもやらねえ」
目を細めて、俺の額を見ている。


今ので、額に赤い石をつけられたんだとわかった。
伴侶のしるし。


……ジュセルのものに、されちゃった。


†††


唇に、優しい、触れるだけのキスをされた。


ジュセルが俺に触れる時はいつも、意外なほど優しい。
まるで壊れ物のように扱われるのが、くすぐったくて。同時に嬉しくなるのは何でだろうと思っていたけど。

俺ってば、もしかして。ジュセルのこと。


「……と、その前に。ここだけは、本当に、絶対に、触れるなよ?」
位置的に鳩尾辺りを指差して、念を押される。

よく見れば。
そこには、逆さに生えた鱗のようなものがついていた。

……何これ?


「竜の逆鱗だ」
竜? ジュセルって、竜人だったの!?

……なるほど。
この角って、ヤギとかヒツジじゃなくて、竜の角だったんだ。

竜だから、暑さにも強いし、マグマに耐えられるくらい皮膚も丈夫なのかな?


に触れられると、冗談抜きで理性が吹っ飛んじまうからな。抱き潰しても、止まらねえかも」
だから絶対に触れるな、って注意したのか。


ひええ。
どさくさに紛れて、触ってしまわない自信はない。皆無だ。

俺のドジっこ属性舐めるなよ!
やっちゃダメなことは、たいていやっちゃうんだぞ!?

さっきも、気を付けるように言われてたのに、うっかり角に掴まっちゃったしな!


「縛って!」

「……ハァ?」
突然の爆弾発言に、ジュセルは目を剥いて驚いているが。

こっちはマジである。
もはや涙目で、必死にお願いする。


「俺の手、縛って!! お願い!」


†††


絶対触っちゃいそうだから、手を縛って欲しい、とお願いしたら。
ジュセルはぶつぶつと文句を言いながらも、着物の帯で手首をまとめて縛ってくれた。

……なんか縛るの手馴れてない?


「かわいい伴侶のお願いなら仕方ねえけどもよ……我にはこういうシュミは……」
まだぶつぶつ渋ってる。

伴侶じゃないし、とはもう言えない。
俺は自分がやらかした責任はきっちり取る男なのである。

……その方法の男らしさは置いといて。


「ねえはずだが……、これはこれで……そそるな……」
ごくり、と生唾を飲み込んでいる。

あわわ。
余計に興奮させてしまったようだ。

「あの、俺、こういうの、はじめてだから。……痛くしないでね?」
ジュセルを見上げてお願いしたら。


「ぐおおおっ!」
ジュセルは壁に、ゴツン! と勢いよく頭をぶつけた。

大丈夫かな?
かなり痛そうな音したけど。


重低音で。
「……ぶち込まれてえのか、」と呟いてる。こわっ。


「……くそ、やべえとこだった。伴侶どの、今から魔法をかけるから、力抜いとけよ?」
「魔法? って、何の?」

「俺と交わっても、痛くならない魔法だ」


俺とジュセルとじゃ体格差がかなりあるから、その魔法を使わないと、怪我するんだって。
痛くしないでって言ったからかな?

って、そんなピンポイントなエロい魔法があるの!?
異世界、とんだエロワールドだったよ!


†††


それでも、ジュセルの指は俺の親指よりずっと太いから、慣らすって言ってお尻を触られた時、身構えてしまってたけど。

実際、”痛くならない魔法”とやらをかけられた後は、ジュセルの太い指をお尻に入れられても大丈夫だった。

痛くないどころか、何故か、そうされるのが気持ち良かった。


どうやら粘膜から分泌液が出て、受け入れやすいようにするものらしい。
ミラクルだ。

さすが異世界。何でもアリじゃん。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

息子の友達

恋愛 / 完結 24h.ポイント:113pt お気に入り:136

異世界で王子様な先輩に溺愛されちゃってます

BL / 完結 24h.ポイント:85pt お気に入り:1,769

選んでください、聖女様!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:52

【R-18】踊り狂えその身朽ちるまで

恋愛 / 完結 24h.ポイント:106pt お気に入り:511

【※R-18】私のイケメン夫たちが、毎晩寝かせてくれません。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:440pt お気に入り:723

【完結】召喚失敗された彼がしあわせになるまで

BL / 完結 24h.ポイント:525pt お気に入り:3,478

悪役に好かれていますがどうやって逃げれますか!?

BL / 連載中 24h.ポイント:908pt お気に入り:2,554

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

BL / 完結 24h.ポイント:205pt お気に入り:202

処理中です...