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16章 討伐前
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朝起きてルーク様のお支度を手伝い、わたしはルーク様より先に出て演習場で待機。
お昼はルーク様とお兄様の分を入れたお弁当を持って、お兄様の控室でいただき、午後の光の討伐隊との共同演習に向けて剣に魔法を掛ける。
その後は、ルーク様の加護がなくなったら再度加護を付与するよう何度も魔法を掛ける。
……これがまた、最初は魔力のコントロールが効かず、よく帰る頃にはぐったりしてしまっていた。
でも、最近は調節できるようになって、自分の自然回復の具合と、ルーク様が再度加護を欲しがるタイミングが掴めてきた。
夕方にすべての訓練が終わると、お兄様に送ってもらってデイヴィス家に戻り、ルーク様のお夕食の給仕をして、そしてそこでルーク様と一緒にお夕食を食べて(ルーク様が一緒に食べると言い張るので、結局わたしの夕食はルーク様と一緒になった)、そのままルーク様のお部屋でお風呂の支度や隊服のお手入れなどをして、わたしの一日が終わる。
自分の部屋に戻る頃には、半分寝ているような状態だ。
わたしがその生活に慣れてきた頃、不意にルーク様がおっしゃった。
「明日と明後日は訓練を休みにする。その翌日には、王城に行かねばならないから、ニーナは3日間ゆっくりするといい」
ちょうど、演習場でお昼休みに3人でお昼を食べている時だった。
わたしがサンドイッチを両手で口元に持ってきた時だったので、そのままぴょこんと首を傾げると、何故かルーク様とお兄様が悶えだした。
「義兄上……。ニーナってこんなにかわいい生き物だったっけ?」
「いや、ルーク様。きっと、オレたちが歳をとったと言うことだよ。」
二人の言葉を聞いて、わたしの顔にはかぁ~っと熱が集まった。
「か、か、か、かわいいって……」
多分、顔を真っ赤にさせたわたしがふるふるするのを見て、また二人が同時に頷く。
「「かわいい」」
ひゃぁ~!! 恥ずかしい!
っとと、そんな照れまくってる場合じゃなかった。
「もぉっ! からかわないでください! ルーク様! お休みって、どうしてですか?」
悶え終わったルーク様は、すいとサンドイッチに手を伸ばしながらわたしを見た。
「ん? 討伐が近いからな。一度ゆっくり隊員を休ませる意味で休みを設けた」
「え、そんなに近いんですか?」
ルーク様の口にはサンドイッチが入ってしまっているので、今度はお兄様が答える。
「いや、おそらく3ヶ月から半年後くらいだろうな。……というか、それくらいは間をあけたい。王家は早くしろと言いそうだが」
「義兄上の言う通り、早くしろと言うだろうな。討伐準備に入る前の休養を隊員たちに取らせたいんだ。今日の訓練の後、事前準備金も渡すから、家族と小旅行に行くものもいるだろう。……申し訳ないが、ニーナには出ないんだけど……」
「ま、正式な隊員じゃないからな」
ルーク様とお兄様が表情を暗くする。
「準備金なんて、要らないですよ? だって、わたしは何もしていないんですもの。ただ、ルーク様の側にいて、必要なら光の魔法を使うだけです。そんなわたしに準備金なんて、要りません。ここに置いていただけるだけで、ご褒美です」
そう言い切るわたしに、また二人は悶えだした。
「は~っ、愛されてるなあ、ルーク様」
「はい。この上なく幸せです」
揶揄うお兄様に、ルーク様は真顔でキリッと答える。
「ニーナがここに居てくれるだけで、オレはこれ以上ないくらい幸せになれるんだ」
蕩けるような笑顔でわたしにそう言うルーク様を見て、わたしの顔の熱は、ますます温度をあげていった。
お昼はルーク様とお兄様の分を入れたお弁当を持って、お兄様の控室でいただき、午後の光の討伐隊との共同演習に向けて剣に魔法を掛ける。
その後は、ルーク様の加護がなくなったら再度加護を付与するよう何度も魔法を掛ける。
……これがまた、最初は魔力のコントロールが効かず、よく帰る頃にはぐったりしてしまっていた。
でも、最近は調節できるようになって、自分の自然回復の具合と、ルーク様が再度加護を欲しがるタイミングが掴めてきた。
夕方にすべての訓練が終わると、お兄様に送ってもらってデイヴィス家に戻り、ルーク様のお夕食の給仕をして、そしてそこでルーク様と一緒にお夕食を食べて(ルーク様が一緒に食べると言い張るので、結局わたしの夕食はルーク様と一緒になった)、そのままルーク様のお部屋でお風呂の支度や隊服のお手入れなどをして、わたしの一日が終わる。
自分の部屋に戻る頃には、半分寝ているような状態だ。
わたしがその生活に慣れてきた頃、不意にルーク様がおっしゃった。
「明日と明後日は訓練を休みにする。その翌日には、王城に行かねばならないから、ニーナは3日間ゆっくりするといい」
ちょうど、演習場でお昼休みに3人でお昼を食べている時だった。
わたしがサンドイッチを両手で口元に持ってきた時だったので、そのままぴょこんと首を傾げると、何故かルーク様とお兄様が悶えだした。
「義兄上……。ニーナってこんなにかわいい生き物だったっけ?」
「いや、ルーク様。きっと、オレたちが歳をとったと言うことだよ。」
二人の言葉を聞いて、わたしの顔にはかぁ~っと熱が集まった。
「か、か、か、かわいいって……」
多分、顔を真っ赤にさせたわたしがふるふるするのを見て、また二人が同時に頷く。
「「かわいい」」
ひゃぁ~!! 恥ずかしい!
っとと、そんな照れまくってる場合じゃなかった。
「もぉっ! からかわないでください! ルーク様! お休みって、どうしてですか?」
悶え終わったルーク様は、すいとサンドイッチに手を伸ばしながらわたしを見た。
「ん? 討伐が近いからな。一度ゆっくり隊員を休ませる意味で休みを設けた」
「え、そんなに近いんですか?」
ルーク様の口にはサンドイッチが入ってしまっているので、今度はお兄様が答える。
「いや、おそらく3ヶ月から半年後くらいだろうな。……というか、それくらいは間をあけたい。王家は早くしろと言いそうだが」
「義兄上の言う通り、早くしろと言うだろうな。討伐準備に入る前の休養を隊員たちに取らせたいんだ。今日の訓練の後、事前準備金も渡すから、家族と小旅行に行くものもいるだろう。……申し訳ないが、ニーナには出ないんだけど……」
「ま、正式な隊員じゃないからな」
ルーク様とお兄様が表情を暗くする。
「準備金なんて、要らないですよ? だって、わたしは何もしていないんですもの。ただ、ルーク様の側にいて、必要なら光の魔法を使うだけです。そんなわたしに準備金なんて、要りません。ここに置いていただけるだけで、ご褒美です」
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「はい。この上なく幸せです」
揶揄うお兄様に、ルーク様は真顔でキリッと答える。
「ニーナがここに居てくれるだけで、オレはこれ以上ないくらい幸せになれるんだ」
蕩けるような笑顔でわたしにそう言うルーク様を見て、わたしの顔の熱は、ますます温度をあげていった。
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