29 / 255
3章 学園へ
6
しおりを挟む
チャイムと共に、30代くらいの眼鏡をかけた教師らしき男の人が入ってきた。
白いブラウスにサスペンダーが清潔そうに見えるが、ヒゲはボウボウ伸びていて、無精なんだか清潔なんだかわからない先生だ。
先生は教壇に立ち、口を開く。
「あー、席について。今日から君たちはAクラスの生徒となった。クラスは一年ごとにテストの結果で変わっていくので、なるべくなら卒業までこのクラスに居られるよう、努力するように」
そうか。成績が落ちると、クラスも落ちちゃうのか。
がんばらないと。
先生はしゃべりながら、何やらプリントを配り歩く。
わたしの手元にも来たので、内容を確認すると、週ごとの時間割と、1年間のカリキュラムが書かれていた。
「みんな手元にプリントは行き渡ったな。見て分かるように、だいたいはこのクラスで勉強をしていくが、週2回の魔法学科だけは種類別の授業になる。火、水、風の生徒はそれぞれ集まって授業を受けるように。このクラスには、光の種別の生徒が2人いるが、光の魔法だけは全学年まとめたクラスで授業をやるので、特別室へ行くように。光の生徒は10人にも満たないくらいしかおらんから、仲良くしろよ。あとは、男女別になる剣術とマナー学科は全学年合同でおこなう。以上、何か質問はあるか?」
「はい」
後ろから女生徒の声がする。
「あー、モニカ・フリークか。なんだ?」
先生の言った言葉にびっくりして後ろを振り返ると、モニカ様が手を挙げていた。
「魔法は学園に入ってから学ぶことになっていますよね? その決まりを破って、先に魔法を使っている人はずるいと思います。魔法学科も成績がつきますよね? そんな人には、ペナルティが必要ではないですか?」
モニカ様は嫌な笑いを浮かべてこちらを見た。
これはわたしのことだ。
確かに、魔法は学園で習うと言われていたが、わたしはちゃんと神殿で、ルーク様の治療は続けてもいいと言われている。
反論してクラスの注目を浴びるのも嫌だし、どうしようかと思っていると、先生がモニカ様の問いに答えた。
「別に禁止されている訳でもないからいいだろう。だいたい、なんで学園に入るまで魔法を教えられないかと言うと、それだけ魔法が使えるということは重いからだ。たとえば、モニカ嬢の言う先に魔法を使った者も、ハイリスクな状況で魔法を使ったはずだ。ちゃんと操れない魔法は凶器だ。
火の魔法は暴走すればあたり一面が火の海になるし、水の魔法も水害を起こせる。風の魔法も竜巻を起こせるくらいは大きなものになる。暴走させれば、術者は衰弱する。
魔法は使ったらその分疲れるんだよ。それが暴走したらどうなるか。運が悪けりゃ死ぬな。
それでも、フライングして魔法を使いたいなら、人様の迷惑にならないところでやってくれ」
先生は黒板に寄りかかり、腕を組んだ。
「でも、先生。光の魔法は暴走しても怪我や病気が癒されるだけではないですか。本人が疲れるくらい、ハイリスクとは言えないのではないでしょうか」
先生はため息をつき、教卓に両手をついた。
「何が言いたいのかわからんが、モニカ嬢は光の術者なら光の魔法の勉強くらいしてこい。光の魔法がなんであるかくらいは、勉強してもいいんだぞ」
「……どう言う意味でしょうか」
「光の魔法は、他人を癒せる。それがどう意味か、考えたことはないのかね」
モニカ様は不服そうに「ないです」と答えた。
「光の魔法を間違って使えば、おのれの命を縮めるんだ。他の魔法と違い、自分の命を魔法に変えるとこになる。光の魔法の暴走は、術者の死を意味する。モニカ嬢、君はきちんと魔法学科を勉強するように」
モニカ様は、悔しそうに俯いて「はい」とだけ答えた。
白いブラウスにサスペンダーが清潔そうに見えるが、ヒゲはボウボウ伸びていて、無精なんだか清潔なんだかわからない先生だ。
先生は教壇に立ち、口を開く。
「あー、席について。今日から君たちはAクラスの生徒となった。クラスは一年ごとにテストの結果で変わっていくので、なるべくなら卒業までこのクラスに居られるよう、努力するように」
そうか。成績が落ちると、クラスも落ちちゃうのか。
がんばらないと。
先生はしゃべりながら、何やらプリントを配り歩く。
わたしの手元にも来たので、内容を確認すると、週ごとの時間割と、1年間のカリキュラムが書かれていた。
「みんな手元にプリントは行き渡ったな。見て分かるように、だいたいはこのクラスで勉強をしていくが、週2回の魔法学科だけは種類別の授業になる。火、水、風の生徒はそれぞれ集まって授業を受けるように。このクラスには、光の種別の生徒が2人いるが、光の魔法だけは全学年まとめたクラスで授業をやるので、特別室へ行くように。光の生徒は10人にも満たないくらいしかおらんから、仲良くしろよ。あとは、男女別になる剣術とマナー学科は全学年合同でおこなう。以上、何か質問はあるか?」
「はい」
後ろから女生徒の声がする。
「あー、モニカ・フリークか。なんだ?」
先生の言った言葉にびっくりして後ろを振り返ると、モニカ様が手を挙げていた。
「魔法は学園に入ってから学ぶことになっていますよね? その決まりを破って、先に魔法を使っている人はずるいと思います。魔法学科も成績がつきますよね? そんな人には、ペナルティが必要ではないですか?」
モニカ様は嫌な笑いを浮かべてこちらを見た。
これはわたしのことだ。
確かに、魔法は学園で習うと言われていたが、わたしはちゃんと神殿で、ルーク様の治療は続けてもいいと言われている。
反論してクラスの注目を浴びるのも嫌だし、どうしようかと思っていると、先生がモニカ様の問いに答えた。
「別に禁止されている訳でもないからいいだろう。だいたい、なんで学園に入るまで魔法を教えられないかと言うと、それだけ魔法が使えるということは重いからだ。たとえば、モニカ嬢の言う先に魔法を使った者も、ハイリスクな状況で魔法を使ったはずだ。ちゃんと操れない魔法は凶器だ。
火の魔法は暴走すればあたり一面が火の海になるし、水の魔法も水害を起こせる。風の魔法も竜巻を起こせるくらいは大きなものになる。暴走させれば、術者は衰弱する。
魔法は使ったらその分疲れるんだよ。それが暴走したらどうなるか。運が悪けりゃ死ぬな。
それでも、フライングして魔法を使いたいなら、人様の迷惑にならないところでやってくれ」
先生は黒板に寄りかかり、腕を組んだ。
「でも、先生。光の魔法は暴走しても怪我や病気が癒されるだけではないですか。本人が疲れるくらい、ハイリスクとは言えないのではないでしょうか」
先生はため息をつき、教卓に両手をついた。
「何が言いたいのかわからんが、モニカ嬢は光の術者なら光の魔法の勉強くらいしてこい。光の魔法がなんであるかくらいは、勉強してもいいんだぞ」
「……どう言う意味でしょうか」
「光の魔法は、他人を癒せる。それがどう意味か、考えたことはないのかね」
モニカ様は不服そうに「ないです」と答えた。
「光の魔法を間違って使えば、おのれの命を縮めるんだ。他の魔法と違い、自分の命を魔法に変えるとこになる。光の魔法の暴走は、術者の死を意味する。モニカ嬢、君はきちんと魔法学科を勉強するように」
モニカ様は、悔しそうに俯いて「はい」とだけ答えた。
2
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!!
お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。
皆様、お気に入り登録ありがとうございました。
現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
転生皇女はフライパンで生き延びる
渡里あずま
恋愛
平民の母から生まれた皇女・クララベル。
使用人として生きてきた彼女だったが、蛮族との戦に勝利した辺境伯・ウィラードに下賜されることになった。
……だが、クララベルは五歳の時に思い出していた。
自分は家族に恵まれずに死んだ日本人で、ここはウィラードを主人公にした小説の世界だと。
そして自分は、父である皇帝の差し金でウィラードの弱みを握る為に殺され、小説冒頭で死体として登場するのだと。
「大丈夫。何回も、シミュレーションしてきたわ……絶対に、生き残る。そして本当に、辺境伯に嫁ぐわよ!」
※※※
死にかけて、辛い前世と殺されることを思い出した主人公が、生き延びて幸せになろうとする話。
※重複投稿作品※
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
私をいじめていた女と一緒に異世界召喚されたけど、無能扱いされた私は実は“本物の聖女”でした。
さら
恋愛
私――ミリアは、クラスで地味で取り柄もない“都合のいい子”だった。
そんな私が、いじめの張本人だった美少女・沙羅と一緒に異世界へ召喚された。
王城で“聖女”として迎えられたのは彼女だけ。
私は「魔力が測定不能の無能」と言われ、冷たく追い出された。
――でも、それは間違いだった。
辺境の村で出会った青年リオネルに助けられ、私は初めて自分の力を信じようと決意する。
やがて傷ついた人々を癒やすうちに、私の“無”と呼ばれた力が、誰にも真似できない“神の光”だと判明して――。
王都での再召喚、偽りの聖女との再会、かつての嘲笑が驚嘆に変わる瞬間。
無能と呼ばれた少女が、“本物の聖女”として世界を救う――優しさと再生のざまぁストーリー。
裏切りから始まる癒しの恋。
厳しくも温かい騎士リオネルとの出会いが、ミリアの運命を優しく変えていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる