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2章 気持ちを育む
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ホール内に入ると、お父様とお母様はダンスの輪に混じり、お兄様とお姉様はお友達のところへと散って行く。
ルーク様は毎年、わたしのエスコートだけして帰ってしまうので、わたしもいつもと同じように、ルーク様の手を離し、お姉様の後を追おうとした。
「では、ルーク様。また。今度は明後日ですね。また遊びに行きます」
「あぁ。じゃあ」
ルーク様の腕を離し、お姉様の方へと歩いていく。
ルーク様と距離が開いたところで、カン高い女の子の声が響いた。
「ルーク様、わたくしとダンスを踊ってくださらない?」
わたしがルーク様の名前に反応して振り返ると、フリーク侯爵令嬢のモニカ様がルーク様へと手を伸ばしていた。
「……なんでオレが?」
不機嫌そうな顔を隠そうともせず、ルーク様が答える。
高そうな赤のベルベットのドレスを着たモニカ様は、臆せず微笑んだ。
「女性からの申し出を断るなんて、マナーに反しますわ。さ、わたくしの手を取ってくださるかしら」
ルーク様が嫌そうな顔をして、モニカ様を見ていると、フリーク侯爵夫人がやってきた。
「ルーク様、うちの娘に恥をかかせるようなことはなさらないわよね? きちんとした婚約者と、きちんとしたマナーを勉強しているのであれば
、何も言わずとも理解できることと存じますが?」
扇子で口元を隠し、ちらりとわたしを見ながらフリーク侯爵夫人はルーク様を挑発する。
まともな婚約者がいるのであれば、マナーに反することはどんなことかわかるだろうと。
ルーク様はぶっきらぼうにモニカ様の手を取り、ダンスの輪に入っていった。
わたしはそれを茫然と見送った。
え……。
嘘でしょう。
今までルーク様はパーティーには顔だけ出してお帰りになられていたから、ダンスはまだ誰とも踊ったことはない。
社交界デビューはまだ先だけど、こんな時間の早いパーティーでは子どももダンスを踊れるのだ。
でも、ルーク様はあまりパーティーに長居したがらないし、わたしもパートナーと踊るダンスはデビューしてからでいいかなと思っていた。
だから、ルーク様が初めて踊るダンスはデビューの時にわたしと踊るダンスだと思っていたのに……。
わたしの瞳に映るルーク様は、金糸の髪を靡かせて、まるで物語に出てくる王子様のようだった。
仮面で顔を隠してはいても、その他の部分がルーク様の麗しさを隠せずにいる。
モニカ様とは2歳差があるが、ふたりの背は同じくらいで、ダンスを踊るのになんの不都合もなく、モニカ様の綺麗な赤いドレスがターンをする度に綺麗に咲いて、ホールの隅だというのに、側にいた誰もが見惚れた。
2人を見ていたら、わたしの胸がチリチリと痛んだ。
曲が終わり、2人が礼をする。
ルーク様はそのままその場を離れようとしたけれど、モニカ様はルーク様の腕に自分の腕を絡ませた。
「ルーク様、もう一曲お願いしますわ」
ルーク様は手を振り払う。
「同じ者と二度続けて踊るのは、婚約者とだけだ。君はオレの婚約者じゃない」
ルーク様がモニカ様を睨み付けると、フリーク侯爵夫人が間に入る。
「ルーク様、モニカとは息もぴったりだったじゃございませんか。やはり、マナーや教養は同じ地位の者とでないと、わかり合えませんわ。モニカを婚約者にするのが良いのではなくって?」
その言葉を聞き、周りの目が一斉にわたしへと向いた。
侯爵令嬢のモニカ様と、子爵令嬢のわたしを見比べる目だ。
壁際で小さくなる以外、わたしはどうすることもできずに、ただそこに立ち尽くしていた。
こんな時に限って、周りにはお父様もお兄様も誰もいない。
泣きたい気持ちになったその時に、ルーク様が言い放った。
「オレの婚約者は、ジーナ・ミラーただ1人だ。この先、何があろうとも、未来永劫ジーナ以外の婚約者は認めない」
そして、ツカツカとわたしの元へ歩いてきて、わたしの手を取る。
「行くぞ」
そのまま、わたしはルーク様に連れられて、ホールを後にした。
ホールからそう離れていないところに、高位貴族の休憩室があった。
踊り疲れた者たちが、少し座って寛げるよう、配慮された部屋で、ゆったりとしたテーブルセットがいくつか置いてあった。
わたしはルーク様に連れられて、その一室に居る。
「ルーク様、わたし、こんなところ初めて入りました」
「オレだって初めて使ったよ」
5組ほどのテーブルセットがあるが、休憩しているのはわたしたちだけだ。
まだ、パーティー始まったばかりだもんね。
わたしは長椅子に腰掛け、ふぅと息を吐く。
反対側に座っているルーク様も、疲れているようだ。
「ルーク様、この先何があろうとも、わたしが婚約者でいいんですか?」
さっき、ルーク様が言ってたことだけど、聞いてみる。
だって、確かに子爵家の教育と侯爵家の教育では、差があるだろう。
ルーク様はニヤリと笑う。
「前に言ったろ。死が2人を分かつとも、だ」
「分かつまで、じゃないんですか?」
「死んでも変わらない。ジーナはこの先ずっと、オレの婚約者だ」
この先ずっと。
それは、嬉しい約束だ。
「えへへー。ありがとうございます。ルーク様。でも、わたし今日はちょっと悲しかったです。ルーク様のファーストダンスのお相手は、ずっと、わたしだと思ってたのに」
「仕方ないだろう。逃げられなかったんだから。ダンスくらい、いいじゃないか。この先のオレのパートナーは、ずっとジーナだ」
ま、それもそうか。
「じゃ、ルーク様のファーストダンスはもう仕方ないとして、わたしのファーストダンスの相手は、絶対にルーク様ですよ?」
「当たり前だ。それまで、誰にも誘われるなよ」
「デビュー前の子どもにダンスを申し込むなんて、よっぽどの事情がなければありえませんよ」
えへへっと、笑い合って、給仕の人に頼んだ温かい紅茶を飲んでから、二人でホールへ戻って、ルーク様はお兄様やお姉様の元にわたしを送っていった。
「義兄上、義姉上。ジーナをよろしくお願いします、じゃあな。ジーナ」
お兄様達にわたしを任せると、ルーク様は踵を返し、帰ろうとした。
「あ、ルーク様。馬車のところまで一緒に行きます」
わたしはお兄様の手を離れて、再度ルーク様の腕を取った。
「おいおい。送ってきた意味がないじゃないか」
ルーク様が呆れてわたしの腕を戻す。
「ちょっとだけです。お兄様、お姉様、すぐ戻ってきますから」
ルーク様がまだブツブツ言おうとするのを見て、お兄様が助け船を出してくれる。
「ジーナは一度言ったら聞かないんだ。馬車まで見送りさせてやってくれよ」
ルーク様はうちのお兄様に弱い。
お兄様から頼まれたら嫌と言えないので、今回も渋々頷いてくれた。
ルーク様にエスコートされたまま、馬車が停まっているところまで歩いていく。
「もういいだろ? 早く義兄上のところへ戻れよ」
ルーク様がわたしを戻そうとする。
「あ、うちの馬車が見えました。ルーク様、ここでちょっと待っててくださいね」
わたしは、馬車待合所で見つけた我が家の馬車に向かって走って行った。
いくつもの馬車を通り過ぎて、うちの馬車までたどり着くと、馬車の中に置いてきた物を取り出して、ルーク様の元へと急いだ。
「ルーク様、あの、これどうぞ」
わたしはルーク様に、ピンクのリボンのかかった箱を差し出した。
「なんだ?」
「開けてみてくださいよ」
ルーク様は顔いっぱいに「?」を浮かべてゆっくりと箱を開けた。
「これ……!」
箱の中には、薄いブルーのハンカチに、ルーク様のイニシャルをわたしが刺繍したものが入っている。
「とぉ~っても大変でした。大事に使ってくださいね」
ルーク様は箱からハンカチを取り出す。
ふわりと出てきたそれは、はっきり言ってとても不格好だ。
でも、ひと針ひと針、ルーク様への思いを込めて刺繍したものなのだ。
ルーク様はじっとハンカチを見て、とても嬉しそうに笑った。
「ありがとう。一生、大切にするよ」
「ルーク様、大袈裟です」
ルーク様は毎年、わたしのエスコートだけして帰ってしまうので、わたしもいつもと同じように、ルーク様の手を離し、お姉様の後を追おうとした。
「では、ルーク様。また。今度は明後日ですね。また遊びに行きます」
「あぁ。じゃあ」
ルーク様の腕を離し、お姉様の方へと歩いていく。
ルーク様と距離が開いたところで、カン高い女の子の声が響いた。
「ルーク様、わたくしとダンスを踊ってくださらない?」
わたしがルーク様の名前に反応して振り返ると、フリーク侯爵令嬢のモニカ様がルーク様へと手を伸ばしていた。
「……なんでオレが?」
不機嫌そうな顔を隠そうともせず、ルーク様が答える。
高そうな赤のベルベットのドレスを着たモニカ様は、臆せず微笑んだ。
「女性からの申し出を断るなんて、マナーに反しますわ。さ、わたくしの手を取ってくださるかしら」
ルーク様が嫌そうな顔をして、モニカ様を見ていると、フリーク侯爵夫人がやってきた。
「ルーク様、うちの娘に恥をかかせるようなことはなさらないわよね? きちんとした婚約者と、きちんとしたマナーを勉強しているのであれば
、何も言わずとも理解できることと存じますが?」
扇子で口元を隠し、ちらりとわたしを見ながらフリーク侯爵夫人はルーク様を挑発する。
まともな婚約者がいるのであれば、マナーに反することはどんなことかわかるだろうと。
ルーク様はぶっきらぼうにモニカ様の手を取り、ダンスの輪に入っていった。
わたしはそれを茫然と見送った。
え……。
嘘でしょう。
今までルーク様はパーティーには顔だけ出してお帰りになられていたから、ダンスはまだ誰とも踊ったことはない。
社交界デビューはまだ先だけど、こんな時間の早いパーティーでは子どももダンスを踊れるのだ。
でも、ルーク様はあまりパーティーに長居したがらないし、わたしもパートナーと踊るダンスはデビューしてからでいいかなと思っていた。
だから、ルーク様が初めて踊るダンスはデビューの時にわたしと踊るダンスだと思っていたのに……。
わたしの瞳に映るルーク様は、金糸の髪を靡かせて、まるで物語に出てくる王子様のようだった。
仮面で顔を隠してはいても、その他の部分がルーク様の麗しさを隠せずにいる。
モニカ様とは2歳差があるが、ふたりの背は同じくらいで、ダンスを踊るのになんの不都合もなく、モニカ様の綺麗な赤いドレスがターンをする度に綺麗に咲いて、ホールの隅だというのに、側にいた誰もが見惚れた。
2人を見ていたら、わたしの胸がチリチリと痛んだ。
曲が終わり、2人が礼をする。
ルーク様はそのままその場を離れようとしたけれど、モニカ様はルーク様の腕に自分の腕を絡ませた。
「ルーク様、もう一曲お願いしますわ」
ルーク様は手を振り払う。
「同じ者と二度続けて踊るのは、婚約者とだけだ。君はオレの婚約者じゃない」
ルーク様がモニカ様を睨み付けると、フリーク侯爵夫人が間に入る。
「ルーク様、モニカとは息もぴったりだったじゃございませんか。やはり、マナーや教養は同じ地位の者とでないと、わかり合えませんわ。モニカを婚約者にするのが良いのではなくって?」
その言葉を聞き、周りの目が一斉にわたしへと向いた。
侯爵令嬢のモニカ様と、子爵令嬢のわたしを見比べる目だ。
壁際で小さくなる以外、わたしはどうすることもできずに、ただそこに立ち尽くしていた。
こんな時に限って、周りにはお父様もお兄様も誰もいない。
泣きたい気持ちになったその時に、ルーク様が言い放った。
「オレの婚約者は、ジーナ・ミラーただ1人だ。この先、何があろうとも、未来永劫ジーナ以外の婚約者は認めない」
そして、ツカツカとわたしの元へ歩いてきて、わたしの手を取る。
「行くぞ」
そのまま、わたしはルーク様に連れられて、ホールを後にした。
ホールからそう離れていないところに、高位貴族の休憩室があった。
踊り疲れた者たちが、少し座って寛げるよう、配慮された部屋で、ゆったりとしたテーブルセットがいくつか置いてあった。
わたしはルーク様に連れられて、その一室に居る。
「ルーク様、わたし、こんなところ初めて入りました」
「オレだって初めて使ったよ」
5組ほどのテーブルセットがあるが、休憩しているのはわたしたちだけだ。
まだ、パーティー始まったばかりだもんね。
わたしは長椅子に腰掛け、ふぅと息を吐く。
反対側に座っているルーク様も、疲れているようだ。
「ルーク様、この先何があろうとも、わたしが婚約者でいいんですか?」
さっき、ルーク様が言ってたことだけど、聞いてみる。
だって、確かに子爵家の教育と侯爵家の教育では、差があるだろう。
ルーク様はニヤリと笑う。
「前に言ったろ。死が2人を分かつとも、だ」
「分かつまで、じゃないんですか?」
「死んでも変わらない。ジーナはこの先ずっと、オレの婚約者だ」
この先ずっと。
それは、嬉しい約束だ。
「えへへー。ありがとうございます。ルーク様。でも、わたし今日はちょっと悲しかったです。ルーク様のファーストダンスのお相手は、ずっと、わたしだと思ってたのに」
「仕方ないだろう。逃げられなかったんだから。ダンスくらい、いいじゃないか。この先のオレのパートナーは、ずっとジーナだ」
ま、それもそうか。
「じゃ、ルーク様のファーストダンスはもう仕方ないとして、わたしのファーストダンスの相手は、絶対にルーク様ですよ?」
「当たり前だ。それまで、誰にも誘われるなよ」
「デビュー前の子どもにダンスを申し込むなんて、よっぽどの事情がなければありえませんよ」
えへへっと、笑い合って、給仕の人に頼んだ温かい紅茶を飲んでから、二人でホールへ戻って、ルーク様はお兄様やお姉様の元にわたしを送っていった。
「義兄上、義姉上。ジーナをよろしくお願いします、じゃあな。ジーナ」
お兄様達にわたしを任せると、ルーク様は踵を返し、帰ろうとした。
「あ、ルーク様。馬車のところまで一緒に行きます」
わたしはお兄様の手を離れて、再度ルーク様の腕を取った。
「おいおい。送ってきた意味がないじゃないか」
ルーク様が呆れてわたしの腕を戻す。
「ちょっとだけです。お兄様、お姉様、すぐ戻ってきますから」
ルーク様がまだブツブツ言おうとするのを見て、お兄様が助け船を出してくれる。
「ジーナは一度言ったら聞かないんだ。馬車まで見送りさせてやってくれよ」
ルーク様はうちのお兄様に弱い。
お兄様から頼まれたら嫌と言えないので、今回も渋々頷いてくれた。
ルーク様にエスコートされたまま、馬車が停まっているところまで歩いていく。
「もういいだろ? 早く義兄上のところへ戻れよ」
ルーク様がわたしを戻そうとする。
「あ、うちの馬車が見えました。ルーク様、ここでちょっと待っててくださいね」
わたしは、馬車待合所で見つけた我が家の馬車に向かって走って行った。
いくつもの馬車を通り過ぎて、うちの馬車までたどり着くと、馬車の中に置いてきた物を取り出して、ルーク様の元へと急いだ。
「ルーク様、あの、これどうぞ」
わたしはルーク様に、ピンクのリボンのかかった箱を差し出した。
「なんだ?」
「開けてみてくださいよ」
ルーク様は顔いっぱいに「?」を浮かべてゆっくりと箱を開けた。
「これ……!」
箱の中には、薄いブルーのハンカチに、ルーク様のイニシャルをわたしが刺繍したものが入っている。
「とぉ~っても大変でした。大事に使ってくださいね」
ルーク様は箱からハンカチを取り出す。
ふわりと出てきたそれは、はっきり言ってとても不格好だ。
でも、ひと針ひと針、ルーク様への思いを込めて刺繍したものなのだ。
ルーク様はじっとハンカチを見て、とても嬉しそうに笑った。
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