2 / 14
慰問
麗らかな午後の純白
しおりを挟むエアハルトから軍の春の慰問式典にロゼを同伴させるという話が侍女達に伝わったとき、彼女達の慌てようは酷かった。
何せ、かのミュラー侯爵家の次期当主であり、屋敷の主であるエアハルトは軍の上級将官だ。
上官よりも部下のようが圧倒的に多く、公の場でスピーチし、式の重要人物の一人として人々から挨拶される立場にあるのだ。
そして春の慰問には王族も多数参加する。
エアハルトとロゼの身分は非常に高く、これが夫婦初での公の儀式への参加であり、王族への挨拶の場となるのだ。
準備することはたくさんある。
エアハルトは正装としていつもの軍服に武功や地位の証である派手なブローチや肩章、いつもは帯刀していない飾りの剣を腰に差せば良い。
しかし、奥方であるロゼの装いは色々と気を遣わなくてはならない。
何しろ普通のパーティーとは目的も趣旨も違う式典だ。
表向きは慰問として、中身は軍のちょっと格式高いお祭りに過ぎない。
そのため若い貴族の娘や士官の妻子達は春の式典に相応しい明るく可憐なドレスやワンピースを着て来る。
慰問だからと喪服のような装いは逆に場の雰囲気を乱してしまう。
しかし、いくらロゼがまだ若くとも彼女は立派なミュラー家の次期当主夫人だ。
全身黒の喪服では暗すぎるが、若い娘達のような明るすぎる服装もいけない。
ロゼはもう公爵家の娘ではなくエアハルト・ミュラーの妻として公の場に出なければならない。
上級将官、または未来の将軍となるであろうエアハルトの妻として相応しい装いと振る舞いが必要なのだ。
決して、お祭り気分でただ自分が気に入っているドレス、流行りのものを身につけて行くことはできない。
複数の目が、ロゼの姿に注目し、評価する。
そしてその評価は夫のエアハルトのものとなるのだ。
高々服装一つでも厳しく見られるのだがら、貴族というのはなんとも非合理なものだ。
身につける装飾品やさり気なく持つハンカチーフや扇子、侍女達が持つ日傘、おまけに香水まで色々気を配らなくてはならないのだから。
絶世の美少女であるロゼにはどんな色彩のドレスもそれはそれは似合うのだが、ここ最近ではエアハルトの度重なる悪戯や愛情表現によって色気が増してきている。
微かに香る程度の色気が、道行く人々が思わず振り向いて凝視してしまうほど隠しきれないものとなってしまった。
少しでも鎖骨や手首が見えてしまうだけで、くらくらしてしまう初心な侍女もいる。
男の使用人や兵士達にとってはまさに目の毒であり、眼福でもあった。
しかし季節は春なのに肌が一切見えない装いも不自然であり、堅苦しい。
公爵家にいた頃に仕立てられたドレスも、今のロゼが着るとなんだか奇妙に色っぽく見えてしまうし、今から新たにデザインしたドレスを仕立てようにもお気に入りの工房は同じ目的で注文が殺到している。
ロゼの名で頼めば優先して徹夜でもなんでも死ぬ気で注文を受けてくれるだろうが、ロゼ本人がそれを望むはずもなく。
運がいいのか、ロゼがエアハルトに嫁いでたから、エアハルトは馬鹿みたいにロゼのためにドレスを仕立て、装飾品も溢れんばかりに贈っていた。
全てを着るのも飾るのも、一体どれだけかかるのか分からないほどの贈り物の山を今侍女達は必死になって漁っている。
ロゼが止めなければ屋敷の衣装棚どころか衣裳部屋が新婚早々埋もれてしまっただろう。
それだけエアハルトは際限を知らずロゼにドレスや高価な生地を贈っていた。
その内全て整理しなければならないと思っていたロゼは、侍女達が真剣に、そして楽しそうに宝の山とも言える衣装棚に仕舞われたドレスを一着一着出して相談し合う様を下着姿のままソファーに寝そべって見ていた。
彼女達の生きがいでもあるロゼの着せ替えショーが久しぶりに行われるのだ。
うきうきしてしまうのも無理はない。
大きな鏡があちこちに立てられた部屋はロゼが風邪を引かないように暖められている。
下着姿のロゼにはちょうど良いが、しっかりと侍女服を着た侍女達はきっと暑いだろう。
それでもプロとして見苦しくないように彼女達は汗を一つも見せない。
衣装や飾りを選ぶ班とロゼが退屈し、疲れないように身の周りの世話をする班、そして護衛をするために待機している班と部屋には三つに分かれた班がいた。
初めにロゼは身体中の採寸をされ、体型に変化がないか調べられた。
少し厄介なことに胸囲が前と違い少し増えていたため、慌てて嫁いだ際に持って来たドレスを着せられた。
春のドレスとして仕立てられたそれは少し涼しい印象を与えるために鎖骨が見えるデザインで、前にロゼが来たときは可憐で無邪気な雰囲気があった。
しかし今のロゼが着ると胸元が僅かに盛り上がり、屈めば胸の谷間が少し見えてしまう。
胸の大きさはそんなに気にするほどの変化ではないが、それよりもロゼが異常なまでに色気が出てしまい、可憐なドレス姿のはずが何故か背徳的な雰囲気を醸し出すようになっていたのだ。
ロゼ本人からすれば少し胸がきつくなったかしら程度の変化だが、傍から見ればわかりやすいほど肉体が女として開花している。
慰問にはロゼの事をよく知る貴族達、何よりも公爵家が必ず参加すると分かっているため、ロゼの見た目以上の分かりやすい変化にひと騒動起きそうだと侍女達は思った。
*
慰問にはきちんとしたドレスを着て行くため、ロゼは久しぶりにコルセットを身につけた。
コルセットなどなくてもロゼの腰は十分細く、胸の成長も合わせて美しい流線を描いていた。
これがまだまだ成長途中の少女の身体だと思うと、この先一体どれだけ人を狂わす肉体美を身につけるのか、末恐ろしくなってしまうほどだ。
ロゼの身につける下着はどれもこれも特注品であり、仕立てをするたびに採寸しているのだが、また新しく注文しなくてはならないだろう。
今日のロゼはブラジャーではなく、純白のコルセットとパンティー、そしてガーターベルトとストッキングを履いている。
コルセットにも色んなデザインがあるが、今回のはフリルとレースが贅沢にあしらわれたシルクのものだ。
胸元の真ん中のリボンが可愛らしく踊り、薄っすら透けるストッキングの足首や太もも、それを繋ぐガーターベルトの部分にも小さくリボンがつけられている。
今ここにエアハルトがいれば忽ちにロゼは攫われるか、その場で問答無用で下着姿のまま可愛がられていただろう。
ドレスで隠してしまうのがもったいないほど、下着姿のロゼは普段とはまた別の美しさを醸し出し、清楚でありながら淫らな印象を与える。
純白の下着姿とそれと相反するような黒檀のような髪が胸元で揺れている。
あとでドレスを試着しやすいように髪を結うが、そのまま自然に髪の毛が踊る様も十分すぎるほど愛らしく、もう少し黒髪が扇状に広がった姿を見ていたい気もする。
ロゼにとっての一番の髪飾りはこの艶やかな黒髪ではないかと侍女達が思ってしまうほどだ。
極上の美少女が下着姿でゆったりとソファーで寛いでいる。
エアハルトに関わらず男ならば唾を飲み込んでしまうような光景だ。
補正目的のコルセット以外に、夜のための官能的なビスチェもあるが、それは母である公爵夫人がこっそり仕立てさせたものである。
エアハルトとの夜の欲求不満解消のために娘思いの公爵夫人が心配してこっそり荷物に混ぜたのだが、侍女達の判断でロゼにはまだ見せていない。
夫思いのロゼがエアハルトが喜ぶならばと極上の自分の肢体に更なる蜜を塗って獣の前に躍り出てしまったときの危険性を侍女達は承知しているからだ。
今の少し少女向けの下着姿ですら長年側で成長を見守って来た侍女達がため息をついてしまうほど美しく可憐なのだ。
ただ、可憐なだけならばまだ良いが、今のロゼはそれに加えて酷く官能的であり、女の身ですら危険な妄想に憑りつかれてしまいそうなほどの色気を無意識に出している。
何よりも危険なのが、その眩しい肢体の所々に赤く欝血した痕や歯形などが散りばめられ、堕落的な美しさが侍女達の目に焼き付いてしまうことだ。
特にロゼの事後の背徳的な肢体を何度も目にしているミュラー家の侍女達は下着姿でソファーに寛いで紅茶を飲んでいるロゼの姿は初めてであり、気を抜くと思わずぼうっと見惚れてしまう。
窓から差し込む麗らかな午後の日差しに照らされた奥方の姿は非常に絵になるのだ。
いつもならばただの天使だと思えるが、今の下着姿、見慣れない純白のコルセットとガーターベルトとストッキングを履いたロゼの姿はただの天使とは称せない妖しい魅力に満ちている。
そのままでは辛いだろうと、コルセットの紐を緩ませた今でもロゼの腰は十分すぎるほど細く、少し盛り上がっている谷間が毒である。
貴族の娘の中には自分を色白に見せるためにあえて血を抜くような真似をする者もいる。
そんな涙ぐましい彼女達の努力を嘲うかのようにロゼの肌は真珠のように輝き眩しいほど白い。
雪のような白さではなく、ほんのりミルクに何かを足したような、思わず触れたくなる肌だ。
そのためにエアハルトの異常なまでの愛情の証が目立ち、背徳感が余計に増してしまう。
幼な妻のロゼの姿に魅入られた侍女の一人の足を無言で踏みつける侍女長は相も変わらず美しすぎる奥方の給仕に務めていた。
そしてロゼがゆったりと語る言葉を親身になって聞いていた。
「旦那様の同伴で公の場に出るのは初めてね…… なんだか、不思議な気分……」
「旦那様は奥様を独り占めにしたいお方ですから。なるべく、奥様とのお時間を確保するために、あえて屋敷から出ませんでした。これを機にご自慢の奥様を多くの場にお連れすると思います」
執事長からエアハルトの真意を聞いたときは呆れたが、これはむしろ良い機会だと思った。
いずれロゼも屋敷の女主として采配を振るい、夫の居ない間にも様々な仕事や付き合いのために屋敷だけではなく外へと出向かわなければならない。
ロゼはエアハルトの恋人ではなく、未来を共に歩む妻なのだ。
いくらエアハルトがロゼ可愛さに屋敷内に囲みたいと思っても、ロゼも、そしてその周囲も許しはしないだろう。
ロゼが妾ならともかく、彼女はエアハルトの正真正銘の本妻なのだから。
特に貴族の妻として立派な教育をされたロゼはただエアハルトに一方的に保護され愛される日々に本心では窮屈に思っているはずだ。
ロゼ自身もエアハルトに多大な愛情を持ち、愛し合う行為や過剰な溺愛は嬉しい反面、申し訳ないと思っていると何度かエアハルト本人に伝える姿を侍女長は見ていた。
妻としてエアハルトの為に働きたいのだと控えめに訴える姿の健気なこと。
たぶん、エアハルトが今回の慰問にロゼを同伴すると決めた要因はそこにあるのではないかと侍女長は睨んでいる。
軍の自分の部下や同僚達にロゼを自慢したい気持ちも確かにあると思うが、少しずつ公の場にロゼを出して、ロゼに負い目を与えないよう、或いは自分自身でも少しずつロゼに対する依存染みた行為を無くそうと努力しているのではないかと思っている。
確かに、侍女長の睨みはほぼほぼ当たっている。
が、それが全てではないことを今の彼女は知らない。
*
「私、恥ずかしいけれど、軍部に行くのは初めてなの。名門ミュラー家に嫁いだ身なのに…… なんだか情けないわね」
「そんなことありませんっ!」
ロゼがどこか悩まし気に呟くのを遮るように侍女長に足を踏まれていた侍女が叫ぶようにして突然声を上げた。
その侍女の叫びに、きょとんとするロゼとぎょっとする周囲、ぎっと睨む侍女長と反応はさまざまである。
「リリー…… 奥様のお話しの最中に突然大声を上げるなんて失礼極まりない。身の程を弁えなさい!」
「すっ、すいません……」
侍女長がロゼに見えない角度でリリーに鋭い殺気交じりの視線を向ける。
先ほどの勢いは何だったのか、しおしおと項垂れるリリーにロゼは取りなすように穏やかな声をかけた。
「ああ、いいのよ。リリーは私のことを思ってくれたのよね?」
「お、奥様……」
怒るどころか、優しく微笑まれたリリーは感動して、目に涙を溜めて頬を紅潮させる。
それをくすくすと笑うロゼ。
この場で一番年下なのが信じられない包容力だ。
近頃、挙動不審な、それでいて現役の軍人時代を思い起こすような厳しい鍛錬をするリリーに侍女長も扱いを困っていた。
だが、それに反してロゼはむしろリリーを好意的に見ているのか、その言動を楽しむようにこうして笑っている。
もちろんリリーが何かとんでもないことを仕出かしたときは、公平にその身を罰するが。
「軍部は初めてだけど…… 旦那様やお義父様、貴方達が育った場所だと思うと、とても親近感が湧くの」
リリーがロゼの差し出す白い手に食い入るようにして見る。
ロゼはそのままリリーを手招きし、そして紹介のときに過去に軍人として活躍していたという侍女達を一人一人見回した。
侍女長は頭を下げながら、内心では酷く驚いていた。
ミュラー家には元軍人の者も多いが、軍出身ではない傭兵だったり元から雇われた私兵もいる。
ロゼは、しっかりと軍出身の侍女だけに目をやっていたのだ。
もしやロゼは屋敷中の使用人の名前どころか、彼ら一人一人の素性すら知って覚えているのではないか。
「旦那様とお義父様、そして私の大切な貴方達と縁の深い場所ですもの。きっと、素敵なところだわ」
ロゼの優しい微笑みに、リリーだけではなく、国に身を捧げた元軍人の侍女達ですら感動に震えていた。
無意識なのか、ロゼは人が喜び感激することをよく口にする。
極々自然に口にするその魔法のような言葉や仕草、全てを包み込むような包容力は天性のものだろう。
これほど本心から従いたいと、仕えたいと思う者もいない。
人を誑かす才に非常に長けていた。
「リリーも…… 軍に着いたら、ちゃんと大人しく私を案内してちょうだいね?」
リリーは侍女長と他数人の侍女と共に慰問でロゼに同行することが決まっていた。
軍でエアハルトの妻に襲い掛かるような命知らずがいるとは思えないが、それでも念のために複数の侍女がロゼの世話係として同行する。
リリーの近頃の不審な行動を諫めるためにあえて屋敷に置くことも考えられたが、今の彼女ならば脱走してでも付いてきそうだという危機感とロゼの取りなしがあって結局同行一団に入った。
元が将来を期待させられた軍人であり、今だ軍内部に知り合いが多いリリーはこの役に最適だったのもある。
「いい? ちゃんと、大人しく、していること。分かった?」
「はっ、はひぃ……」
いつの間にかロゼに頭をなでなでさせられ、蕩けるような表情で声にならない返事をしているリリー。
ロゼの悪戯っぽい表情を見ればいいのか、その眩しい下着姿を見ればいいのか。
どちらにしろリリーにとっては拷問であり天国である。
あの日、勇気を出してロゼにお願い事をして本当に良かったとリリーは思う。
リリーが犬のように扱われることに快感を覚える類の人種だと誤解したらしいロゼは非常に寛容な心構えで忠誠高く、暴走気味のリリーを受け入れ、こうしてたまに頭を撫でてくれるようになった。
「よしよし。本当に素直でいい子ね、リリーは」
リリーにもしも尻尾があれば千切れるほど振っていただろう。
今ですら人間を捨てて這い蹲って舌を出して犬のように喜びを表現したいのだ。
(し、幸せ…………)
周囲がそんなリリーにドン引きしていたことなど、どうでもいいぐらいに。
0
あなたにおすすめの小説
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
旦那様の愛が重い
おきょう
恋愛
マリーナの旦那様は愛情表現がはげしい。
毎朝毎晩「愛してる」と耳元でささやき、隣にいれば腰を抱き寄せてくる。
他人は大切にされていて羨ましいと言うけれど、マリーナには怖いばかり。
甘いばかりの言葉も、優しい視線も、どうにも嘘くさいと思ってしまう。
本心の分からない人の心を、一体どうやって信じればいいのだろう。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる