7人のメイド物語

モモん

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第二章 医師タウ

冒険者ギルド

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タウは呆けていた。
輸血から3日目のことだった。

「どうしたんですか主」

「いやあ、次に何をやればいいかと思ってさ」

「無理して何かをやる必要はないと思いますけど」

「でっかいお風呂とか作りたいし、医療課を独立させて多きな医局を作りたいって気持ちもあるんだよね。
薬だって足りないから、買取のシステムとかも必要だと思うしさ。どれから手をつけたらいいんだろう」

「やりたいことが沢山あるんですね」

「そうなんだよね」

「切羽詰まっているのは?」

「やっぱり薬かな」

「でしたら薬の買取システムですかね。
というか、冒険者ギルドがあるんですから、足りないものは採取依頼を出せばいいと思いますよ」

「冒険者ギルドなんてあるんだ」

「ええ、町の門を入ってすぐ右側の大きな建物がそうです」

「あっ、あの建物がそうなんだ」

「午後からでも行ってみますか」

「うん、行きたい」



「こんにちわ」

「挨拶は不要ですから、依頼を見てみましょう」

あいさつをしたことで、かえって注目を集めてしまったようだ。
ジャニスに案内され、掲示板を確認する。

「こっちの掲示板は、常設依頼です。
医療課の依頼も多いですね」

「こうやって薬を集めていたのか」

「近場で採取できるものは自分たちで採りに行ってるようですよ。
緊急のものはそっちの掲示板に張り出されます」

「へえ、扱いが違うの?」

「緊急のものはそれだけ買取費用が高くなります」

「そっか、価格も違うんだね」

「そこから考えると、処方した薬によって医療費に違いがでてもいいのかもしれませんね」

「そうすると事務が大変になって、人を増やすことでまた価格が上がるよね」

「そうですね。そのへんのさじ加減がむつかしいところですね。
せっかく来たのですから、主も冒険者登録してはいかがですか」

「えっ、そんなことできるの?」

「自分で薬を採りに行くことがあるかもしれませんし、見つけたものを買い取ってもらうこともできますよ」

「その時は医療課へ直接渡すからいいんだけど、面白そうだね」

「じゃ、カウンターで手続しましょう」

「年齢制限とかないの?」

「12才以上なら誰でもできますよ。
すみません、新規をお願いします」

「はい、こちらの用紙にご記入をお願いします」

「えっと、名前はタウ。
ワイルズってつけたほうがいいの?」

「必要ないでしょ」

「年齢は14歳。職業は医師」

「あっ、そこは冒険者としてのジョブですから、治療師のほうがいいでしょ」

「治療師に訂正して、あれっ、これだけ?」

「ええ。あとは私が後見人になりますのでサインいたします。
これでお願いいたします」

「後見人のジャニスさんの冒険者カードを見せてください」

「はい、これです」

「Aですね。でしたらタウさんはDランクからスタートになります」


次回より、冒険者タウ編がスタートします。
お楽しみに。
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