7人のメイド物語

モモん

文字の大きさ
上 下
43 / 142
第二章 医師タウ

相談役

しおりを挟む
「タウのやつ、本当にやっちまいやがった」

「ええ、これで問題が起きなければ、医療に新しい技術が生まれたことになります」

「それにしても、スタッフがよく訓練されていたな」

「医師が治療に専念できるようにサポートする。これもタウのアイデアです」

「これが成功したら、医療課に特別褒章だな」

「みんな喜びますよ」


少女は夜中に目を覚まし、空腹を訴えた。
スタッフの温めた重湯でしのいでもらい、朝を迎えた。

「成功と考えていいですか」

「うん、みんなのおかげです」

「「「やったー!」」」

総務局は、全員が朝早く出勤しており、医療課のみんなに惜しみない拍手を贈った。

「これを教訓に、全員の血のタイプを記録しておきましょう」

「そうですね。
畜生、涙が出てきた……」

このニュースは口コミで国中に広がり、その技術指導を受けたいと市中の医師から申し込みが殺到した。
それは、同時に輸血用機材一式が必要となる。

「どうしましょうか。
金銭を要求するかどうかですが」

「一式だけは無償で提供しましょう。
注射器5本と、チューブ一本。
追加は有償で」

「主は、本当に欲がないですね」

「それと、今回の経過と処置をまとめましたので、ジャライ先生のご予定を確認してください。
今回は、手土産多めで」

「承知いたしました」

ジャライ先生はすぐにでも会いたいとのことだったので、その日のうちにお邪魔した。

「これ、また、みなさんでお召し上がりください」

「おお、すまんな。
前回のをいただいてから、家内とメイドどもが機嫌よくてな」

「それはよかった。
で、こちらが、今回の経過と処置をまとめたものです。
よろしければお納めください」

「いいのか?」

「先生に背中を押していただいたおかげですから」

「ああ、今回の成功を聞いて、わしも年甲斐もなくワクワクしておったのじゃ」

「でしたら丁度いいです。
じつは先生に医療課の相談役になっていただきたいのですが、如何でしょうか。
もちろん、非常勤です」

「わしでいいのか?」

「先生でないとダメです。
正式には、局長がお邪魔してお願いするつもりです」

「ああ、こんな老いぼれになぁ。
本気なら、喜んで受けさせてもらうよ」


こうして、医療課は頼もしい味方を得たのだった。
しおりを挟む

処理中です...