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第三章 冒険者タウ
初仕事はギルマスの治療だった
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「みんな集まってくれ」
「どうしたの?」 「なんかくれるのか?」 「美味しいもの?」
「今日、主が冒険者登録をおこない、Dランク冒険者になりました」
「まあ。おめでとうございます」 「また一つ大人になったな」
「明日からは、二人ずつご主人に同行して、できればAランク、最低でもBランクに昇給してもらいたいと思います」
「目的はなんですの?」
「薬をご自分で調達することが目的です」
「でしたらわたくしが適任ですわね」
「ミーシャさんが?」
「毒と薬は紙一重ですもの、私が知っているだけでも数十種類の薬がありましてよ」
「うん、そうだね。
それともう一人は……」
「やっぱり俺っちしかないだろう」
「ああ、そうなるか……
まあ、ミーシャが同行するから大丈夫かな。
それとシノブの三人で主のフォローに回ってほしい」
「「はい」」 「おう」
「よろしくお願いします」
翌日から冒険者ギルド通いが始まった。
朝一番で冒険者ギルドの依頼を確認・受注して内容に応じて対応するのだ。
俺の場合、Dランクではあるのだが、ほかの二人がSとAランクであるため、ほとんど制約を受けないで受注できる。
「パーティー登録を頼む」
「アイラさん、久しぶりですね。
またメイドをクビになったんですか」
「滅多なことをいうんじゃないよ。
ことらがご主人様のタウ・ワイルズ卿だ」
「えっ、ワイルズ卿ってあのお医者様の……」
「そうだ。薬の素材を採取するために冒険者としても活動を始められることになった」
周りがざわつく。
それだけタウという名前は知れ渡っていたのだ。
そして、ケガの多い冒険者家業である。
何人かは治療したことがあったらしく、わざわざ礼をいいにきた。
「今回の受注はハイイログマとオーガの2件ですね」
「おう、夕方までには戻ってこられるだろう」
「普通は、一件で一日ですよ。
こんな受け方をするのはアイラさんくらいですから」
「あはは。獲物を見つけるのが上手いからな」
「あの、出かけられる前に、マスターの具合を見ていただけないでしょうか?」
「いいですよ。どこか悪いんですか?」
「先週から膝が痛いらしく、足を引きずっているんです」
「じゃ、ちょっと見ちゃいましょう」
「マスター、こちら治療課のワイルズ医師です。
足を見てくださるそうです」
「おう、すまんな、って、あのワイルズ医師かよ」
「ええ、薬の素材をご自分で確保されるために、今日から活動されるんですよ」
「タウです。
痛いのはどのあたりって、膝がパンパンですね」
「ああ。痛みがひどいときには町医者で診てもらうんだが、一時的に痛みは引くんだが腫れがとれなくてな」
「どこか横になれる場所はありますか?」
「おお、ここにも治療室があるからな」
治療室に移動して、俺は医療キットから注射器を取り出した。
クリーンで針先を消毒して、膝に溜まった関節液を抜くと嘘のように腫れが引いた。
『治癒!』
「これで平気なはずです」
「どれ、おお、痛みも引いて腫れも治ったぞ!」
「また腫れるようなことがあったら、医療課へ来てください」
「ああ、すまんな。
これは依頼扱いにして、後で報酬を払うからよ」
「治療費は銀貨2枚ですからね」
「な、なんでそんなに安いんだ」
「みなさんの健康が第一ですからね」
「どうしたの?」 「なんかくれるのか?」 「美味しいもの?」
「今日、主が冒険者登録をおこない、Dランク冒険者になりました」
「まあ。おめでとうございます」 「また一つ大人になったな」
「明日からは、二人ずつご主人に同行して、できればAランク、最低でもBランクに昇給してもらいたいと思います」
「目的はなんですの?」
「薬をご自分で調達することが目的です」
「でしたらわたくしが適任ですわね」
「ミーシャさんが?」
「毒と薬は紙一重ですもの、私が知っているだけでも数十種類の薬がありましてよ」
「うん、そうだね。
それともう一人は……」
「やっぱり俺っちしかないだろう」
「ああ、そうなるか……
まあ、ミーシャが同行するから大丈夫かな。
それとシノブの三人で主のフォローに回ってほしい」
「「はい」」 「おう」
「よろしくお願いします」
翌日から冒険者ギルド通いが始まった。
朝一番で冒険者ギルドの依頼を確認・受注して内容に応じて対応するのだ。
俺の場合、Dランクではあるのだが、ほかの二人がSとAランクであるため、ほとんど制約を受けないで受注できる。
「パーティー登録を頼む」
「アイラさん、久しぶりですね。
またメイドをクビになったんですか」
「滅多なことをいうんじゃないよ。
ことらがご主人様のタウ・ワイルズ卿だ」
「えっ、ワイルズ卿ってあのお医者様の……」
「そうだ。薬の素材を採取するために冒険者としても活動を始められることになった」
周りがざわつく。
それだけタウという名前は知れ渡っていたのだ。
そして、ケガの多い冒険者家業である。
何人かは治療したことがあったらしく、わざわざ礼をいいにきた。
「今回の受注はハイイログマとオーガの2件ですね」
「おう、夕方までには戻ってこられるだろう」
「普通は、一件で一日ですよ。
こんな受け方をするのはアイラさんくらいですから」
「あはは。獲物を見つけるのが上手いからな」
「あの、出かけられる前に、マスターの具合を見ていただけないでしょうか?」
「いいですよ。どこか悪いんですか?」
「先週から膝が痛いらしく、足を引きずっているんです」
「じゃ、ちょっと見ちゃいましょう」
「マスター、こちら治療課のワイルズ医師です。
足を見てくださるそうです」
「おう、すまんな、って、あのワイルズ医師かよ」
「ええ、薬の素材をご自分で確保されるために、今日から活動されるんですよ」
「タウです。
痛いのはどのあたりって、膝がパンパンですね」
「ああ。痛みがひどいときには町医者で診てもらうんだが、一時的に痛みは引くんだが腫れがとれなくてな」
「どこか横になれる場所はありますか?」
「おお、ここにも治療室があるからな」
治療室に移動して、俺は医療キットから注射器を取り出した。
クリーンで針先を消毒して、膝に溜まった関節液を抜くと嘘のように腫れが引いた。
『治癒!』
「これで平気なはずです」
「どれ、おお、痛みも引いて腫れも治ったぞ!」
「また腫れるようなことがあったら、医療課へ来てください」
「ああ、すまんな。
これは依頼扱いにして、後で報酬を払うからよ」
「治療費は銀貨2枚ですからね」
「な、なんでそんなに安いんだ」
「みなさんの健康が第一ですからね」
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