氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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 エリオールはジルギリスの言葉に了承すると、ジルギリスはエリオールに滞在中の場所を教えて、証拠の吹き針とディーラン王国内にのみ流通するコインをエリオールに渡し、マーウィンと共にその場を離れたので、急ぎ人を呼び、緊急の先触れを出させ、未だ気絶してる男を縛らせた上で、父親の所に向かう。

 これまでの経緯と証拠の品、吹き針とディーラン国のコインを父親に見せれば、父親の顔色は見る間に青ざめていく。

 当然だろう。

 この領域で三本の指に入る大国の使者に攻撃し、暗殺の証拠と男の身柄を、エリオール経由で渡されたのだから。

 しかも相手はただの使者では無い。この領域で数々の逸話を残している青銀色の髪の色持ちだ。

 エリオールは知らなかったが、過去、この国の先代国王が、現ディーラン国国王のアレクシスとアナスタシアとの婚姻が決まった際に、自国よりも小国の姫を嫁にするのなら、この国の優秀な姫を正妃にしないかと書簡で話を持ち掛け、断られて激怒し、花嫁が近くを通った際に、襲撃と企てたのだが、その姫がディーランに向かう前に、その国王はその襲撃を中止にしただけで無く、早々に王位を降り、次の継承者で有る現国王にこう言った。


『ディーラン国にだけは、何が有っても絶対に手を出すな。絶対だぞ。絶対にだからな』


 詳しい事は語られず、何が有ったのか語ろうとしない先代を見て、現国王は、噂の信憑性を垣間見たような恐怖に襲われた。

 何が有ったのか、国王として一応調べたが、不可解な話が多く、先代の正気を疑うような内容まで有るが、結局何が有ったのかまでは分からず、先代の言葉だけが、脳裏に深く刻まれた。

 今回ディーラン王国の者からショーン王国に滞在させて欲しいと言われ、本心では断りたかったが、断った後が恐い。

 先代のようにはなりたくないと、表面上快く受け入れたのだ。

 それなのに、よりにもよってあのディーラン王国の使者に、攻撃するだなんて。

 しかも公表すると言う事は、彼等の望む結果も出さなければならない。

 もし、彼等が望んでいる結果を出せなければどうなるか。

 考えただけで、背筋が凍る思いだ。

 しかも、エリオールを世話役にと言われているが、人質なのか、次期国王として推しているのか、それとも他に思惑が有るのかすらも分からない。

 出来る事は、言われた事をきちんと熟し、これ以上の不興を買わない事。

 そして嫌と言う程思い知らされる。

 王位争奪戦を勝ち抜き、王位に就いた事で先代のように天狗になる者も居るが、所詮、井の中の蛙。

 相手の思惑も読み切れない時点で勝ち目は無いし、優秀だなんて言える筈も無い。

 元々立場的にも相手が上だが、それを抜きにしても、到底敵う相手では無い事は確かだ。

 国王は元凶の男を睨み付けながら、エリオールには世話役を頼み、至急重役や高位貴族達を集めるように指示を出した。
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