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後日談
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ルークスはリラから持たされたお土産と共に、ミリアムを家へと送り届け、その際、出迎えた執事に声を掛ける。
「叔父上はお帰りかな?話たい事が有るんだけど」
「はい。旦那様は奥様と共にサロンにて、お嬢様のお帰りをお待ちして居られます」
最近塞ぎがちだったミリアムを気晴らしにと連れ出したルークスに、様子はどうだったか、知りたかったのだろう。
ミリアムを礼儀正しく育てた積もりだが、相手は女性嫌いの王弟公爵だ。
要らぬ疑いを持たれたくは無いので、多少の不安も有ったのだろう。
それならそんな不安を直ぐにでも解消しようと、ルークスはリラから持たされたお土産の手作り菓子を持って、ミリアムと共にサロンへ向かう。
「叔父上、叔母上、お邪魔させて頂きます」
「お父様、お母様、ただいま帰りましたわ」
侯爵夫妻はミリアムの表情を見て、ホッと胸を撫で下ろす。
「お帰りなさい、ミリー」
「お帰り、ミリー。久し振りの外出は、楽しかったようで何よりだ。ルークス君、ミリーを連れ出してくれて有難う。久し振りに娘の笑顔が見れて良かった」
「叔父上、叔母上、朗報です。私とミリー各々に、婚約話が持ち上がりました」
「……は?」
「どういう事なの?ルークス君」
「相手は今日会いに行ったアイザーク族の双子です。平民ですが、近衛騎士にも劣らない腕と、クルルフォーン公爵とローズウッド公爵、更にはエヴァンス侯爵だけで無く、セイル侯爵とも伝が有る者達で、あの知る人ぞ知る、ダン殿の愛弟子ですよ。勿論、ミリーが強いと理解した上での申し出で、件の侯爵子息とは比べ物にならない程の優良物件です」
ルークスが笑顔で宣い、ミリアムはその横で顔を赤く染めている。
答えは聞かずとも分かるようなものだが、それでもローレン侯爵はミリアムに問う。
「……ミリーはどうしたい?」
「わたくしは、あの方と婚約したいと思っています」
「そうだな……。ミリー、ルークス君。今日の詳細を詳しく聞かせてくれ。私達もミリーの相手がどんな子なのかも、知って置きたい」
ローレン侯爵の要望に答えるべく、ルークスはミリアムを連れて、ローレン邸を出た後の事や、クルルフォーン邸での出来事を順に話していく。
先ずは馬車の中で、今日会う双子達の素性……エドワルドやルークスの父のバルトから聞いた情報をミリアムに伝えた通りに話し、クルルフォーン邸に到着後、クルルフォーン公爵夫妻に挨拶をして、双子の居場所に向かった事。
双子との挨拶。双子が話す片言に近い会話もそのまま伝え、その後クルルフォーン公爵夫妻のお茶会に参加。
茶会の話題の時に、リラから持たされたお土産の事も話し、そのまま手渡し、勿論エドワルドの言葉もキチンと伝える。
その上で、ルークスは再度笑顔で宣う。
「私はミリーを令嬢らしく無いと嘲る連中も、自身が弱い事を棚に上げて逆恨みし、公衆の面前で婚約を破棄する男も、ミリーを笑い者にした息子との婚約を維持させようと必死になる親も不愉快です。なので、今後は徹底的に批難して、二度とミリーに近付けないようにしたいし、それでもまだ近寄る素振りを見せるなら、今までの名誉毀損で陛下に直訴すれば、接近禁止令を出して下さいますよ」
ルークスの言葉にローレン侯爵も黒い笑顔を浮かべて賛同したのは、ローレン邸に居た者達だけが知っている。
「叔父上はお帰りかな?話たい事が有るんだけど」
「はい。旦那様は奥様と共にサロンにて、お嬢様のお帰りをお待ちして居られます」
最近塞ぎがちだったミリアムを気晴らしにと連れ出したルークスに、様子はどうだったか、知りたかったのだろう。
ミリアムを礼儀正しく育てた積もりだが、相手は女性嫌いの王弟公爵だ。
要らぬ疑いを持たれたくは無いので、多少の不安も有ったのだろう。
それならそんな不安を直ぐにでも解消しようと、ルークスはリラから持たされたお土産の手作り菓子を持って、ミリアムと共にサロンへ向かう。
「叔父上、叔母上、お邪魔させて頂きます」
「お父様、お母様、ただいま帰りましたわ」
侯爵夫妻はミリアムの表情を見て、ホッと胸を撫で下ろす。
「お帰りなさい、ミリー」
「お帰り、ミリー。久し振りの外出は、楽しかったようで何よりだ。ルークス君、ミリーを連れ出してくれて有難う。久し振りに娘の笑顔が見れて良かった」
「叔父上、叔母上、朗報です。私とミリー各々に、婚約話が持ち上がりました」
「……は?」
「どういう事なの?ルークス君」
「相手は今日会いに行ったアイザーク族の双子です。平民ですが、近衛騎士にも劣らない腕と、クルルフォーン公爵とローズウッド公爵、更にはエヴァンス侯爵だけで無く、セイル侯爵とも伝が有る者達で、あの知る人ぞ知る、ダン殿の愛弟子ですよ。勿論、ミリーが強いと理解した上での申し出で、件の侯爵子息とは比べ物にならない程の優良物件です」
ルークスが笑顔で宣い、ミリアムはその横で顔を赤く染めている。
答えは聞かずとも分かるようなものだが、それでもローレン侯爵はミリアムに問う。
「……ミリーはどうしたい?」
「わたくしは、あの方と婚約したいと思っています」
「そうだな……。ミリー、ルークス君。今日の詳細を詳しく聞かせてくれ。私達もミリーの相手がどんな子なのかも、知って置きたい」
ローレン侯爵の要望に答えるべく、ルークスはミリアムを連れて、ローレン邸を出た後の事や、クルルフォーン邸での出来事を順に話していく。
先ずは馬車の中で、今日会う双子達の素性……エドワルドやルークスの父のバルトから聞いた情報をミリアムに伝えた通りに話し、クルルフォーン邸に到着後、クルルフォーン公爵夫妻に挨拶をして、双子の居場所に向かった事。
双子との挨拶。双子が話す片言に近い会話もそのまま伝え、その後クルルフォーン公爵夫妻のお茶会に参加。
茶会の話題の時に、リラから持たされたお土産の事も話し、そのまま手渡し、勿論エドワルドの言葉もキチンと伝える。
その上で、ルークスは再度笑顔で宣う。
「私はミリーを令嬢らしく無いと嘲る連中も、自身が弱い事を棚に上げて逆恨みし、公衆の面前で婚約を破棄する男も、ミリーを笑い者にした息子との婚約を維持させようと必死になる親も不愉快です。なので、今後は徹底的に批難して、二度とミリーに近付けないようにしたいし、それでもまだ近寄る素振りを見せるなら、今までの名誉毀損で陛下に直訴すれば、接近禁止令を出して下さいますよ」
ルークスの言葉にローレン侯爵も黒い笑顔を浮かべて賛同したのは、ローレン邸に居た者達だけが知っている。
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