氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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 皆に挨拶を済ませて来ると、アレクシスとアナスタシアは最前列に向かい、アシュリーはその場に留まりシュンとする。


「わたくし、この場に居ても良いのでしょうか?絶縁したとは言え元家族ですし、お咎めを受けるべきなのでしょうが、これ以上皆様にご迷惑をお掛けしたくは有りません……」


 サラの醜態を見ていたアシュリーは、頭を抱えたい心境なのだろう。

 今までアシュリーが見ていたサラは、猫被っていた所為か、天真爛漫と言った感じで、あそこまで酷いとは思ってもいなかったようだ。


「アーシュはあの家族の被害者だし、お咎めなんて物は一切無いから安心しなさい。もしもそんな事を言い出す輩が居れば、私が直接相手をするから、心配はいらない。陛下にも事前に事情を話していたから、相当あの三人にお怒りだったよ。何の落ち度も無い令嬢を寄ってたかってとね。そんなアーシュを責めたら、間違いなく陛下からの叱責が飛ぶよ」

「有難う御座います……。本当なら、わたくしが対処するべき事なのでしょうが、お手数をお掛けしました」


 アシュリーはジーンとエドワルドに頭を下げる。


「あれは並大抵の人では無理だよ。ああいう自己中は人の話を全く聞かずに、相手にどれ程の迷惑が掛かろうと、何もかも自分の思い通りにしようとするのだから。自領の場合はそれで通っただろうけど、ここは王都。それが通じる場所では無い。それと、アーシュは私の妻になるのだし、アーシュだけの問題では無いから、私が手を貸すのは当然の事だよ」

「あれはもう、子供と呼べる年齢では無いし、子供だろうと社交の場に出てる時点で自己責任ですよ。責任が有るとすれば、あんな娘に育てた親の責任ですし、悪いのはあの礼儀知らずな女ですから。そもそも政略とは言え、自身が望んで婿養子に入った癖に、他の女にうつつを抜かし、子供を作る事自体が間違っているし、それを婿として入った家に家族として受け入れるなんて、その家を愚弄しているような物だ。今までは正統な血筋の後継者が居た為に、国としてはそこまで口出しは出来ない状況に有りましたが、その正統な後継者を切り捨てた挙げ句、王族や高位貴族相手に暴言を吐き、それを咎めもせずにいたのですから、罪人として罰せられるのは当然ですよ」


 ジーンは笑顔で、エドワルドは事務的な無表情で応じるが、元々喜怒哀楽の感情が乏しかったエドワルドは、リラやリラ絡みで無ければ、これが通常運転だ。

 その為、リラがどれ程愛されてるかがとても解り易いのだが、それでも稀に言い寄ろうとする馬鹿も居て、エドワルドやエヴァンス家の怒りを買い、社交の場から姿を消すのが通例となりつつ有る。


「アーシュお義姉様、妹はわたくし一人で我慢して下さいませ。あのような馬鹿女の為に、アーシュお義姉様が心を痛める必要は有りません。アーシュお義姉様の家族は、亡くなられたゴート家のご家族とセイル家、そして、エヴァンス家の身内です」


 無表情を装っては居るが、大切な人達を侮辱したサラは相応の罰を受けて当然だとリラは怒り、あんな馬鹿女に、アシュリーの心を欠片でも与えてやる義理は無いとすら思ったようだった。
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