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後日談

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「エドワルド、王家主催のパーティーに騒ぎを起こした者達と言うのはそれか」


 アレクシスが凍えるような視線でサラ達を一瞥すると、サラが声を上げる。


「恐れながら申し上げます!わたしは何もしていません!!それなのに、そこに居るお二人が結託して、何の咎の無いわたしをこうして縛り上げたのです!!上位だからと許される事では有りません!」


 いけしゃあしゃあと宣うサラに、父親の顔色は悪くなるばかり。


「私はお前に聞いてはいない。誰が口を開く事に許可を出した?」


 アレクシスの声が一段と低く、その視線も冷たさを増す。


「でっ、ですが、陛下が話し掛けた、エドワルドと言う男は、とても酷い男なんです!」


 まるで、悲劇のヒロインで有るかのように、潤んだ瞳で上目遣いにアレクシスを見やるサラ。


「とても酷い男、か。言うに事欠いて、私の大切な弟を侮辱するのか」

「はい!わたしを罵り、侮辱した、とても酷い……大切な、弟?」


 サラは嬉々として訴えようとしたが、途中でアレクシスの言葉に疑問を抱き、その言葉を復唱すると、アレクシスの放つ冷気は増すばかり。


「エドワルドは私の実弟だ。そんな事も知らずによくも私を味方に引き入れると言い切れたものだな。上位だからと許される事では無いとお前は言うが、王族の名を敬称も付けずに呼び捨てるお前こそ何様のつもりだ。私はお前に、口を開けと未だに許可を出した覚えは無いが、何故お前は喋っている?今夜のパーティーは無礼講に近いが、ルールや基本的な礼儀は存在している。それを守りもしない無礼者を拘束するのは当然の事だ。知らなかったとでも言う気かも知れないが、社交のマナーや礼儀を知らぬ者が、社交界に足を踏み入れる事は許されない。地方の場合は多少大目に見られる事も多いが、王都は王族や王族の血を引く公爵が居るのだから、それが通じる訳が無かろう。最近そのような輩が増えている様だから改めて言って置く。王都の社交界に参加するならば、最低限の礼儀やマナーを弁えろ。不敬罪や反逆罪で捕まりたく無ければな」


 アレクシスは後半だけを周囲に向けて言い放つ。

 平穏な時世の所為か、頭のネジが弛んだ連中が増えてきているからだ。


「その者達を地下牢に収容して置け。処分は後日、改めて下す。それと、収容した後は湯に浸かり、異臭を落としてから持ち場に戻ると良い。祝いの日だと言うのに苦労を掛けるが頼んだぞ」


 アレクシスが近衛騎士に労いの言葉を掛けると、近衛騎士達は口を布で覆いながらも、誇らしげな笑顔で応える。


「「「いえ!勿体無き御言葉です!」」」


 そうして近衛騎士達は、喚くサラを含めた三人を、地下牢へと連行したのだった。


「こんなのおかしいっ!!何かの間違いよっ!!!陰謀よっ!わたしを恨んだアシュリーが仕組んだ嘘なのよ!!!」


 その言葉を耳にしたエヴァンス家の関係者は全員、お前と彼女を一緒にするなと頭の中で突っ込んだ。
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