469 / 805
後日談
2
しおりを挟む
マッドは充実した日々を送っていたのだが、ある日、よく通っている安い、旨い、多いが売り文句の下町の食堂に向かう際、言い争う二人組を見掛ける。
(あらぁ~ん?最近言い争いが多いわねぇ?こっちもトラブってるのかしらぁ?)
マッドは先日、どこかの仕立て屋の青年を、貴族の迷惑娘から助けたばかりだ。
なので、またまたちょっと覗き見する気になり、騒ぎの声が聴こえる方へと向かった。
「だから何度も言ってるだろうが!高がちょっとぐらい武芸を学んでいたぐらいで、お前みたいな世間知らずの女が、こんな場所で仕事なんか見付かる訳が無いって!!帰ろう、俺がお前を養ってやるよ!」
(なぁに?嫌味な男ねぇ。痴話喧嘩かしらぁ?にしても、どこから来たのかしらぁ?普通の旅人にしては服の生地が良さそうだし、仕事?を探す前に絡まれるのがオチよねぇ)
「高が幼馴染みと言うだけで、お前に養われる謂れは無い!ボクはお前に打ち明けた筈だ!!ボクは男で女じゃない!お前だって、そうなのかって言ってたじゃないか!!それなのに今更、お前はボクを女だと言うのか?!」
(……あらぁ?って事は、あたしとは真逆のタイプって事かしらぁ?)
マッドは彼女……いや、彼だろうか?に興味をそそられる。
「あれは、そうでも言わなきゃお前が納得しないからだろうが。そもそも、お前のどこを見て男だなんて言えるんだよ。親父さんが男が欲しかったって、よく言ってたけど、それの影響だろ?その親父さんも亡くなって、後継ぎも無く、子爵位を返したからって、女の身でこんな下町で、貴族のお前が暮らして行ける筈もない。悪い事は言わないから、俺に養われていろよ」
ヘラヘラとする男に、ボクと言った、男服を着る女性が冷ややかに言う。
「それで?ボクにお前の愛人にでもなれって言うのか?お前、確か婚約間近の恋人がいたよな?別にお前の女癖をどうこう言うつもりは無いが、そこにボクを巻き込むな。ボクはお前を同性の友人だと思っていたが、それも今日までだ。ボクの前に、二度と姿を見せるな」
女性の言葉にムッとしたのだろう男が、女性を責めるように言う。
「無理だって言ってるだろうが!知り合いもいないのに、こんな場所でどうやって暮らす気だ?!それこそ身ぐるみ剥がされて、娼館に売られるのがオチだぞ!」
「煩い!お前なんかの愛人になるぐらいなら、ここで生き抜く方がマシだ!」
「それはそうだろうなぁ。よし、お前。俺が仕事を世話してやるよ」
マッドは話に割り込む事にした。
(あらぁ~ん?最近言い争いが多いわねぇ?こっちもトラブってるのかしらぁ?)
マッドは先日、どこかの仕立て屋の青年を、貴族の迷惑娘から助けたばかりだ。
なので、またまたちょっと覗き見する気になり、騒ぎの声が聴こえる方へと向かった。
「だから何度も言ってるだろうが!高がちょっとぐらい武芸を学んでいたぐらいで、お前みたいな世間知らずの女が、こんな場所で仕事なんか見付かる訳が無いって!!帰ろう、俺がお前を養ってやるよ!」
(なぁに?嫌味な男ねぇ。痴話喧嘩かしらぁ?にしても、どこから来たのかしらぁ?普通の旅人にしては服の生地が良さそうだし、仕事?を探す前に絡まれるのがオチよねぇ)
「高が幼馴染みと言うだけで、お前に養われる謂れは無い!ボクはお前に打ち明けた筈だ!!ボクは男で女じゃない!お前だって、そうなのかって言ってたじゃないか!!それなのに今更、お前はボクを女だと言うのか?!」
(……あらぁ?って事は、あたしとは真逆のタイプって事かしらぁ?)
マッドは彼女……いや、彼だろうか?に興味をそそられる。
「あれは、そうでも言わなきゃお前が納得しないからだろうが。そもそも、お前のどこを見て男だなんて言えるんだよ。親父さんが男が欲しかったって、よく言ってたけど、それの影響だろ?その親父さんも亡くなって、後継ぎも無く、子爵位を返したからって、女の身でこんな下町で、貴族のお前が暮らして行ける筈もない。悪い事は言わないから、俺に養われていろよ」
ヘラヘラとする男に、ボクと言った、男服を着る女性が冷ややかに言う。
「それで?ボクにお前の愛人にでもなれって言うのか?お前、確か婚約間近の恋人がいたよな?別にお前の女癖をどうこう言うつもりは無いが、そこにボクを巻き込むな。ボクはお前を同性の友人だと思っていたが、それも今日までだ。ボクの前に、二度と姿を見せるな」
女性の言葉にムッとしたのだろう男が、女性を責めるように言う。
「無理だって言ってるだろうが!知り合いもいないのに、こんな場所でどうやって暮らす気だ?!それこそ身ぐるみ剥がされて、娼館に売られるのがオチだぞ!」
「煩い!お前なんかの愛人になるぐらいなら、ここで生き抜く方がマシだ!」
「それはそうだろうなぁ。よし、お前。俺が仕事を世話してやるよ」
マッドは話に割り込む事にした。
16
あなたにおすすめの小説
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる