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後日談

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 翌日からランドールのハードルが上がり、それを利用してのポイントを稼がれてしまうものの、初日と比べるとマシになって来ている。

 ランドールの一日は、食後直ぐ、執事関連の初歩の初歩が載っている本から読み始め、徐々に子供の本から専門書のような書物へと変化して、少しずつだが物になって来ている。

 まぁ、それでも、エヴァンス家の執事から見れば、まだまだな所は多々有るが。

 ある程度、令嬢の苦労を知った後は、その令嬢の世話をする侍女の役もして貰う。

 因みに、令嬢役はマッド達だ。

 着付けにメイク、お茶会の用意や令嬢の部屋の掃除。

 着付けは順番を覚えれば何とか出来たが、メイクはどうすれば良いのかさっぱりだ。


「で、何であたしがこの人にメイクを教えなきゃなんないんですか?」


 レベッカはランドールを指差し不機嫌だ。

 それはそうだろう。自分の仕事に誇りを持ってやっていると言うのに、無能扱いされたのだから。


「教えなくても良いよ。レベッカのスピードを見せたいってだけだから。因みにレベッカがメイクをするのはマッドさん達だから」

「マッド様達にするのは良いですけど……。終わったら、直ぐに去りますよ?あたしにも一応仕事は有りますからね」

「それで良いよ。普通仕様と茶会、お出掛け、夜会に催事用の五つを宜しく。籤引きで決まってるから、籤を見てから順番に」

「じゃあ早速始めて良いですか?あまり時間を掛けたく無いので」


 レベッカはランドールを一睨みして、化粧道具を持って、メイクをし始めた。

 レベッカは、大体一人三十分を目安に、次々と仕上げて行く。しかも普通仕様に関しては、半分の時間で済ませている。

 レベッカの道具捌きはそれは見事な物で、素人のランドールだと、何をやっているのか解らないが、仕上がった人達の顔を見れば、これまで見たメイク姿の中で、一番綺麗に仕上がっている事は分かる。

 しかも、自分が女装をさせられていた時にメイクを施されたが、時間の掛かった夜会用のメイクですら、その時の半分程の時間で済んでいるから驚きだ。

 有能な侍女と言われて当然の腕だった。


「じゃあ、あたしはこれで」


 全員にメイクを施し終えたレベッカは、さっさとその場を辞退する。

 ランドールは何も言えないまま、レベッカを見送るぐらいしか出来なかった。


「……ランちゃん、ずっと気になってたんだけど、レベッカちゃんに何したの?あの子、リラちゃん以外にはあんまり興味湧かないから、余程の事で無い限り、怒んないのよぉ?まさか、リラちゃんに対して、悪口になるような何かを言ったの?」


 シュンとするランドールに、思わず聞いてしまうマッドに、サイナスが答える。


「選りにも選って、ウチのレベッカを無能と勘違いして、仕事の邪魔すらしてたんですよ」

「あ~……それは怒るわぁ。レベッカちゃん、仕事に対する情熱は、半端じゃ無いものぉ」


 マッドはランドールに、お馬鹿な子を見るような視線を向けた。
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