氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

81

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 ジーン達は、隣の部屋の寝室へと入る。

 ジーンが先ず顔を出せば、羽交い締めにされた貴族連中がそれに気付き、喚き出す。


「ジーン殿!!話が違うじゃないか!!何々だ?!この変な男共は?!」

「ちゃんと言ったじゃないか!ジーン殿の悩みの種である妹君を、公爵夫人にさせない為にすると!!」

「「そうだ!話が違う!!」」


 その言葉に、ジーンはどす黒い笑顔を見せて、貴族連中を見下しながら嘲笑う。


「話が違うと言うが、私は協力するとは言っていない。お前達が勘違いしただけだ。来れば良いとは言ったし、その為にここまでの経路には使用人達と接触しないように指示は出したが、エヴァンス家に不利になる事を、次期当主の私がすると思う方がおかしいだろうに。そんな事も解らない脳無しに、貴族でいる資格は無い。エドワルド殿、これが貴方の花嫁に危害を加えようとした者達だ」


 そう言って、エドワルドがその場にいる事を彼等に知らせる。


「?!!」

「「えっ、エドワルド殿だって?!」」

「何故ここに?!!」


 貴族連中は、顔を青ざめさせて、ジーンの後ろから出てきた、絶対零度の猛吹雪が吹き荒れるような幻覚を感じさせるエドワルドを見て、その身を震わせる。


「何故も何も無いだろう。私の花嫁に手を出し、公爵夫人にさせない、だと?お前達は王命の意味をちゃんと理解しているのか?王命として、書面を残していないだけで、これは王命のような物。お前達は王命に背く、つまりは謀叛人と同罪だと言う事だ」


 エドワルドの言葉に、蒼白になりながらも言い訳をする四人の男達。


「そんな!嘘だ!!」

「ちちちちっ、違います!王命だなんて聞いてない!!知らなかったんです!」

「そうですよ!それに王命と言う事は仕方なくでしょう?!なら、エドワルド殿にとって名ばかりの妻で、別の女を愛人に据えれば良い!」

「エドワルド様もエヴァンス侯爵令嬢との婚姻なんて、望んで無い物でしょう?!それならあの令嬢を殺してしまえ、ば……」


 男達の言葉に、部屋の温度が一気に下がった。


「……私がリラ嬢との婚姻を望んでいない?名ばかりの妻?あの夜会を見て、まだそんな事を言える者がいるとはな」

「聞いただろう?マッド。こいつ等は屑中の屑だ。好きなだけ弄んでやれ。死んだ所で、ジーン坊っちゃんと、この公爵様が事故処理扱いしてくれるさ。元々真夜中に、他家に忍び込んだ犯罪者だ。殺されても文句は言えん」

「そうねぇ。今ので手加減する気も消え失せたわ。怨むなら、女の子を殺してしまおうと発言した彼を怨みなさいな。よりにもよって、この場でそんな発言するなんてねぇ」
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