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本編

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 皆が皆、口元は笑っているが、眼光は鋭く殺気が漂う。

 そんな中、内心煮え滾る怒りを内に秘めたまま、冷めた視線で貴族を見下ろすジーン。


「お前達は見ていなかったのか?エドワルド殿は、私の妹と、ダンスを四曲続けて踊っていたのを。言った筈だぞ?公爵は、あれを手離す気は無いと。それと、根本的な勘違いを正してやろう。私はリラを、最愛の・・・、可愛い妹だと思っている。悩みの種だ等と思った事は一度も無い。お前達は、兄妹のじゃれ合いを確執と勘違いしただけだ。私はリラを愚妹とは言ったが、嫌いだと、疎ましいと言った覚えは一度も無い。そもそも、愚妹と言った意味合いは、お前達が思う意味とは別の物だし、お前達にけなされる筋合いは無い。お前達は私の大切な宝を貶しただけで無く、汚そうとしたんだ。その報いは受けて貰う」


 ジーンはマッド達にもう少し下がるよう指示を出し、罠部屋と呼ぶ由来の仕掛けを作動させる。

 床から勢い良く鉄格子が出現し、貴族を捕らえたマッド達とジーン達の間に仕切りが出来る。

 まさに、貴族用の牢屋だ。


「言っておくが、お前達の言葉を信じる者は居ないぞ?何せお前達は、エヴァンス家に不法侵入し、リラを襲おうと企てた犯罪者だからな。不穏な噂を耳にしたエドワルド殿は、エヴァンス家に押し掛け待機した後、お前達を捕縛。私はエヴァンス家を守る者として、協力したに過ぎない。その中で何が起きようが、自業自得だ。言いたければ言えば良い。不法侵入者を捕縛した私と、捕縛されたお前達。世間はどちらの言い分を聞き、どちらを擁護するか。ああ、謀叛人でもあるから、財産や領地の取り上げは勿論、家名取り潰しは免れないな。これから一生罪人として、家族に怨まれながら、坑夫として過ごせば良い」


 彼等は漸く気付いた。自分達は決して踏み込んではいけない魔の領域に踏み込んだ事を。一番敵に回してはいけない相手を敵に回してしまった事を。

 今更気付いた所で、手遅れだと言うのにだ。


「明日の朝に犯罪者として王宮に引き渡す。我々は一応念の為、ここの隣で待機しよう。マッド、何か欲しい物が有ればいつでも知らせてくれ。ダンに届けさせる。後、その犯罪者共を引き渡した後はゆっくり別室で休んでくれ。酒も食事も好きな時に言ってくれれば用意する。それまでは、存分にその犯罪者共の相手をしてやれ。頑張れば、侍女達がドレスを作ってくれるからな」

「よっしゃあ~!!とことんヤルわよあんた達!これは他の女性を救う事にもなるんだからねっ!!!二度と女性を犯そうなんて気を起こさせないように、あたし達が徹底的に相手をするのよ!」

「「「「おおぉ~~~っっ!!!」」」」


 防音が施されたエヴァンス邸の一室に、野太い声が響き渡った。
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