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本編

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 ダンは普段、庭師として働いているが、エヴァンス家の警備や護衛をする者達を鍛える指導者でもある。

 そういった警備や護衛として雇われた者は、最初にダンと手合わせをさせられるが、庭師と聞いて侮る者や、馬鹿にされたと思う者が多い。

 そんな相手を容赦無く倒し、相手の職業に惑わされてると、死ぬぞ?と忠告し、あまりの強さに惚れ込まれると言うような人物だ。

 そして、ジーンはダンから剣の手解きを受け、リラはレベッカと共に簡単な護身術を教えて貰っている。

 ジーンとエドワルドが話していると、扉が軽くノックされて、そのまま開かれる。


「どうやら屑共が来たようだな。あれが噂のダンだ」

「噂って、その公爵様に一体何を吹き込んだんだ?まぁ良いですけどね。それよりジーン坊っちゃん、奴等が寝室まで踏み込みましたよ。今はあいつ等が拘束してますが、行くんでしょ?」


 そこには四十才前後の髭を生やした男が一人、部屋に入らず待っていた。

「行く。何人いた?」

「屋敷に忍び込んで来たのは四人。馬車には御者が一人。他に共犯がいるかも知れませんが、そりゃあ他の者達に任せりゃ良い」


 使用人達の中にエヴァンス家の者が紛れ込んでるなんて、誰も思うまい。

 ジーンとエドワルドが隣の部屋に移ろうと、ダンの横を通り過ぎた時、ダンがエドワルドにちょっとした忠告を述べる。


「結婚後なら未だしも、結婚前にあんまさかってると、マッドあいつをけしかけて、親愛のハグをさせ続けるからな?後、俺が直々に剣の鍛練してやろう。ああ、因みに、貴族に歯向かいやがってとかで、俺達を罪人にした場合、ウチのリラ嬢ちゃんが泣く事だけは頭に入れてろよ?俺達はあくまで親愛の行動しかしないからな」

「……考慮する」


 とどめとばかりにリラの名を出し釘をさすダンに、エドワルドは頷くしかない。

 それを聞いていたジーンが口を挟む。


「ダン、口調。言っておくが、私が言わせたんじゃないからな。ダンは私にとっても兄貴分であり、剣の師でもあるから、リラからすればもう一人の兄みたいな者だ。一応、リラがダンにとっての主人あるじだから、クルルフォーン邸にも行くだろうが、腕はかなり上だから、役には立つぞ」

 ジーンの剣の師と聞き、エドワルドは驚く。ジーンが以前、何かの折りに剣を振るい、それが話題になったからだ。


「出来れば庭師のままが良いんだがな。リラ嬢ちゃんの為なら、警備でも護衛でも何でもしてやるさ。試験が有るなら受けてやる。その辺は好きにしな」

「いや、ジーン殿の師なら問題無い。庭師として入ってくれ。もし、クルルフォーン邸の者が口を挟むようなら、その時は私の名を出しても構わない」
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