氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

文字の大きさ
上 下
11 / 805
SS置き場

累計ポイント100000突破記念♪ ~贈り物の行方~

しおりを挟む
 エドワルドの初めての訪問の翌日から、リラ宛てに贈り物が届く。

 それは、エドワルドとの他愛ない会話の中で何気無く言った言葉で、


「好きな花は何か?」


 と聞かれ、


「花は何でも好きですよ、ただ、大振りよりも小振りの花の方が好きです」


 と答えた時、ふと、子供の頃を思い出し、


「そう言えば子供の頃、お兄様が学院に通っていらっしゃった時に、道端で咲いていたと、時折一輪の花にカードを添えて贈って下さったのはとても嬉しかったです。花束よりも心が籠っている感じがして」


 と、口にしたからだろう。贈り物と共に、一輪の花と簡単な手紙が添えられていた。

(あんな些細な昔話を、ちゃんと覚えていて下さった……)

 その事が嬉しくて、何度も手紙を読み返し、とても大事にしていると、その次の日も、またその次の日も、エドワルドからの贈り物が、一輪の花と手紙を添えて贈られて来る。

 贈られた花は、兄が贈ってくれていた時と同じように、押し花にして大切に保管する。

(お忙しい身なのに、毎日届けて下さるなんて……)

 嬉しいけれど、毎日なんて煩わしいと思ってしまうのではないかと、少し心配になってしまうリラ。

 エドワルドからすれば、やっと出会う事の出来た愛しのリラに、好印象を植え付けるチャンスとばかりにやってる行動なので、煩わしい所か、贈り物が出来る立場を喜び楽しみながら、進んでしているので、心配はいらないのだが。

 お披露目の夜会が終わったその後も、毎日送り続けていたので、リラが遂に、


「贈り物は程々にして下さい!部屋が埋まってしまいます!」
[訳=贈り物は嬉しいけれど、毎日は申し訳ないです!それにいくら消耗品が多くても、このペースで贈られたなら、わたくしの宝物入れに入り切りませんから!]


 と、言い、エドワルドは正しい解釈は出来なかったものの、少し怒らせてしまった事は理解出来たので、


「私は婚約者として、リラ嬢に贈り物を贈れる立場を、大いに喜んでいるのですが」


 エドワルドは少し落ち込み悲しそうな雰囲気を醸し出すと、リラが慌てて言葉を紡ぐ。


「おっ、贈り物よりも、少しでも長くエドワルド様と一緒にいる時間の方が、わたくしは嬉しく思います!」


 今後も贈り物を受け取って貰う為に言った言葉に、予想外の反撃を食らい、

(駄目だ、これは……。可愛過ぎて勝てる気がしない……!!)

 早々リラに白旗を挙げて、理性と欲望の狭間で自身と闘う羽目になるエドワルド。

 結婚後、リラの宝物入れの中に、贈り物に添えた手紙だけでなく、一緒に添えた花までもが押し花としてリラに保管されていたと知るのは、そう遠くない未来の話。



*****

 ※いつも有難う御座います~!!累計ポイント100000突破記念のお礼SSでした~!皆様のお陰で現段階で既に1200000ポイント以上になっております!!わぁ~い♪わぁ~い♪
 今回、エドワルドが贈っていた一輪の花の行方と、何故花束ではなく一輪なのかを書かせて頂きました!
 私の中で、エドワルドのイメージは“ドS、鬼畜”だけだったのに、最近“ヤンデレ、色魔”が追加され気味です(笑)たま~にタグで、“変態”を追加した方が良いのか悩んでます!とは言え、いくら顔が良くても男である事に変わりはないから普通は性欲あるだろうし、リラ以外興味の無かったエドワルドは明らかにリラが初恋でしょうから大目に見ようかと(笑)
 少しでもお楽しみ頂ければ幸いです!
しおりを挟む
感想 2,440

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。 そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。 相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。 トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。 あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。 ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。 そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが… 追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。 今更ですが、閲覧の際はご注意ください。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...