氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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SS置き場

累計ポイント50000突破記念♪ ~拾われた使用人~

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 レベッカは、幼い頃に命の危機に晒された。

 と言うのもレベッカは孤児で、お金も無く食べる物も無く、空腹のあまり教会で出される配給を目当てに、周りを見ずにリラの乗る馬車の前にフラフラと歩き出てしまったのだ。

 馬車が急停車し、ギリギリで止まったのは良かったが、それが貴族のだと分かるとレベッカは恐ろしくなった。

 貴族に関わると酷い目に合うと言われているからだ。全員が全員そうとは限らないが、平民を見下し、同じ人だと思っていない貴族もいると聞く。

(どうしよう、どうしよう……)

 レベッカは顔を青ざめさせて硬直する。これから起こる最悪の事態に怯えて声も出ない。


「お嬢様、お怪我は?!」

「……大丈夫よ、何があったの?」

「はあ、子供がいきなり飛び出して来まして」

「そう……なら開けて頂戴」


 レベッカからはリラの声が聞こえない。御者が降りて、馬車の扉を開けた。

 そこから出て来たのは、レベッカより二~三歳上の、とても綺麗な子供だった。ただ、その雰囲気は異様に怖くて近寄り難い。


「貴女、死ぬ気?ボサボサのボロボロじゃないみすぼらしい。汚いし、やせて骨と皮だけね。親はどこ?家は?喋れるなら答えなさい。貴族の馬車の前に立つなんて、かれても、何を言われても文句は言えないのよ?!」
[訳=怪我が無くて良かったけれど、死にたいの?そんなの駄目よ。ボサボサのボロボロだけど、リラの服ならもう少し綺麗な物があるよ。食べ物もあるからそんなやせ細る事も無いよ。親はどこにいるの?家は?喋れるなら声を出して。貴族の馬車の前に立つなんて、止まらずに轢いちゃう人もいるんだから絶対しちゃ駄目よ?領民だろうと不当に扱う人だっているんだから!]

    鈴の音のような可愛らしい声だが、リラの物凄い言い様に、レベッカは半泣きで震えながら、必死にリラの質問に答える。


「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいっ!!親も家も無いの!死ぬつもりもなかったの!お腹が空いて、教会の配給を貰いに行こうとしてただけなの!!」

「なら逆らわず乗りさい。働き先を紹介してあげる。反論は許さないわ」
[訳=それなら乗って。リラの家で働けば良いわ。リラが面倒見てあげる。そのままじゃ死んじゃうもの。反論されてもリラが何とかするから大丈夫よ]


(逆らえば殺される?!)

 リラが怖くて震えながら何とか馬車に乗るも、内装を汚しそうで座れない。


「座って。リラを下敷きにする気?動くわよ」
[訳=座って。そのまま立ってたら危ないよ?さすがに痛いのはリラも嫌よ?動くから座ってね]


 リラに拐かされるようにエヴァンス家へと連れて来られ、子供好きな使用人達に囲まれて世話をされ、リラ専用の見習い侍女として、働かせて貰えるようになった。

 まさか、リラがコミュ障で、あれの本当の意味を知った時は驚いた。そしてあの時、リラに拾われた幸運に感謝をし、レベッカはリラに一生を捧げようと忠誠を誓ったのだ。

 そしてリラを見守り愛でる古参の使用人達に可愛がられ、色んな知識や技術を惜しみ無く注がれ学び、他の古参の使用人達の立派なサポート役として重宝がられているのだ。

 リラに拾われた者達は、リラがどんなに可愛いかを切々と語られ、こっそりリラの言葉を訳され、気付いた時にはリラ大好き使用人に仕立てられているのだが、その事をリラは知らない。



*****

 ※いつも有難う御座います!現在880000ポイント以上を頂いております♪感想も喜んで読んでます!励みになります♪♪♪
 本編で、エドワルドからの贈り物をリラに付けたレベッカとリラの出会いを書いてみました。物凄く器用な娘で、リラの為に可愛い髪の結い方等、色々勉強中です。が、夜会ではシンプルにとのお達しがある為、その腕は誰の訪問も無い、家族と使用人達しかいない時にしか発揮出来ていません。リラと一緒に勉強したり、リラの趣味に付き合ったりしてるので、一般の侍女よりスペックが高いけど、本人はあまり気付いて無いかもです。
 エヴァンス家では評価されてるので給料も多く貰ってますが、多すぎですと大慌てで抗議に行ったら、普通だし、君を下げると他の使用人も下げなきゃいけなくなる、と丸め込まれてしまいました。
 因みにリラが拾って来る者は食べる物にも困ってる無教養な人が多いです。教養ある人ならどこでも働けるけど、そうでない人はそのままだと死んじゃうから、と言った理由からみたいです。
 大雨洪水が各地で多発してますね。今朝、大雨と雷で叩き起こされました。雷が近くに落ちて家電が全滅と言う話を知人に聞いて、それ以来ブレーカーを落とすようにしてます。皆様の地方で大雨洪水等の被害が無いよう祈ってます。
 少し長めになりましたが、この小説を楽しんで頂けたら幸いです!
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