氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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SS置き場

お気に入り100人突破記念♪感謝のSS ~デビュー直前の華~

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 初めての社交界デビューの日、リラは父に連れられて、夜の王宮へとやって来た。

 沢山の馬車、沢山の人で賑わう王宮の広場を馬車内から見ているだけで、高揚感や期待に胸を弾ませるなんて事は無く、不安と緊張で帰りたいとしか思えなかった。

 救いと言えば、兄が言った言葉と、後で兄も参加するという事ぐらいだ。

「今後、信用出来ない人が寄り付かないように、リラは愛想なんて振り撒かないで良いし、いつも通り正論で武装して構わないよ。それぐらいで没落するような家でも無いし、離れていくような相手ならそれまでの関係って事だ。勿論、父上以外とは踊らなくて良いからね。王族や公爵だと断るのは難しいけれど、他は全て断ってくれて構わない。それで相手の出方や隠された本性も分かれば一石二鳥だから。後、僕達の仲が悪いように見せておけば、リラを利用しようとする奴も減るだろうから、公の場ではリラにキツく当たるかも知れないけれど、僕の本心はリラを守る事だから、公で言う僕の言葉は聞き流して良いからね?僕は何よりもリラが大好きだから、それだけは疑わないで欲しいな」


 大好きな兄にそこまで言われて疑うようなリラではない。ジーンの愛情はリラが一番よく知っているのだから。

 兄が良いと言うのなら、リラはいつも通り無表情を装って、夜会へと挑むのみ。

(今夜が無事に終わりさえすれば、わたくしのような平凡以下の小娘を、夜会やお茶会等に誘おうと思う物好きは少ない筈よ!同性のお友達は欲しいけれど、家族や使用人の皆に恵まれたのだから、贅沢は言っていられないわ。それに、お兄様に近付く為にと来られても困るもの。いつか、お兄様目当てでなく、家の利益の為でもない、こんなわたくしでもお友達になってくれると言う奇特つ心の広い女性が、一人でも現れて下されば良いのだけれど……)

 リラは馬車の中、これから寄ってくるであろう人々の言いそうな事をひたすらイメージし、心の負荷に対する免疫を上げようと、必死で最悪の状況を頭の中で思い描いていた。

(ここは戦場、隙を見せたら殺される!)

 この日、リラは強烈なインパクトを残し、後に氷結の毒華と呼ばれるようになったのは言うまでもない。



*****

 ※沢山のお気に入り、有難う御座います!今の段階で、1700人以上のお気に入り登録があり、書いてる私が吃驚で、増える度に喜んでいます!
 皆様のお陰で現在ホット7位恋愛4位にランクイン♪
 まだまだ暑い日が続きそうですが、お身体に気を付けて下さいね!
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