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アケボノ

ホットサンド

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 そしてやってきた始業式の朝。私は3ヶ月ぶりに制服に袖を通した。着慣れたはずの制服も、初めて着るみたいだ。

 付き合い始めてからというものの、久志は私に対して取る態度はそこまで変わらない。それは別に構わないのだが、もう少しドキドキするとか、恥ずかしくなるとか、ラブコメ展開が欲しいって気持ちも少しある。

「桜、もうそろそろ飯食わんと間に合わんぞ。」
「分かった。今降りる。」

私は鞄を持って、走って降りた。

 2人はもう準備を済ませていて、席に座っていた。

「ごめんごめん、待たせた。」
「さく姉、制服久しぶりすぎて着替え方忘れてたやろ?」
「そ、そんなことないけど。」
「その反応は合ってるっぽいな。」
「あ~もう!」

鞄はソファーに投げ捨てて、席に座る。いつかと同じホットサンドだ。今となっては懐かしいな。あの頃はもっと緊張していたのに、今はこれが普通になっている。

「ホットサンド作るなんてバカ兄久しぶりやね。なんかあった?」
「いや、やっぱこれかなって。」

やっぱり久志の考えやったか。

「どうした?桜。ニコニコして。」
「ん?気のせいやろ。食べよ。」
『いただきまーす!』

やっぱり朝はこんな感じじゃないと1日が始まらないや。

 杏ちゃんは学校で自習するとかで先に出ていった。それでも髪を整えたりしているとすぐに時間が過ぎていって、もう行かないといけない時間。

「久志、私たちが手繋いで学校行ったらどんな反応するかな?」
「やりたいってオーラが供給過多や。俺はどっちでもいい…好きにしろ。」
「じゃあ好きにさせてもらうね。」

玄関先で久志の手を握ると、手袋にはない暖かさがある。それでも少し寒かったので、私のポケットに手を入れた。

「おい、そこまでしていいとは言ってないぞ。」
「でも、こっちの方が暖かいやろ?」
「まぁ、せやけど。微妙に恥ずい。」

久志は顔を赤くして、背けてしまう。そんな姿も愛おしい。

「じゃあ、行くか。」
「いつものコンビニよね。」
「もちろん、そこは変えるわけないな。」

笑いながら踏み出す。私の、私たちの1歩目だ。
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