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チャプター5:ブルーブラッド・ウェア・イン・ザ・テーブル
セーヴァラル・メン、セーヴァラル・マインド
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ハウバリン公爵門閥貴族達のパレードが始まった。
旗持ちの騎士が先導しながらオープンタイプの馬車から
にこやかに笑うハウバリン公爵。
無難だが基本がやはり一番良いと言う事なのか
堂に入っている、 普通の事を普通にしているだけで映える。
公爵ともなるとやはり格が違うのだろうか。
次にバーリィ侯爵。
「「「「「おぉ!!」」」」」
見物客からの感嘆の声が響く。
バーリィ侯爵が乗って来たのは巨大なカブの馬車である。
バーリィ侯爵領の肥沃な土地で育った作物にはこの様に馬車に出来る位巨大な物も存在する。
シンデレラ※1 も驚きである。
※1:カボチャの馬車で王の武闘会に乱入し王子を打ち倒した伝説の女傑。
伝説ではガラスの靴を履いていたにも関わらず足技を多用しているのに
ガラスの靴を割らずに勝ち抜いたと言う超人的な能力を持つ。
だがその驚愕すら上回るのはセルデン侯爵の馬車、 通称聖棺。
セルデン領内での英雄と呼ばれる者達の髑髏で飾り立てられたその馬車は
宗教と言う物を軽視しているセルデン侯爵ですら敬意を払う代物である。
歩哨を務めるのはジャンとジョン、 そしてセルデン侯爵領騎士団の精鋭達である。
聖棺の異形に息をのむ観衆達。
続いて現れるのはデトネーター伯爵の馬車。
赤紫の滑らかな美しいラインのオープンタイプの馬車からにこやかに笑う。
基本に沿いながらも外してくる所は流石である。
そして一拍開けてエトナ伯爵の馬車。
「あれ? ヒューガルデン伯爵の馬車は?」
「いや、 目を良く凝らす」
目を凝らすとヒューガルデン伯爵の馬車が通っている。
鏡張りの馬車である、 風景を反射してほぼ風景と同化している。
「流石はヒューガルデン伯爵、 芸があるなぁ※2」
※2:ヒューガルデン伯爵は内部調査官をしているので情報を沢山仕入れている
仕入れた情報の中には今回の鏡張りの馬車の様な珍しい物も多々ある。
「それに比べて・・・」
エトナ伯爵の馬車は伝統的な、 悪く言えば古臭い馬車である。
古代の戦車を改造した物なので見る人が見れば『おぉ!!』と感嘆するが
オーガスタスにとっては発行部数に影響のない奴と見られる。
「次はベルモンド伯爵・・・!?」
ベルモンド伯爵の馬車と言えば緑の落ち着いた印象の雅な馬車の筈である。
和風をイメージしたその馬車は畳張りの動く茶室と形容され穏やかな印象を受ける。
しかしオーガスタスの眼に飛び込んで来たのは真っ赤な馬車である。
まさについさっきペンキを塗りたくりました、 と言う位に真っ赤な馬車である。
しかも馬車の周囲には噂の元S級決闘者フェザーと元ドラゴヴァニア五連星レイク。
こんな示威的な事はしない印象だったのだが・・・
「ほぅ、 懐かしいな」
「懐かしい? カニンガム老、 どういう事ですか?」
「ベルモンド伯爵が学生の頃に本気で怒った事があってな
その時に真っ赤な装いで大暴れした事が有るんじゃよ
つまり今回、 ベルモンド伯爵はブチギレていると言う事じゃな」
「あの方を怒らせるなんて・・・大スクープじゃねぇーか!!
おい!! ベルモンド伯爵に番記者※3 を付ける様に言っておけ!!」
※3:特定の取材対象者に密着して取材を行う記者のこと。
つまり密着取材を行うと言う事である。
癒着などの問題もあるがオーガスタスにとっては面白ければ如何でも良い。
次に現れたのはルン子爵。
が、 ルン子爵家ではパレードと言えば馬車での行進ではなく
自分の足で歩く事である、 中華系の楽器を吹き鳴らす楽団と共に
薙刀を持ちながらチャイナドレスでの演舞を拾いしながらルン子爵は前に進む。
その後に続くセイバーダー子爵。
礼服に身を包みオープン式の馬車に座っている。
「意外に普通だな、 前回は派手だったが・・・」
「派手さではスクイド男爵にはどうあがいても勝てないからな、 来たぞ」
最後に現れたスクイド男爵はもう滅茶苦茶である。
巨大なフロート車※4 は金で出来ており、 牽引するのは馬ではなく人。
フロート車の上でスクイド男爵が花火を狂った様に打ち上げ続け
更にスクイド男爵の女中が金貨をばら撒くと言う
下品なくらいに金を使い過ぎている。
※4:飾り付けをされた台車を乗り物で牽引する物。
「派手と浪費を勘違いしとるのぉ・・・」
「前回のパレードの全裸金粉女が宝石をばら撒くよりはマシでしょう」
「ちゃんと許可取っとるのかのぉ・・・」
「終わった後にパレードで使った車を献上するらしいですよ」
「あの金で出来た奴を?」
「えぇ」
「何時か破産するぞ、 アイツ」
パレードを行いながらブリュッセル王宮に向かう貴族達を見ながらカニンガムは言った。
旗持ちの騎士が先導しながらオープンタイプの馬車から
にこやかに笑うハウバリン公爵。
無難だが基本がやはり一番良いと言う事なのか
堂に入っている、 普通の事を普通にしているだけで映える。
公爵ともなるとやはり格が違うのだろうか。
次にバーリィ侯爵。
「「「「「おぉ!!」」」」」
見物客からの感嘆の声が響く。
バーリィ侯爵が乗って来たのは巨大なカブの馬車である。
バーリィ侯爵領の肥沃な土地で育った作物にはこの様に馬車に出来る位巨大な物も存在する。
シンデレラ※1 も驚きである。
※1:カボチャの馬車で王の武闘会に乱入し王子を打ち倒した伝説の女傑。
伝説ではガラスの靴を履いていたにも関わらず足技を多用しているのに
ガラスの靴を割らずに勝ち抜いたと言う超人的な能力を持つ。
だがその驚愕すら上回るのはセルデン侯爵の馬車、 通称聖棺。
セルデン領内での英雄と呼ばれる者達の髑髏で飾り立てられたその馬車は
宗教と言う物を軽視しているセルデン侯爵ですら敬意を払う代物である。
歩哨を務めるのはジャンとジョン、 そしてセルデン侯爵領騎士団の精鋭達である。
聖棺の異形に息をのむ観衆達。
続いて現れるのはデトネーター伯爵の馬車。
赤紫の滑らかな美しいラインのオープンタイプの馬車からにこやかに笑う。
基本に沿いながらも外してくる所は流石である。
そして一拍開けてエトナ伯爵の馬車。
「あれ? ヒューガルデン伯爵の馬車は?」
「いや、 目を良く凝らす」
目を凝らすとヒューガルデン伯爵の馬車が通っている。
鏡張りの馬車である、 風景を反射してほぼ風景と同化している。
「流石はヒューガルデン伯爵、 芸があるなぁ※2」
※2:ヒューガルデン伯爵は内部調査官をしているので情報を沢山仕入れている
仕入れた情報の中には今回の鏡張りの馬車の様な珍しい物も多々ある。
「それに比べて・・・」
エトナ伯爵の馬車は伝統的な、 悪く言えば古臭い馬車である。
古代の戦車を改造した物なので見る人が見れば『おぉ!!』と感嘆するが
オーガスタスにとっては発行部数に影響のない奴と見られる。
「次はベルモンド伯爵・・・!?」
ベルモンド伯爵の馬車と言えば緑の落ち着いた印象の雅な馬車の筈である。
和風をイメージしたその馬車は畳張りの動く茶室と形容され穏やかな印象を受ける。
しかしオーガスタスの眼に飛び込んで来たのは真っ赤な馬車である。
まさについさっきペンキを塗りたくりました、 と言う位に真っ赤な馬車である。
しかも馬車の周囲には噂の元S級決闘者フェザーと元ドラゴヴァニア五連星レイク。
こんな示威的な事はしない印象だったのだが・・・
「ほぅ、 懐かしいな」
「懐かしい? カニンガム老、 どういう事ですか?」
「ベルモンド伯爵が学生の頃に本気で怒った事があってな
その時に真っ赤な装いで大暴れした事が有るんじゃよ
つまり今回、 ベルモンド伯爵はブチギレていると言う事じゃな」
「あの方を怒らせるなんて・・・大スクープじゃねぇーか!!
おい!! ベルモンド伯爵に番記者※3 を付ける様に言っておけ!!」
※3:特定の取材対象者に密着して取材を行う記者のこと。
つまり密着取材を行うと言う事である。
癒着などの問題もあるがオーガスタスにとっては面白ければ如何でも良い。
次に現れたのはルン子爵。
が、 ルン子爵家ではパレードと言えば馬車での行進ではなく
自分の足で歩く事である、 中華系の楽器を吹き鳴らす楽団と共に
薙刀を持ちながらチャイナドレスでの演舞を拾いしながらルン子爵は前に進む。
その後に続くセイバーダー子爵。
礼服に身を包みオープン式の馬車に座っている。
「意外に普通だな、 前回は派手だったが・・・」
「派手さではスクイド男爵にはどうあがいても勝てないからな、 来たぞ」
最後に現れたスクイド男爵はもう滅茶苦茶である。
巨大なフロート車※4 は金で出来ており、 牽引するのは馬ではなく人。
フロート車の上でスクイド男爵が花火を狂った様に打ち上げ続け
更にスクイド男爵の女中が金貨をばら撒くと言う
下品なくらいに金を使い過ぎている。
※4:飾り付けをされた台車を乗り物で牽引する物。
「派手と浪費を勘違いしとるのぉ・・・」
「前回のパレードの全裸金粉女が宝石をばら撒くよりはマシでしょう」
「ちゃんと許可取っとるのかのぉ・・・」
「終わった後にパレードで使った車を献上するらしいですよ」
「あの金で出来た奴を?」
「えぇ」
「何時か破産するぞ、 アイツ」
パレードを行いながらブリュッセル王宮に向かう貴族達を見ながらカニンガムは言った。
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