更新休止【異世界ファンタジー追放ざまぁハーレム主人公チート】デュエリスト・イン・ザ・ブロークンワールド【注釈付き】

チャプター5:ブルーブラッド・ウェア・イン・ザ・テーブル

パレード・オブ・ハウバリン

再誕歴7701年マーチ9日。

ベネルクス王国首都国王直轄領ブリュッセル。
ハウバリン公爵とハウバリン公爵門閥に属する10人の貴族達が参勤交代でやって来る日である。
ブリュッセルは参勤交代の時、　色めき立つ。
門閥貴族は大体が金持ちであり、　パーティーを開く者も居るだろう。
ブリュッセルの経済が活性化する、　そしてもう一つ住民達が楽しみにしている事がある。

「もう直ぐハウバリン公爵と門閥貴族の方々がお越しになる!!
くれぐれも失礼が無い様に見物する事!!」

大通りに集まった市民達に釘を刺す騎士。
市民達はやって来るハウバリン公爵一行を見物する為に集まって来たのだ。
参勤交代でやってくる貴族達は飾り立てて力を誇示するのだ。

「押すな押すな!!」
「並べ並べ!!」
「荷物置いて場所取りすんな馬鹿!!」

参勤交代見物はブリュッセルの風物詩となり様々なルールが自然に出来
仕切り屋と呼ばれる連中が仕切る事で揉め事も無くなっていった。
勿論、　騎士が見張っている為、　滅多に過激な事にはならないが
『参勤交代で見るべき物は貴族達のパレードと見物人の喧嘩』とまで言われている。
だがしかしそれも商業区画のみの話である。

ここで読者諸賢にブリュッセルの地理について説明しよう。
前提として本作では月が無い為、　地球は物凄い勢いで自転しており
常に暴風が吹き荒れている。
その為、　街には暴風の為の防風林等が存在するが
首都にもなると暴風の為に3つの超高層の壁が建造されている。
ブリュッセル王宮を中心とした政府中枢の建物が並ぶ王宮エリアを守護する【ウォール・ベルギー】
貴族達のブリュッセルハウス等の高級住宅街や住民達の為の高級店が並ぶ貴族区画と
新聞社や銀行、　騎士団詰め所やベネルクス王立学園等の公共区画がある
内側インナーエリアを守護する【ウォール・ネーデル】。
平民達の居住区画、　商業区画、　産業区画、　工場区画等が並ぶ外側アウターエリアを守護する
【ウォール・ルクセンブルク】の3つの壁によって守られている。
また【ウォール・ルクセンブルク】の外で拡張作業を行っている開拓区画があるが
そこは置いておこう。
兎にも角にも大通りがある外側アウターの商業区画ではこのようにごった返しているが
内側インナーではそんな事は無い、　ちゃんと規律を持って行動している。

「前々からてめぇんとこの新聞社は気に食わなかったんだよ!!」
「上等だよ!!　てめぇをぶっ殺しててめぇんとこの発行部数を落してやらぁ!!」

唐突に始まったが、　これは喧嘩では無い
内側インナーエリア内の新聞社の場所取りによる決闘である。
新聞社にとってこのパレードの記事は大スクープでありちゃんとした場所にて
描写が出来ていれば新聞の発行部数は大幅に上昇する。
更に決闘で相手側に怪我を負わせれば商売敵に打撃を与えられる。
正に一石二鳥である。
立会人もやって来て決闘が始まった。

「決闘が始まったか・・・お前等!!　この場所は死守しろ!!」
「「「「「はい!!!!!」」」」」

一番良い場所に待機している彼等は大手ゴシップ紙※1　ベネルクスゴシップ社の社長のオーガスタス
そして手下の新聞記者共、　彼等にとってパレードの記事は生命線と言って良い。
パレードの記事が無ければ彼等の会社は倒産するだろう。
挿絵等を正確に描写する為に彼等はパレードが始まる前から
ずっと居座ると言うパワープレイで場所取りを行っている。

※1:『しんぶんのようなもの』と形容される物。
情報の正確性は皆無だが内容で勝負している。

「ほっほ、　相変わらずじゃのうオーガスタス君」
「おあぁ!!　カニンガム老!!　どうも!!」

優しそうな老人がやって来る、　彼はカニンガム。
ライゲートと言う地方の大地主でブリュッセルで隠居生活を送っている。
ベネルクスゴシップ社の筆頭株主で株主優待でパレードを良い位置で見る事が出来るのだ。

「相変わらずパレード、　お好きですねぇ」
「ワシの若い頃からの楽しみの一つだよ、　今回のパレードはどんな風になっている?」
「こちら、　入手したパレードの内容です」
「どれどれ・・・」

前もって調べていたパレードの内容が書かれた紙を手渡すオーガスタス。

「最初はハウバリン公爵で爵位順にならぶか、　面白味に欠ける采配だが妥当か
次にセルデン侯爵とバーリィ侯爵、　セルデン侯爵は我が強いから心配だが・・・」
「彼の方の聖棺アークは見ごたえが有りますよね」
「それには同意する、　次はデトネーター伯爵にヒューガルデン伯爵、　エトナ伯爵
ん?　伯爵ではベルモンド伯爵が最後?
貴族らしいデトネーター伯爵が先頭になるのは分かるとしてベルモンド伯爵が最後?
ワシの記憶ではこんな事は初めての筈では?」
「何かインパクトのある恰好何でしょうか?」
「茶道マスターがそんな事するとは思えないが・・・
ルン子爵、　セイバーダー子爵、　スクイド男爵か、　スクイド男爵は派手過ぎるんだよなぁ・・・
うん?　ハートレス男爵は如何した?　資料に名前が無いが・・・」
「パレードに金を使いたく無いから今回は出ないそうです」
「・・・・・あのハートレス家も終わりだな、　見得も張れないとは・・・
鬣の無いライオンは死ぬ※2　と言う言葉を知らないのか」


※2:ライオンの鬣は強さの証明と言う意味合いがある学説が有り。
転じて見得も張れない貴族はどうしようもないという意味合いになる。
見得も張れない貧しい貴族は舐められてしまうのだ。

「どうなるんですかね」
「門閥貴族達も許可したのか?」
「恐らくは・・・」
「門閥貴族から追い出されるのかな・・・お、　パレードが来たぞ」