幼馴染みの彼と彼

綾月百花   

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 篤志が帰ってこない。

 買い物をしているのだろうか?

 時刻は午後8時半過ぎた。

 俺は菜都美の着替えとバスタオルを出して、オムツも広げて置いた。

 赤ちゃんの沐浴は、あまり遅い時間だと良くないと冊子に書いてあった。

 脱衣所にそれらを広げ、ベビーラックも持ち込んだ。

 ベビーバスのお湯の温度を38度に設定して、お風呂の準備をした。

 一緒に俺も入ろうと、俺も裸になり、機嫌のいい菜都美をベビーラックに寝かせて、急いでシャワーを浴びる。

 俺の姿が見えなくなると、機嫌が悪くなる事はもう分かったので、可哀想だが泣かせておいて、ただひたすら、急いでシャワーを浴びる。

 身体を拭いて、下着を身につけると、菜都美をお風呂に入れる。

 裸にしてタオルを掛けておいたが、身体が冷えている。

 4月だが、まだ肌寒い季節だから、洋服は脱がせずに待たせておいた方がいいのか?

 寒くなる前の昼間に風呂に入れた方がいいのかもしれない。

 温かな湯に入るときにガーゼを持たせておいたら、泣かなかった。

 丁寧に顔を洗って、涙顔も綺麗にする。

 頭も丁寧に洗う。

 菜都美は髪が生えているので、可愛い。

 冷えていた身体が温かくなる。

 全身綺麗に洗い、広げて置いたバスタオルの上に寝かすと、急いで身体を拭いていく。

 おしめをして、バスタオルの上に広げて置いた洋服の上に移動して、服を着せる。

 その場に座って、頭を拭いて、髪を梳かす。

 菜都美はお風呂が好きな子らしい。

 お風呂の時はあまり泣かない。

 お湯につけておいたミルクを飲ませる。

 菜都美は満足した顔をしている。

 ミルクを飲み終える頃には、眠っていた。

 そっと背中をさすって、ゲップを出させると、口の端に出てきたミルクを温かいハンカチで拭って、ベビーラックに寝かせる。

 眠ってくれたので、今のうちに、ベビーバスを洗い、洗濯物は洗濯機に入れる。

 自分もTシャツを着て、下着の上に寝間着代わりのハーフパンツを履く。

 ベビーラックをリビングに運んでから、哺乳瓶と鍋を片付ける。

 哺乳瓶が冷えないように、熱めのお湯を鍋に入れて置いて正解だった。

 鍋の中の湯も冷えるが、哺乳瓶のミルクまで完全に冷えることはない。

 明日から昼間に風呂に入れよう。

 篤志は一緒に入れようと言っていたが、仕事が忙しいのだろう。

 菜都美が寝たので、愛用のノートパソコンを広げて、この辺りでネットスーパーをやっているところを探す。

 材料さえあれば、俺が飢えることはない。

 近くにスーパーがあった。

 住所を申し込んで、俺の名義で登録する。

 このマンションには米すらない。

 米と野菜、レトルト食品も頼んでおく。

 菜都美のミルクとおしめも頼んだ。

 ミネラルウォーターも必要だ。

 明日の午前中に届けてくれるらしい。

 なんと便利な機能だろう。

 俺は引っ越し業者が運んでくれたベッドを組み立てようか悩んで、床に布団だけ敷いた。

 掛け布団もある。

 菜都美がどうしても泣き止まなかったら、一緒に寝ても安全なようにした。

 パソコンを出して、カーテンを買った。

 レースのカーテンとセットで売っていたので、それにした。レビューも悪くない。子供向きのウサギの絵が描かれたピンクのカーテンだ。

 菜都美が喜んでくれるといいな。

 ソファーで眠ると、身体が痛くなる。

 ゆっくり眠れないのも苦痛だ。

 ついでに菜都美の洋服も買っておく。

 サイズが少し大きめな物を買った。

 女の子は可愛い服がたくさんある。

 兄ちゃん、楽しみを奪ってごめんな。
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