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青年期 177
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…翌日。
朝食後に戦場へと向かうも昨日とは状況が打って変わり、ソバルツの敵兵達が軍を展開せずに本陣の所で守りを固めている。
「ありゃ、珍しい…」
「やはり馬を奪われたのが効いたか…」
「もしかしたら部隊の配置換えとかしてたりして?」
「どうするんだ?そのまま攻めるのか?」
分身の俺が意外に思いながら呟くと隊長達が敵の意図を予想して指示を仰いできた。
「うーん…戻ろうか。他の所も様子見してるみたいだし」
「そうだな、もしかしたら敵の策かもしれん」
「このまま撤退してってくれたら良いのになぁ~…」
「全くだ」
分身の俺は他の兵達も砦の近くから離れていない様子を見て帰還の指示を出し、結局何もする事なく宿営地へと戻る事に。
ーーーーー
「…団長。ちょっといいか?」
…昼過ぎに団員達と木刀で手合わせをしていると別の団員が声をかけて来る。
「…ん?なんかあった?」
「なんか侯爵が団長を呼んでるらしい」
「侯爵が?」
「騎士には団長のテントの前で待つよう伝えたが…」
「分かった、ありがと。じゃ、ちょっと行ってくるわ」
分身の俺の問いに団員がおそらく伝言であろう用件を告げるので確認すると、団員は呼びに来た騎士を待たせてるらしく…
分身の俺はお礼を言って近くの団員に木刀を渡して騎士の所へと向かった。
「お。いやー、すみません。時間があったので団員達と訓練してまして…」
「いや、こちらが事前に連絡もせずに来たのだ。むしろ早急に対応してくれて助かった。感謝する」
「あ、いえ…じゃあ行きましょうか」
「ああ。こっちだ」
分身の俺が謝りながら言い訳をするも声からして女性であろう女騎士は謝罪を拒否するように逆にお礼を言い、分身の俺の促すような言葉に案内するように歩き出す。
「…連れてまいりました」
「入れ」
…今回は家の中で案内役が変わる事はなく、そのまま女騎士がおっさんの居る執務室の前まで来てドアをノックする。
「失礼します」
「では私はこれで失礼します」
「うむ、ご苦労だったな」
分身の俺が部屋の中に入ると女騎士はポーズを取りながら報告し、おっさんが労いの言葉をかけると頭を下げて歩いて行った。
「さて…ゼルハイト卿、また敵軍から軍馬を奪ってこちらに譲ってくれたそうじゃないか。心より感謝申し上げる」
「…いえ」
「…敵から3000頭もの大量の軍馬を奪ったのは変化魔法によるものだな?」
おっさんは珍しくペンを置くと感謝の言葉を言い出し、分身の俺が反応に困りながら返すと…
ほぼ断定してるであろうにも関わらず真偽を確認するかのように尋ねてくる。
「はい」
「…頼みがある。その技術を伝授してくれないか?」
「伝授…ですか?」
「そうだ。もし貴殿と同じ事が出来る兵が一人でも居ればこれからの戦いが楽になる」
分身の俺の肯定におっさんが真剣な顔で頼み事をしてくるので意外に思いながら聞くとその理由を話してきた。
「…それは…自分は構わないですが、変化魔法を学んで習得しようと思う人が居るんですか?」
「…今から希望者を募る」
「…ではもし集まりましたらご連絡下さい」
分身の俺が微妙な顔で確認するとおっさんは難しい顔をしながら返答し、こりゃ自主的には集まらないだろうな…と思いながら返す。
「…分かった。こちらから連絡しよう…多少時間はかかるかもしれんが…」
「では失礼します」
「いや、待て」
おっさんが難しそうな顔をしたままため息を吐きながら言うので、用は済んだだろう…と退室しようとしたら引き止められる。
「変化魔法の技術を伝授するあたって優先すべき特性…どのような能力が必要になる?」
「もしや選別を?」
「余裕があれば行う予定だ」
おっさんの問いかけに分身の俺が軽く驚いて意外に思いながら逆に聞き返すと肯定するように言う。
「そうですね…まずは精神的に強い人が望ましいです。侯爵も知っての通り変化魔法は下手をすれば魔物になる『魔物化』のリスクがある魔法なので」
「精神が強い…か」
「あと魔力の精密操作技術に長けている人も望ましいです。魔物への変身と変身解除が素早く行えると魔力の消費が抑えられますので戦場に長くいられます」
「ほう、確かに継戦も重要だ」
分身の俺の要望におっさんは肯定的な相槌を打ちながら紙にメモを取るような感じで書いていく。
「『技術』だけであれば優先事項はこれぐらいかと」
「なるほど…その者達が貴殿に師事しても同じ事が出来るようになるには10年ほどかかるのか?」
分身の俺がセイレーンの技を使えるようになるだけならこんなもんか…と、思いながら言うとおっさんは前回の話を引き合いに出して確認して来た。
「…そうですね。馬を奪う技術を使えるようになるだけ…であれば3年あれば十分ですが」
「…どういう事だ?貴殿はかなり高度な技術を使用していると?」
「えーと…その…今更大変言いづらいのですが…」
「なんだ?気にせず言ってくれ」
分身の俺の肯定しながらの説明におっさんが不思議そうに確認するので、分身の俺はしまった!と思いながら誤魔化すように言うと先を催促してくる。
「自分が使ってるあの技は敵味方関係なく影響を及ぼすものでして…」
「…なんだと…?」
「効果を最大限に発揮させるには『敵陣に一人で突っ込んで行って使わないといけない』という条件が…」
「…なっ…!?」
「つまり、技を習得してもソレを戦場で使えるようになる…というのに7年以上かかるという事でありまして…」
分身の俺が誤魔化すように技の詳細を話し、驚くおっさんに時間がかかる理由を適当にそれっぽく伝えた。
「…な、なるほど…それで技の習得に3年、ソレをゼルハイト卿と同様に戦場で使えるようになるまでが7年で、合わせて約10年ほどかかるというわけか…」
「はい」
「…つまり、ゼルハイト卿は前回も今回も単騎で敵陣に突っ込んだ…と?」
「はい」
おっさんは納得したかのように情報を整理しながら呟いた後に驚愕した様子で確認し、分身の俺が肯定すると驚きのあまり絶句したような反応になる。
朝食後に戦場へと向かうも昨日とは状況が打って変わり、ソバルツの敵兵達が軍を展開せずに本陣の所で守りを固めている。
「ありゃ、珍しい…」
「やはり馬を奪われたのが効いたか…」
「もしかしたら部隊の配置換えとかしてたりして?」
「どうするんだ?そのまま攻めるのか?」
分身の俺が意外に思いながら呟くと隊長達が敵の意図を予想して指示を仰いできた。
「うーん…戻ろうか。他の所も様子見してるみたいだし」
「そうだな、もしかしたら敵の策かもしれん」
「このまま撤退してってくれたら良いのになぁ~…」
「全くだ」
分身の俺は他の兵達も砦の近くから離れていない様子を見て帰還の指示を出し、結局何もする事なく宿営地へと戻る事に。
ーーーーー
「…団長。ちょっといいか?」
…昼過ぎに団員達と木刀で手合わせをしていると別の団員が声をかけて来る。
「…ん?なんかあった?」
「なんか侯爵が団長を呼んでるらしい」
「侯爵が?」
「騎士には団長のテントの前で待つよう伝えたが…」
「分かった、ありがと。じゃ、ちょっと行ってくるわ」
分身の俺の問いに団員がおそらく伝言であろう用件を告げるので確認すると、団員は呼びに来た騎士を待たせてるらしく…
分身の俺はお礼を言って近くの団員に木刀を渡して騎士の所へと向かった。
「お。いやー、すみません。時間があったので団員達と訓練してまして…」
「いや、こちらが事前に連絡もせずに来たのだ。むしろ早急に対応してくれて助かった。感謝する」
「あ、いえ…じゃあ行きましょうか」
「ああ。こっちだ」
分身の俺が謝りながら言い訳をするも声からして女性であろう女騎士は謝罪を拒否するように逆にお礼を言い、分身の俺の促すような言葉に案内するように歩き出す。
「…連れてまいりました」
「入れ」
…今回は家の中で案内役が変わる事はなく、そのまま女騎士がおっさんの居る執務室の前まで来てドアをノックする。
「失礼します」
「では私はこれで失礼します」
「うむ、ご苦労だったな」
分身の俺が部屋の中に入ると女騎士はポーズを取りながら報告し、おっさんが労いの言葉をかけると頭を下げて歩いて行った。
「さて…ゼルハイト卿、また敵軍から軍馬を奪ってこちらに譲ってくれたそうじゃないか。心より感謝申し上げる」
「…いえ」
「…敵から3000頭もの大量の軍馬を奪ったのは変化魔法によるものだな?」
おっさんは珍しくペンを置くと感謝の言葉を言い出し、分身の俺が反応に困りながら返すと…
ほぼ断定してるであろうにも関わらず真偽を確認するかのように尋ねてくる。
「はい」
「…頼みがある。その技術を伝授してくれないか?」
「伝授…ですか?」
「そうだ。もし貴殿と同じ事が出来る兵が一人でも居ればこれからの戦いが楽になる」
分身の俺の肯定におっさんが真剣な顔で頼み事をしてくるので意外に思いながら聞くとその理由を話してきた。
「…それは…自分は構わないですが、変化魔法を学んで習得しようと思う人が居るんですか?」
「…今から希望者を募る」
「…ではもし集まりましたらご連絡下さい」
分身の俺が微妙な顔で確認するとおっさんは難しい顔をしながら返答し、こりゃ自主的には集まらないだろうな…と思いながら返す。
「…分かった。こちらから連絡しよう…多少時間はかかるかもしれんが…」
「では失礼します」
「いや、待て」
おっさんが難しそうな顔をしたままため息を吐きながら言うので、用は済んだだろう…と退室しようとしたら引き止められる。
「変化魔法の技術を伝授するあたって優先すべき特性…どのような能力が必要になる?」
「もしや選別を?」
「余裕があれば行う予定だ」
おっさんの問いかけに分身の俺が軽く驚いて意外に思いながら逆に聞き返すと肯定するように言う。
「そうですね…まずは精神的に強い人が望ましいです。侯爵も知っての通り変化魔法は下手をすれば魔物になる『魔物化』のリスクがある魔法なので」
「精神が強い…か」
「あと魔力の精密操作技術に長けている人も望ましいです。魔物への変身と変身解除が素早く行えると魔力の消費が抑えられますので戦場に長くいられます」
「ほう、確かに継戦も重要だ」
分身の俺の要望におっさんは肯定的な相槌を打ちながら紙にメモを取るような感じで書いていく。
「『技術』だけであれば優先事項はこれぐらいかと」
「なるほど…その者達が貴殿に師事しても同じ事が出来るようになるには10年ほどかかるのか?」
分身の俺がセイレーンの技を使えるようになるだけならこんなもんか…と、思いながら言うとおっさんは前回の話を引き合いに出して確認して来た。
「…そうですね。馬を奪う技術を使えるようになるだけ…であれば3年あれば十分ですが」
「…どういう事だ?貴殿はかなり高度な技術を使用していると?」
「えーと…その…今更大変言いづらいのですが…」
「なんだ?気にせず言ってくれ」
分身の俺の肯定しながらの説明におっさんが不思議そうに確認するので、分身の俺はしまった!と思いながら誤魔化すように言うと先を催促してくる。
「自分が使ってるあの技は敵味方関係なく影響を及ぼすものでして…」
「…なんだと…?」
「効果を最大限に発揮させるには『敵陣に一人で突っ込んで行って使わないといけない』という条件が…」
「…なっ…!?」
「つまり、技を習得してもソレを戦場で使えるようになる…というのに7年以上かかるという事でありまして…」
分身の俺が誤魔化すように技の詳細を話し、驚くおっさんに時間がかかる理由を適当にそれっぽく伝えた。
「…な、なるほど…それで技の習得に3年、ソレをゼルハイト卿と同様に戦場で使えるようになるまでが7年で、合わせて約10年ほどかかるというわけか…」
「はい」
「…つまり、ゼルハイト卿は前回も今回も単騎で敵陣に突っ込んだ…と?」
「はい」
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