242 / 480
青年期 178
しおりを挟む
…それから少し考え、おっさんは技の伝授を諦める判断を下し…計画を破棄するような事を言ったので分身の俺は宿営地に戻った。
「お。戻ってきた」
「何の用だったんだ?」
「もしかして軍議?」
訓練中のみんなの所へと戻ると近くに居た団員達が疑問を聞くように話しかけてくる。
「いや、馬ありがとうだって」
「ほお、流石は団長。侯爵直々に感謝の言葉を告げられるとは」
「あと変化魔法を兵達に教えて欲しいって頼まれたんだけど…計画を立ててる最中に俺の話を聞いてアッチが諦めたから結局パァになった」
「ははは!そりゃそうだろ!」
「普通は変化魔法なんてもんを習得しようとなんて思わねぇからな!」
「団長ぐらいじゃないと直ぐに魔物化するのがオチだから危険すぎる!」
分身の俺が呼び出しの内容を話すと団員が驚きながら意外そうに返し、分身の俺のボケるような続きにみんなが笑っておっさんの判断に同意した。
…その翌日。
出撃の予定を午後にして午前中は休養にあてていると…
昼前になって『敵軍が退却した』との報告が。
…多分馬を奪われてやる気が無くなったんだろうな…と予想。
とりあえず分身の俺は隊長達に宿営地を撤去してから拠点へと帰還するよう指示を出しておっさんの所へと報告に行く。
「…どうやら敵は退却したらしいな」
「はい。そう聞いています」
「ふっ…前回は約50日近く戦いが続いたが、猟兵隊が援軍として加わればたったの二日で敵が逃げ帰るか…」
分身の俺が部屋の中に入るとおっさんが確認するように言い、肯定して返すとおっさんは笑って呟いた。
「しかも前回と違い今回はソバルツも本腰を入れ、約三万もの戦力を投入してきた」
「はあ…」
「素晴らしい戦果だ、ゼルハイト卿」
「…ありがとうございます」
おっさんの比較するような発言に分身の俺が反応に困りながら相槌を打つと急に褒めてくるので一応お礼を言う。
「どうやら貴殿を呼ぶと戦いが早く終わるようだ。最初の傭兵として参加した防衛戦の時も一週間ほどしかかかっていなかった」
「…敵の司令官が優れた人物だからではないですか?引き際を見誤らず、戦力をほとんど減らす事なく時間を空けて何度も攻め続ける計画を立てているように思えますが…」
「うむ。厄介な事に敵も優れた人物が指揮を執っているのだろうな…」
嬉しそうに喜びながら言うおっさんに分身の俺が敵の大将を評価するように予想を話したらおっさんは賛同して真剣な顔で呟く。
「つまりはゼルハイト卿、次もよろしく頼むぞ」
「分かりました。期待に応えられるよう頑張ります」
おっさんのニヤリと笑いながらの期待するような発言に分身の俺が了承して答えると…
「ははは!ウィロー伯爵も馬鹿な事をしたものだ。味方に引き込めば国境の防衛は安泰だったものを…その点ヴォードル辺境伯は上手くやったものよ、流石というべきか」
おっさんは気分を良くしたように笑って政治的な発言をする。
…そして猟兵隊が拠点へと帰還しての二週間後。
どうやらガウの領民達が現領主であるウィロー伯爵に反発し、俺の時と同じく各地でデモ運動だかシュプレヒコールだかの武力を用いない反乱を起こし始めたらしい。
するとやはり『ウィロー伯爵が国に対して反乱や内乱を起こそうとしている』だの『ウィロー伯爵は反逆を目論んでいる』だの噂が出回りだす。
「…ガウ領は大変な騒ぎになってるみたいだ」
「坊ちゃんにやった事が自分に返ってきただけでしょう?」
「どうやって対処するか見ものだね」
「全くです」
俺が報告書を見ながら言うとお姉さんは冷たく突き放すような感じで言い、俺の楽しみながらの返答に賛同する。
「団長。ヴォードル辺境伯が来てるぞ」
「あ、じゃあ通して」
「分かった」
昼前になると団員がいつもの辺境伯が来訪してきた事を伝えてくるので俺は指示を出して机の上の書類を片付けた。
「やあゼルハイト卿。ガウ領の件、面白い事になっているようだな」
「お久しぶりです。みたいですね」
5分もしない内に青年が部屋に入って来て挨拶もそこそこに世間話から始め、俺は挨拶をしてから相槌を打つ。
「どうやらあちらの派閥の方もグラグラと揺れてるようだ。離脱や他の派閥に鞍替えしようと考えている者もいると聞く」
「大変ですねぇ」
「ははは、順調に毒が回っているようで我々からすればありがたい事だ。しかし国防の事を考えると喜んでばかりもいられないがな」
青年の政治的な話に俺が人事のように返すと笑いながら喜ぶも、直ぐに切り替えて懸念する事を告げる。
「ライツはここ数年大人しくしていますが、北の国境付近での緊張状態は続いていますし…隙を見せると狙われるかもしれません」
「うむ。ウィロー伯爵が失脚すればその隙を突いてくる可能性は高いな」
「…あ。そろそろ昼食の時間ですね…食べて行きますか?」
「もちろんだ。そのつもりで来たのだからな」
俺が予想を話すと青年も賛同しながら返し、時計を見るとそろそろ飯の時間なので確認すると青年は笑って冗談を言うように肯定した。
「リクエストなどはありますか?」
「…そうだな、君は何が食べたい?」
「え、私ですか!?…えーと…ここは王道の炭火の『焼肉』で、どうでしょう?もちろんご飯付きで!」
「ではソレで頼む」
「…分かりました。焼肉であれば人が多い方が良いので…一人、呼んでもよろしいですか?」
「ああ、構わない」
俺の問いに青年はお姉さんに話を振り、お姉さんが少し考えてまた面倒な提案をして青年がソレを要求するので…
俺は4人の方が焼肉の雰囲気を出せそうだ…と、嫁である女性を増やすべく確認を取ると青年が快諾してくれ、お姉さんがスッと呼びに行ったのを見て準備を始める。
「お。戻ってきた」
「何の用だったんだ?」
「もしかして軍議?」
訓練中のみんなの所へと戻ると近くに居た団員達が疑問を聞くように話しかけてくる。
「いや、馬ありがとうだって」
「ほお、流石は団長。侯爵直々に感謝の言葉を告げられるとは」
「あと変化魔法を兵達に教えて欲しいって頼まれたんだけど…計画を立ててる最中に俺の話を聞いてアッチが諦めたから結局パァになった」
「ははは!そりゃそうだろ!」
「普通は変化魔法なんてもんを習得しようとなんて思わねぇからな!」
「団長ぐらいじゃないと直ぐに魔物化するのがオチだから危険すぎる!」
分身の俺が呼び出しの内容を話すと団員が驚きながら意外そうに返し、分身の俺のボケるような続きにみんなが笑っておっさんの判断に同意した。
…その翌日。
出撃の予定を午後にして午前中は休養にあてていると…
昼前になって『敵軍が退却した』との報告が。
…多分馬を奪われてやる気が無くなったんだろうな…と予想。
とりあえず分身の俺は隊長達に宿営地を撤去してから拠点へと帰還するよう指示を出しておっさんの所へと報告に行く。
「…どうやら敵は退却したらしいな」
「はい。そう聞いています」
「ふっ…前回は約50日近く戦いが続いたが、猟兵隊が援軍として加わればたったの二日で敵が逃げ帰るか…」
分身の俺が部屋の中に入るとおっさんが確認するように言い、肯定して返すとおっさんは笑って呟いた。
「しかも前回と違い今回はソバルツも本腰を入れ、約三万もの戦力を投入してきた」
「はあ…」
「素晴らしい戦果だ、ゼルハイト卿」
「…ありがとうございます」
おっさんの比較するような発言に分身の俺が反応に困りながら相槌を打つと急に褒めてくるので一応お礼を言う。
「どうやら貴殿を呼ぶと戦いが早く終わるようだ。最初の傭兵として参加した防衛戦の時も一週間ほどしかかかっていなかった」
「…敵の司令官が優れた人物だからではないですか?引き際を見誤らず、戦力をほとんど減らす事なく時間を空けて何度も攻め続ける計画を立てているように思えますが…」
「うむ。厄介な事に敵も優れた人物が指揮を執っているのだろうな…」
嬉しそうに喜びながら言うおっさんに分身の俺が敵の大将を評価するように予想を話したらおっさんは賛同して真剣な顔で呟く。
「つまりはゼルハイト卿、次もよろしく頼むぞ」
「分かりました。期待に応えられるよう頑張ります」
おっさんのニヤリと笑いながらの期待するような発言に分身の俺が了承して答えると…
「ははは!ウィロー伯爵も馬鹿な事をしたものだ。味方に引き込めば国境の防衛は安泰だったものを…その点ヴォードル辺境伯は上手くやったものよ、流石というべきか」
おっさんは気分を良くしたように笑って政治的な発言をする。
…そして猟兵隊が拠点へと帰還しての二週間後。
どうやらガウの領民達が現領主であるウィロー伯爵に反発し、俺の時と同じく各地でデモ運動だかシュプレヒコールだかの武力を用いない反乱を起こし始めたらしい。
するとやはり『ウィロー伯爵が国に対して反乱や内乱を起こそうとしている』だの『ウィロー伯爵は反逆を目論んでいる』だの噂が出回りだす。
「…ガウ領は大変な騒ぎになってるみたいだ」
「坊ちゃんにやった事が自分に返ってきただけでしょう?」
「どうやって対処するか見ものだね」
「全くです」
俺が報告書を見ながら言うとお姉さんは冷たく突き放すような感じで言い、俺の楽しみながらの返答に賛同する。
「団長。ヴォードル辺境伯が来てるぞ」
「あ、じゃあ通して」
「分かった」
昼前になると団員がいつもの辺境伯が来訪してきた事を伝えてくるので俺は指示を出して机の上の書類を片付けた。
「やあゼルハイト卿。ガウ領の件、面白い事になっているようだな」
「お久しぶりです。みたいですね」
5分もしない内に青年が部屋に入って来て挨拶もそこそこに世間話から始め、俺は挨拶をしてから相槌を打つ。
「どうやらあちらの派閥の方もグラグラと揺れてるようだ。離脱や他の派閥に鞍替えしようと考えている者もいると聞く」
「大変ですねぇ」
「ははは、順調に毒が回っているようで我々からすればありがたい事だ。しかし国防の事を考えると喜んでばかりもいられないがな」
青年の政治的な話に俺が人事のように返すと笑いながら喜ぶも、直ぐに切り替えて懸念する事を告げる。
「ライツはここ数年大人しくしていますが、北の国境付近での緊張状態は続いていますし…隙を見せると狙われるかもしれません」
「うむ。ウィロー伯爵が失脚すればその隙を突いてくる可能性は高いな」
「…あ。そろそろ昼食の時間ですね…食べて行きますか?」
「もちろんだ。そのつもりで来たのだからな」
俺が予想を話すと青年も賛同しながら返し、時計を見るとそろそろ飯の時間なので確認すると青年は笑って冗談を言うように肯定した。
「リクエストなどはありますか?」
「…そうだな、君は何が食べたい?」
「え、私ですか!?…えーと…ここは王道の炭火の『焼肉』で、どうでしょう?もちろんご飯付きで!」
「ではソレで頼む」
「…分かりました。焼肉であれば人が多い方が良いので…一人、呼んでもよろしいですか?」
「ああ、構わない」
俺の問いに青年はお姉さんに話を振り、お姉さんが少し考えてまた面倒な提案をして青年がソレを要求するので…
俺は4人の方が焼肉の雰囲気を出せそうだ…と、嫁である女性を増やすべく確認を取ると青年が快諾してくれ、お姉さんがスッと呼びに行ったのを見て準備を始める。
13
お気に入りに追加
882
あなたにおすすめの小説
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー
不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました
今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った
まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います
ーーーー
間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします
アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です
読んでいただけると嬉しいです
23話で一時終了となります
雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。
転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜
みおな
ファンタジー
私の名前は、瀬尾あかり。
37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。
そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。
今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。
それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。
そして、目覚めた時ー
追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる