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青年期 132

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その翌日。


「…ん?」


日が昇ると同時に敵兵達が行動を開始するので分身の俺も撹乱するために動こうとしたが…


なんだか敵軍の動きがおかしい。


「…もしかしてバレた?」


兵士達を指揮していた隊長だか指揮官達が自分の持ち場を離れ、一ヶ所に集まって話し合いをしてる様子を遠目に見ながら分身の俺は予想しながら呟く。


…そして30分ぐらいすると指揮官達が自分の持ち場に戻るも100名ほどの兵士達が町から離れるように動き出す。


「…どっかで見られたのか?それとも領主がバラした?…ま、どっちでもいっか」


分身の俺は不思議に思いながらも一応足止めするために別働隊を追いかける。


「…浮いた駒から狩るのが戦術の鉄板だし…悪く思わないでくれよ」

「!右後方より敵接近!」

「なんだと?迎撃する。各員戦闘態勢に入れ!」


分身の俺が正当化するように独り言を呟いて部隊に接近すると後方を警戒していた兵に気づかれてみんなが足を止めて分身の俺の方を向く。


「がっ…!」
「くっ!…ぐあ…!」
「敵は一人だ!囲め!」
「ぐっ…!」


分身の俺が切り込むように鉄の棒で兵士の頭を叩いて気絶させると指揮官が指示を出して兵士達が分身の俺を包囲するように動き出した。


「…この人数で囲むと逆に薄くなるというのに…」

「なにっ!くっ…!がっ…!」


分身の俺は呆れながら指揮官に狙いを定め、包囲を突破するように目の前の敵兵達を倒して指揮官に詰め寄って頭を叩いて気絶させる。


「…逃げろ!」

「このまま死んでたまるか!逃げるぞ!」


…部隊の指揮官が倒れると敵兵達は一旦分身の俺から距離を取った後に逃走し始めた。


「…たった10名程度倒した程度で撤退か…軍人とは言え、指揮を執る奴が居ないとまるで烏合の衆だな…」


分身の俺はボソッと呟いて倒れてる兵士達の武器を奪い、目が覚めた後に直ぐには行動出来ないよう指揮官だけ防具を外してその場から離れる。


「…これでちょっとは時間が稼げたかな」


適当なところで防具を放り投げながら呟いて敵の陣営の近くへと戻る事に。


…するとまたしても指揮官達が一ヶ所に集まって作戦会議のような話し合いを続けていた。


「お」


分身の俺が様子を見てると5分ぐらいで解散し、それぞれの持ち場へと戻る。


…どうやらもう一度別働隊を出すような事はせずに町を攻めるのを優先するらしい。


「…なんだ?敵だ!」

「アッチに敵がいるぞ!」

「なんだと?」


分身の俺は敵陣に近づいてわざと姿を見せてバレた後に一旦逃げ、少し離れた場所で追いかけて来た数人の兵を倒してその場から離れてちょっとした嫌がらせのような撹乱を続けた。


…そんなこんな防衛戦を続ける事、二日後。


ようやく敵が本腰を入れてきたのか、攻撃が少し激しくなった矢先にいきなり敵軍が退却を始める。


「え、ええー…」


なぜこんなタイミングで退却したのか全く分からないが、とりあえず脅威は去ったので分身の俺は肩透かしを食らったように呟きつつも分身を解除した。


「…団長。敵が退却して行ったぞ」

「あ、ホント」


すると5分ぐらいして団員が宿屋の部屋のドアをノックしてからドアを少し開けて報告してくる。


「意外と諦めが早かったね」

「…諦めるにしては状況的におかしかったと思うが…」


俺が部屋から出ながら言うと団員も違和感があったのか微妙な顔で不思議そうに呟く。


「ま、アッチ側でなんかあったんじゃない?自分の達のトコが攻められててコッチを攻めてる場合じゃなくなったとか」

「そんな事があるのか?」

「内戦中らしいからあっても不思議じゃないと思う」

「そんなものか…?」


俺の適当な予想に団員は納得いかなそうに確認してくるので俺が根拠を話すがやっぱり納得いってないように呟いた。


「…どうやら敵の陣営の方に何か異変があったようだな」

「これから本格的に攻略戦に持ち込んで来る…ってタイミングだったのに急に退却して行ったね」


俺が城壁の所に行くと隊長の二人がやってきて状況を報告してくる。


「まあ標的がココには居ないってのがバレたんだろうね」

「「…標的?」」


俺の軽い感じでの返答に隊長二人の不思議そうな反応と言葉が被った。


「そうそう。そこらへんの説明をするから隊長達をギルドへと集めてくれない?」

「了解した」

「分かった」

「よろしく」


俺は肯定した後に一人一人に話すのも面倒だな…とみんなを集めて一気に説明する事にして指示を出し、先にギルドへと向かう。


「…すみませーん。ちょっとアッチの方のスペースを使いたいんですけど…」

「あ、はい。どうぞ」


…ギルドの建物に入った後に非常事態だからかなにやらバタバタと忙しそうに動き回っている職員にライセンスを見せながら確認を取ると…


俺のライセンスをチラ見して了承するので俺は建物の端のスペースにあるテーブルと椅子を人数分確保して集める。


「…こんなもんでいいかな」


テーブルを二つ隣接させ、その周りに椅子を隊長達の数分用意して配置した後に俺は椅子に座って空間魔法の施されたポーチからお菓子の入ったボウルを取り出してテーブルの上に置いた。
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